闇で見つめる片目
2010年代後半、冬の夜。自室の炬燵で寝てしまったときの話。
悪い夢を見た。
夢の内容は憶えていないが、とにかく人のような片目が出てくるもので、それに見つめられていたことだけは覚えている。
そして夜中に目が覚めると、夢の中のその目が現実でも暗い自室の空間に存在し、変わらずわたしを見つめ続けていた。
もっとも、わたしは夢を見て目覚めてすぐに夢の中のものが現実に重なって見えるという幻覚のような経験はある。
それを見分ける方法は簡単で、まず幻覚は新たな動きをしない。そして、視界を動かすと一緒に動く。視覚に焼き付いた夢の光景の一部みたいな感じだ。
このときもそうではないかと真っ先に思って頭や目を動かしてみた。
すると、闇の中の片目は同じ場所に留まったままで視界からはずれてしまった。
えっ、と思って視線を戻すと、片目はやはり同じ場所に留まったままわたしを見続けていた。
もっとも他の幻覚の場合と同じように10秒ほどで消えてしまったので、新手の幻覚かもしれないが。なんとなく、『かくれんぼ』の体験の時に押し入れから覗いていたという片目を想起させられた。
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