俺の青春ラブコメは無限のデッドエンドをループする(カクヨム版)

冨田秀一

001 天の声(読者様)が作るラブコメ 

地球上に星の数ほどいる人間の中で、心から本当に好きだと思える人と、相思相愛になる確率はどれほどのものだろうか。


告白したら、お互いに超大好きで相思相愛だった……そんなものは、天文学的確率でしか存在しない。


愛のベクトルが一方通行で振られるのが普通である。


もしくは、「まぁ今は彼氏いないし、減るものでもないからいっか……。」だとか、


「OKしたら、付き合った人数4人目になるな……。あれ、俺って結構リア充じゃね?」とか、生半可なお付き合いという結果をもたらすことが多い。


二年前の正月……俺は初詣で、神に願ってしまった。



「心から本当に愛し合った二人が、両想いで結ばれる告白以外なんて糞くらえだ。どちらかが妥協する告白なんていらない。そんなものっ死にっ晒せ!!!!!」




時刻は午後の五時四十五分。放課後のサッカー部の活動を終え、俺は急いで制服に着替えて、約束の場所へと向かった。口から心臓や消化器官やらが出てきそうだ。


まだ約束の時刻まで時間はある。彼女が到着するまでに、俺は何度も深呼吸し、何度も手汗を制服の袖で拭いた。汗臭くないかな……半袖の白シャツに鼻を押し付けると、普段使っている柑橘系の制汗剤の臭いがした。


あと、五分だ…。そろそろ来るだろうか。そわそわする。


「ごめん、お待たせっ……。」


パタパタと茶色のローファーがコンクリを叩く音とともに、愛しの神崎さんが現れた。ひざ小僧が少し見えるくらいのスカートの丈、白の半そでシャツ、CMで起用されそうなさらさらな黒髪が風に揺れている。


「あっ、部活おつかれ。ごめんね、急に呼び出しちゃって……。」


よかった。声は上ずらなかった。


体育館裏に呼び出すなんて、我ながら手垢のついた古風な演出だ。


家に帰っても練習するのだろうか……。彼女の手には、吹奏楽部で彼女が担当している楽器、フルートが入っているであろう、黒い皮のケースが提げられている。


「どうしたの?部活終わりに呼び出して……」


いやいやいや……、ほんとはもう察してるでしょ?このシチュで告白以外の行動をとる奴がいたら、もうサイコパス認定受けると思うんだけど。


「……。」

「……。」


何黙ってんだ俺、今さら引けんだろ。さっさと覚悟を決めろ。


さて何て告白しよう……。


※みなさまのコメントを採用します。

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俺の青春ラブコメは無限のデッドエンドをループする(カクヨム版) 冨田秀一 @daikitimuku

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