第18話(バトルの予感)
ゼノと淳史は南木曽峠に着き、左側の駐車スペースに停める。平日だ。他に走りに来てるドライバーはいない。ヤベー奴ら(潰し)もいない。思いっきり楽しめる。
ゼノはGTRをシルビアの隣に着けて、ウインドウを下げる。
「後ろに着いてきて」
「了解」
「5連コーナーを過ぎたら、スピンターンね」
「おう」
ゼノはGTRを走らせて、峠(コース)の下見をする。特に問題なし。5つのコーナーを過ぎた直線でスピンターンしてハザードランプを点ける。淳史もスピンターンを上手くやり、GTRのバックに着ける。ゼノはGTRを発進させようとした時に下ってくる対向車が来た。爆音。コンビニで出会った女、スタンが乗る真っ赤なFD3Sだ。スピンターンして、シルビアのバックに停めた。ゼノは、パッシングしてクラクションを鳴らす。それからハザードランプを消してウインカーを点ける。スタートの合図だ。
ゼノは一気にクラッチを繋げ、GTRを発進させた。続いてシルビア、FD3Sと連なり、第1コーナーに入っていく。ゼノは、ステアリングを切り、クラッチを蹴ってリアタイヤを流し、カウンターを当てる。ステアリングとアクセルのコントロールをしてドリフト成功だ。淳史はもたつく。仕方なくグリップでコーナーを抜ける。スタンは、シルビアと距離を取り、慣性ドリフトでコーナーを抜けていく。
3台は5連コーナーを抜けて駐車スペースがある直線に差し掛かる。ゼノとスタンは淳史を前後に挟み、直ドリをする。ゼノは、そのまま滑りながら駐車スペースに入っていく。
スタンはFD3Sから降りた。ゼノと淳史も車から降りる。
「お2人さん、お疲れ」
「お疲れ様」
「おっつー」
「淳史君だっけ。まだドリフトに慣れてないようね」
「今日が初めてだから」
「そっか」
「姉ちゃん、慣性ドリフトをやってたな。それに平日に走りに来る。流石は南木曽峠の良心だ」
「へえ、先頭から後ろの状況が見えてたんだ。スゴいね」
ブォーン! 下から5連コーナーを上がってくるマシン。スタンは、いち早く気付く。
「RB20DETのエキゾーストノート。スカイライン…………。愛知県の走り屋チーム〝RBムーン〟の人かも」
「今日は、アッツの経験値を積む日なのに。面倒だな」
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