リーグ戦

オランダへ帰り自宅へと向かった。反省点を活かし自宅ではノートをとる。自分に何が必要なのかを探るために。俺はフォワードの中でもとびきり優れているものはない。身長もない。足元も格段に上手い訳でもない。フィジカルも並の選手並だ。だから俺は努力を重ねる。報われるまで。だがどれだけ強豪にいってスタメンを獲得しても俺は平凡な選手だと考えるだろう。しかしそれはモチベーションを保つためには重要な事なのだ。俺達は同じチームメイトでも熾烈なポジション争いをする。いつ奪われても可笑しくないのだ。だから俺は武器になる物は手に入れたいと思うし手に入れたらそれを磨きそしてまた新たなスキルを取得するために努力する。

 もうすぐリーグ戦だ。リーグ戦が始まるとワクワクする。しかしそれと同時に不安を抱く。フェイエノールトはどこまで行けるか。俺達はサポーターのためにリーグ優勝を取らなければならない。昨シーズンのフェイエノールトは6位だと聞いた。しかし我々は常にUEFA出場を求められているレベルの高いクラブの一つだ。そのクラブのポジションを頑固な物に出来るか自信もありながら不安もある。なんとも言えない気持ちだ。こういうときは頭の中でイメージトレーニングをする。悪いときといいときのプレイを。例えば悪いときなら上手い連携で俺にボールが渡ってそのままシュート!しかし外れる!なんてことだ!ここまでを思考する。いいときならばドリブルで抜いて…仲間へパスを出してまた俺にそしてシュート!決まった!やってやった!ここまで思考する。どちらにせよ俺達はアヤックス、フローニンゲンなどの強豪を打ち破らなければならない。そのために練習あるのみだ。

 リーグ選択初戦フィテッセ戦。気になるスタメンは…俺が入っていた。やった!心の中で叫ぶ。さらに闘志が燃える。フィテッセには本田選手もいる。

キックオフの笛がなる。本田へパスが渡りコングへ、そしてシャリーへ、そしてマタへ、本田へそしてミドル!しかしそこはキーパーが止めてくれた。ナイス!というジェスチャーを送る。コーナーキック。本田が蹴りシャリーが合わせる。しかしキーパーがキャッチしそして俺の元へ。そしてナゲルへパスを出しそこからアランへ、そしてマヌル、そして俺へそしてドリブルで相手を抜き去る。そしてそのままシュート!決まった!最高の瞬間だ。今までにない素晴らしいシュートだと今のシュートは自信たっぷりだ。

前半終了。1-0で勝っている。最高だ!そして後半は何もなく試合は終わった。

「小野選手!素晴らしいシュートでした!今回までの活躍であなたはゴールへ果敢に向かう姿からイノシシと敬称されています!」

「イノシシ?(笑)確かに良い意味でも悪い意味でも俺そっくりだね(笑)気に入った。」

「悪い意味ですか?」

「俺はポジショニングが良くない選手です。それでも俺はゴールへ向かうんです。ゴールが欲しいよって。そしてボールが少しでも届かないで相手に渡るとあぁ、僕のボールが…返してくれよ、ってね(笑)そういう意味ではイノシシだね」

「そうですか、ではあなたの目標としてるレジェンドは誰ですか?」

「俺が目標してるのは俺の中のレジェンドであるクローゼだね。彼は決定力が異常に高いんだ。ラツィオでもドイツ代表でもね。今でも記憶に根強く残ってるのは2014年のワールドカップ準決勝ブラジル対ドイツだよ。」

「ミネイロの悲劇ですか?」

「そうだね、ブラジルはネイマール、チアゴを失った。そしてフルメンバーのドイツに7-1という歴史的大敗をした。その試合でクローゼはワールドカップ最多得点王となった。俺はドイツを応援してたから嬉しかったよ。まだ入る。また入った。ってね(笑)まぁクローゼは俺の目標としているレジェンドだ。彼以上の選手はいない訳ではないが俺の中ではNo.1プレイヤーだったよ」

「ありがとうございます。次はアヤックス戦ですがそこを踏まえ改善点はなんですか?」

「改善点?改善点としてはまだ残念なポジショニングを直すことだね」










翌日

アヤックス戦だ。緊張する。アウェイだ。勝てるか?いつも以上のプレッシャーに襲われる。そしてピッチへ立った。こうなるとピッチが憎くなる。ここで試合に勝てれば憎くはならないが…

笛が鳴る。ボールは俺からマヌルへそしてまた俺へと…しかしここでスライディングを喰らう。完全に足だ。ボールへのチャレンジではない。笛が鳴り立ち上がろうとする。しかし立てない。捻ったようだ。一時ピッチから離れ治療する。そして5分後に復活した。前半37分俺はクロスからのボールをトラップしワンテンポ送らせてシュート。無回転だ。そしてそのシュートはゴールを突き刺す。そして決まった。その場で喜び元のポジションへと戻った。後半になり俺はベンチへ下げられた。怪我の悪化を懸念してだ。結果この試合に1-0で勝てた。記者会見は受けずにそのまま帰宅した。

そして冬の移籍市場が近づく。すると…こんな噂が立った。

―小野選手がアヤックスへ移籍するらしい―

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