第18話 耐えられなかった僕
僕が戻ってくるのが遅かったため心配したのかトイレに智也がやって来た。
「優? どうした? 」
顔を洗ってぼーっとしている僕を見て智也は声をかけてくれた。
「ああ……遅くてごめん。もう戻るよ」
僕は智也にハンカチで顔を拭きながらなんとか返事をした。
「いや遅いのなんて良いよ。というよりなにかあったか? しんどそうだぞ」
智也は僕がおかしいのを気付いたのだろうそう尋ねてくる。
「はぁ……あのさ、遠藤さんが彼氏の写真見せてくれただろ。あの相手ってマドだった……」
俺がそう告げると
「へ? なんで? あっ知り合いって言ってたっけか? あのふたり」
と智也は僕との会話を思い出したんだろうそう言った。
「ああ、だから何にもないとは思うけど……さすがにね」
「はぁ……なんか優、彼氏に呪われてないか? 」
と智也は呆れながらも冗談のように言うけれど
「はぁほんとそんな気がしているよ。勘弁してくれよ」
と僕は嘆いてしまうのだった。
とりあえずは僕たちは席に戻りなんとか会話に入る。遠藤さんと山崎さんは彼氏のことについてまだ話は続いていたようで僕には全く耳に入ってこずぼーっとなってしまっていた。そのせいかここに居るのが耐えられなくなってきた。だから僕はここから抜け出すために
「ごめん。なんだか調子が悪くなってきたんで帰るよ」
と告げていた。智也は僕の状態がわかっているからか
「ああ、トイレでも調子悪そうだったもんな。悪かったな、無理に誘って」
と上手いことフォローしてくれる。
「え? そうだったの? 智也くん……無理に誘っちゃ駄目じゃん」
「体調が悪いのにつき合わせてすいませんでした」
そう女性陣から言葉をもらってしまう。智也が悪者になってしまい申し訳ない気持ちながらも「智也ごめん。今度なんかおごるわ」と考え、早くここから立ち去るため「また」と一言残して家へと帰っていった。
家につくと僕はすぐに部屋に戻りベッドに転がる。
とりあえずはマドになぜ会っていたかくらいは聞いても問題ないかな?と夜に尋ねてみようと考えているうちに僕はいつの間にか寝てしまうのだった。
どれだけ寝るんだろう僕は結局昨日の昼前から翌日朝まで寝てしまっていた。それだけ心に来ていたのかなと情けなく思う。さてと起きてみるとスマホにはマドからのメッセージが二桁近く届いていた。通話着信もはいってたようだ。返事がないから心配させちゃったんだろうなと「ごめん、寝てた」とメッセージを送っておいた。するとマドから「なにかあったのかと思ったよ。安心した」とメッセージが返ってくる。僕はそれをみて「ああ、なにかあったんだよ」と返してしまいたい衝動に襲われるけれど、マドはきっと仕事があるだろうと思い夜まで我慢だと言い聞かせ返事を送るのを止めてしまうのだった。
そして僕はまた夜までマドのことでもんもんと過ごすのだった。
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