第21話 釘を刺す その2
僕は山崎さんが落ち着いたのを見た後、続きを話しだした。
「まずは女性なんですけど遠藤さんの彼氏の増田さん、彼の学校の教師です」
と僕が伝えると、教師ということで安心したのか
「教師なんですね。なら一緒にいることも……」
そんなことを遠藤さんはつぶやいていた。
「それでですね。増田さんは……そういえば僕も名字は聞いてなかったな……女性の教師はマドカさんって言うんですが、マドカさんをデートに誘ったりして口説いているのを私は見ています」
と僕が告げると遠藤さんは信じられないという顔で僕を見た。
「これは僕の目の前でされたことなんで……」
と僕が言うと今にも泣きそうな遠藤さんがいた。
「それは間違いとか冗談とかでは? 」
と遠藤さんは僕にそう言ってきた。やはり信じられないのだろう。けれど僕は容赦はしないと。マドに迷惑を掛けるものは排除するんだとそうとしか考えていなかった。
「信用できるできないは別にしてまだ話があるんですが聞いて頂けますか? 」
と僕が遠藤さんに告げると彼女は一瞬悩むも意を決したのか無言でこくんと頷いた。
「えっとですね。ここからはマドカさんから聞いた話になります。コンタクトの僕が誰かわからない状態だったはずの増田さんですが、どこで知ったのか僕が高校生だと知ったようです。それでマドカさんと僕が一緒にいたところを見たことのある増田さんは教師と他校の高校生で一緒にいたことを言いふらすと脅してデートを取り付けたようです。でその時の様子があの写真らしいです」
と僕が言うと信じられません、信じられませんと遠藤さんは繰り返しつぶやいていた。そんな遠藤さんを見て申し訳なく思うが最後まで言わせてもらうと僕は
「その写真の状況はそういうことらしいです。なので……彼氏が一緒に来ていれば直接言わせてもらおうと思っていましたが……遠藤さん、増田さんに伝えてください。マドカさんと僕は恋人とかそういう関係ではなかったですが、僕に迷惑をかけたくないと増田さんに付き合ったそうです。なので僕はもう迷惑をかけたくないためマドカさんと縁を切りました……」
と僕が続けようとしたところに
「おい! 縁を切ったって? 」
と智也が勢いよく僕に告げてきた。
「うん。こんな形で迷惑がかかるならって。マドが大切だからさ。智也。落ち着いて」
「あっ悪い。話し続けてくれ」
と智也はそう言って静かに黙った。
「えっと、ごめんなさい。マドカさんとは縁を切りましたからそういう脅しできてももう無理ですと。そして、2股なんぞしてくれるなと」
と僕がそう最後まで言い終えた後、遠藤さんは
「……それはマドカさんから聞いた話なんですね? 」
と涙を流しながら遠藤さんはそう言った。
「ええ……遠藤さんには申し訳ないんですが、僕にはマドカさんがいちばん大切なんです。なので、悲しませることは分かっていましたが伝えさせてもらいました。信じる信じないは遠藤さん次第です。ですが最後の言葉だけは増田さんにちゃんと伝えていただきたいです」
と僕が最後にそう伝えると遠藤さんは
「今は信じられませんが彼とちゃんと話してみます。いえ話さないと私もどうして良いかわかりません。山下さんの言葉も伝えておきます。はぁ……」
と遠藤さんのため息がそして涙が流れるのを彼女が落ち着くまで僕たちは見ているしかなかったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます