移籍
―小野選手がアヤックスへ移籍するらしい―
その噂を聞き違う!と心の中で否定した。俺はまだ移籍しようとも考えていない。
そしてホームでのPSV戦。ピッチへ向かうと…ブーイングが聞こえた。それはPSVに向けてではなく俺に向けてだ。最悪だ。居心地が悪い。キックオフ。俺にボールが渡る。ブーブーと未だにブーイングが鳴り響く。いつものプレイができない。
結局この日はいつものプレイが出来ずに1-1で引き分けた。
この日の記者会見は放棄した。受ける気がないからだ。
そしてカップ戦。アヤックスだ。俺はベンチだった。
「ブーイングが多い。お前はベンチに置く。いつものプレイが出来ないだろ?」
「えぇ、まぁ…」
笛が鳴る。そして前半3分決められた。アヤックスのフォールデンに決められた。その10分後13分にまたしても決められた。そして前半27分31分に決められ4-0となった。前半が終わった。フェイエノールトは酷い。ファンを呆れさせている。このまま終わらせたくない。
「いいか、お前ら!コースを切れ!ディフェンスは判断ミスが多いぞ!冷静になれ!」
監督は指示する。素晴らしい采配を見せるのか、選手もサポーター達も見守っている。
後半が始まる。後半もアヤックスの流れだ。後半53分…フェイエノールトの一人の選手が負傷した。
「小野、出番だ!いいか、自分をアピールするんだ、このままじゃ離れられないだろ?」
「…えぇ、勿論」
負傷した選手と交代し俺がピッチへと入った。
聞こえてくるのはブーイングだ。しかしそれが時には力になる。見返してやる!そう意気込んだ。
60分俺はドリブルで2人抜き味方へパス。そしてそこから俺へとそしてダイレクトキック!入った!見ろ!俺を見ろ!俺は人差し指で目を指し見たか!というアピールをする。
67分今度はフリーキック。俺が蹴るといい蹴らせてもらう。外せない。蹴る。そのボールは無回転で縦に落ちた。そのボールは見事にゴールネットへ突き刺さった。俺は天に手を掲げる。神へ祈るように。75分今度はコーナーキック。コーナーから上がったボールが俺に吸い込まれヘディング!入った!!勝てる!勝てるぞ!皆勝てるという自信がつく。ブーイングを交わしたサポーター達も歓声を上げる。後1点で同点。その3分後俺はサイドへとパスを出しそこからのクロスをボレーで合わせゴール!!今度は自信から確信へと変わった。そして後半のアディショナルタイム。もう無理かと思われたその時キーパーが飛び出す。そして幸運か不運か俺の足にキーパーの手が掛かったのだ。そして…ピッピー!と笛がなる。PKだ。キーパーに出されたのはレッドカード。しかも相手は交代枠を使い切った。フィールドプレイヤーから選ばないといけないのだ。そしてDFのライモスをGKにし俺は見事に左に決め試合は終わった。
「見事なゴールでした。小野選手。あなたは今アヤックスへ移籍噂がありますが本当でしょうか?」
「馬鹿馬鹿しいよ、それは嘘だ。移籍はしないさ。だけど…このクラブにはもう居づらくなったね…。もしかしたら冬の移籍市場でオランダから出ていくかもしれない。」
「そうですか、しかしそしたらまた批判を受けるのではないでしょうか?」
「批判?批判を受ける勇気がなければサッカー選手なんてやっていけないさ。ボーンマス事件を知ってるかい?簡単に言うとボーンマス選手を巡るクラブ間のトラブルさ。ボーンマス選手を譲ったにも関わらず移籍金を貰いボーンマス選手を話さなかった。その事件で移籍市場が代わり馬鹿みたいな金でレアルはスターを獲得した。ジダンなんか250億だ。年々と上がっていく。しかしそれはいつか後退する。それが今だ。さらにはピザを獲得しないと行けなくなった。俺はイギリスへのピザを取ったよ。」
「イギリスに?プレミアに行くのですか?」
「どうだろうね」
濁す。
「…そうですか、では小野選手の座右の銘を教えて下さい。」
「座右の銘?それはメッシの努力すれば報われる?そうじゃないだろ?報われるまで努力するんだろ?です。メッシは才能と努力で世界トップクラスの選手になりました。しかしそれは努力を報われるまで努力し続けたからです。今もメッシは努力しています。それを胸に自分も努力し続けています。報われるまでね」
「ありがとうございます。ではさようなら」
「あぁ、じゃあね」
記者会見会見が終わる。明日から移籍シーズンに入る。
移籍シーズンが入った2週間後イタリアのトリノへ移籍することになった。
「えぇこの度トリノに移籍しました。トリノはレベルの高いクラブです。今シーズンはCL出場圏内の3位です。2位のナポリとは2ポイント差、1位のユヴェントスとは8ポイント差です。あなたはこのクラブを優勝出来るでしょうか?」
「酷な質問だね。俺だけの力じゃないし他の選手達の協力も不可欠だ。2位は必ず行く。問題はユヴェントスだ。彼らが負けない限り俺達トリノの優勝はない。しかもトリノの負けもある。だけどやるからには勿論優勝を目指すよ」
「ありがとうございます。あなたはフェイエノールトから越してきました。最悪なシーズンを過ごしていた。と言われていますが本当でしたか?」
「いや、それはないよ。フェイエノールトはいいクラブだ。今も昔もこの先もね。ただ俺がこの先フェイエノールトにいてもチームには悪影響しかない。俺は早くもフェイエノールトには要らない選手になった。そこをトリノが貰っただけだよ。ありがたいさ」
「そうですか。あなたがトリノに移籍しトリノではお祝いモードに入っております。その影響でスポーツ雑誌にもあなたが搭載されています。」
「それは嬉しいよ。俺の事を知ってくれるんだ。嬉しい限りないよ。だから彼らの期待に答えたいんだ。」
「ありがとうございます。小野選手は家では何をよくしているのですか?」
「サッカーゲームだね。得にウイニングイレブンやFIFAだね。良く自分の選手キャリアとかクリスティアーノ・ロナウドの選手キャリアをやってるよ(笑)ついつい熱くなっちゃうね」
「そうですか。では最後に背番号を」
「背番号は…」
ざわざわと会場が湧く。そして…
「9番だ!」
「「おぉぉぉぉ!!」」小さくこぼす。
「ではあなたのプレイに期待しています。いいキャリアを」
それに頷きそして小さく敬礼をした。
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