第5話

kが歩いた靴の裏側、土を踏んだところから、芽が芽生えた。わたしはパチクリと目を瞬いてそれを眺めた。


「これは何ですか?」

師の背中を追うわたしに彼は応えた。


ゴミか、そうあるべきものだろう


驚いてわたしは言った

「ではわたくしは、ゴミに驚いて奇跡を見たのですか?」


師は言った。

何も解ることはない。


解る前に後悔をできるものは知恵者として讃えられた。

それは喜ばしいことだが、

しかし私たちは望んでいることではない。



最も美しいものは、既に彼方へと行ったので、我らは年を重ねるばかりなのです。


肉を借りた貴婦人は、ただ遠く星空の、更に遠くへお戻りになっただけです。


靴下に刺さったトゲや腫れ物、イボや黒子全て元どおりになった貴婦人が星となって夜空に輝く。


違うのは時間の流れだけ。今宵だけは貴女の光りを浴びて寝られたい。

本当は闇に葬られたはなしでも。今宵だけは貴女の腕で、眠りたい。





















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