第07話 電車の旅



 その夜僕はマドに一目惚れの彼女を電車で見かけたことを話した。そして僕の前に現れなかった理由がわかったことも。

 それを聞いたマドは何を思ったか


「週末の日曜日用事ある? 」


 と聞いてきた。特に用事もない僕は


「用事なんてないけどどうしたの? 」


 と返す。そんな僕に


「だったらまたあの海に行こうか? 」


 と僕がマドと出会ったあの海へと誘ってくれた。




 特に何事もなく時が過ぎ週末の日曜となる。僕は通学と同じようにいつもの時間いつもの車両に乗り込んだ。休日なのに早い時間なのは終点まで、あの海まで遠いから。それでもいつもと違うものもあって、それは女子校がある駅でマドが僕の前に現れてくれること。


 女子校のある駅でマドが乗ってきた。僕が乗車する場所は教えていたのですんなり僕のもとに現れる。

 久しぶりに見たマドは綺麗だった。いや、初めて出会った時は綺麗だと分かっても心に余裕がないそんな僕だったからマドの魅力を理解できなかったのかもしれない。


「おはよう。思ったより元気そうだね」


 マドはそう僕に声をかけてきた。


「おはよう。うん、彼女を見かけた時もそうショックはなかったから。これもマドのおかげなんだろうね」


 僕がそう言うとマドは照れたのか


「はいはい、お世辞はいいから座ろうよ。ながーい旅路だからね」


 と言うマドの言葉でふたり並んで席へと座るのだった。




 僕達は窓の外を眺め鳥が飛んでることや田んぼがいっぱいあること目に見える自然を楽しみながら、そして他愛ないことを話しながら電車を楽しんだ。


「ひとりで乗ってると寝ることしかほとんどしないから新鮮だね」


 確かに僕が終点まで行ったあの時も落ち込んで周りなんて気にする余裕がなかったからなあと


「確かに。ひとりだと手持ち無沙汰な気がして寝たりすること多いね。うん、ふたりかあ。なんだかいいね、ふたりって言葉」


 僕はその言葉のせいかマドと居る時間がとても貴重なもののように感じていた。




 ふと気付けばもうすぐ終点。1時間なんてあっという間だったように感じた。


「早いもんだね。もっと長いものかと思ってたけど……」


 僕がそう言うと


「私も実家に帰るときはこの電車で帰るけど……ひとりの時とは感じる時間の長さが違う気がするね」


 とマドも同意していた。それに僕は


「やっぱりふたりって大きいことなのかもね」


 と返す。それを聞いたマドも


「ふたりかあ」


 となにか考えるように言葉を発したのだった。


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