YNWA

 ゴールを決めた瞬間少ないフェイエノールトのサポーター達が歓声を上げた。しかしリヴァプールのサポーター達によるYNWAによって掻き消されてしまった。これだ。これが俺達を苦しめるのだ。気づくとすでにリヴァプールの選手達はポジションに戻っていた。そしてまたボールが動く。彼らは1点、2点、3点どんだけ差が開こうと決して諦めない。サポーター達のためにだ。そしてフィルミーノにボールが渡る。フィルミーノに対応するかサラーに対応するか…どちらかを取らないといけない。フィルミーノに対応すればサラーに裏を抜かれサラーに対応するとフィルミーノに抜かれてしまう。難しい選択だ。そしてマネはフィルミーノ、サラーのマークを少しでも外すように嫌な位置に走り込む。サラーに対応した。そしてフィルミーノがゴールへ走る。しかしそこへマネへのマークを捨てそれでもマネへのコースを切りながらフィルミーノを対応しにいった。しかし…まさかのワイナルダムへのパス。そしてアーノルドへ。そしてロバートソンへ。そしてクロスを上げられワイナルダムが決める。

「ゴォォォォル!ジニ(ワイナルダム)!!」

実況と観客は喜びさらにYNWAが歌われる。

そしてこのまま試合が終わるかと思われた瞬間サラーが決めた。

おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!大歓声が聞こる。俺達は絶望しリヴァプールは大喜び。そして試合は終わった。

リヴァプールのフォーメーションを改めて確認する。彼らの戦術を真似るためだ。

そして記者会見へ。

「今回は逆転負けしてしまいました。どうお考えですか?」

「簡単な事だ。我々は最後に気を抜きリヴァプールは最後まで諦めなかった。それだけだ。リヴァプールは実に素晴らしいクラブだからね。勿論フェイエノールトもだけどね」

「ありがとうございます。では小野選手。最高のストライカーとはどう考えていますか?また芸術的なシュートはどのようなものですか?」

「最高のストライカーはどんな状況でもゴールを決める事が出来る選手です。芸術的なシュートはないと思うね。芸術的なシュートを狙ってばっかだと本来のチャンスを逃してしまう。ゴールを狙う選手であれば芸術的なシュートよりもその状況に応じたシュートを放つんだ。それが結果的に芸術的なシュートになるのかもしれない。しかしそれは自分が決める事ではない。サポーター、自分の他の選手、監督だ。チームの皆、サポーター達に芸術的なシュートだ!と言われたら俺も認めちゃうけどね(笑)」

「ありがとうございます。結果的なシュートとは確かに私達がこれは芸術的だ!と決める物かもしれませんね」

「最後の質問です。あなたは今回の試合で自分に10点中何点つけますか?」

「6点かな。シュートを決めて3点。ポジショニングで2点守備で1点です。守備ではあまり動いてませんでしたからね。シュートはいいコースに決められたよ。だけどそれ以降のポジショニングは見直すと酷いと思うよ」

「ありがとうございます。では記者会見を終わらせて頂きます」

記者会見を終えフェイエノールトはバスに乗り空港へと向かった。

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