第14話

彼に会うたび、

変な気分になる


彼は私を

一体どうしたいのか


今日一日

彼の仕事に付き添って、

最後は

飲み会終わりの彼を

家まで送り届けること。


そこまで

事務所が管理するのかと

思ったけど、

売れっ子アイドルに

スキャンダルは

致命的だから、

私生活も

事務所の管理下にある


彼の部屋に

入る日が来るなんて、

信じられない


飲み会終わりの彼は

酷く酔っていて、

マネージャーと部屋まで

彼を運んだ


「やばい、

ケイタイは?」


マネージャーが

彼のケイタイを探している


彼は酔っていて

話しにならない


焦りながら

マネージャーは

ケイタイを探しに

出て行ってしまった



え…どうしたらいいの?


とりあえず

ソファーまで運んで

座らせた彼を

少し離れたところから

眺める


「お水…でも飲みますか?」


恐る恐る声をかけると、

〝うん〝と頷いた気がした


急いで

勝手わからぬ

彼の部屋の冷蔵庫から

お水を探して

彼に手渡した


「冷蔵庫、勝手に

開けました。

お水です。どうぞー」


大丈夫ですか?


私が見ていた限り、

彼が食事を摂るのに

十分な時間は

今日一日なかった


移動中に

軽食を一度口に出来たか

どうかくらい


そのまま

飲み会に向かって、

仲間たちと

どのくらい飲んだのだろう…


体の負担は相当なはず


と思った途端、

おもむろに立ち上がって

歩いて行ったのは

トイレでー



「大丈夫ですか?…」


遠慮がちに

声をかける


反応はなかったけど、

少し開いていた扉を

開けて

彼の背中を

さすった


楽になるまで…


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