アパートにいた青年
仙台にいた2000年代半ば頃。
わたしが出掛けていて、夜自転車で帰宅したときのことだ。
そこは、二階建ての自宅アパートの横にある階段の下が駐輪スペースで、反対側が道路に通じていた。わたしがその道から来て自転車を降り、それを置きに向かおうと歩いてアパートの前を横切っていると、駐輪スペースから誰かが出てきた。
二十代前半くらいの青年男性だった。
彼は、駐輪場から出てくると真っ直ぐ歩いて目前にある植え込みに入っていった。
そのまま出てこない。植木はたいしたものではなく、すぐ後ろは高い石垣で囲まれている。人がどこかに鳴りを静められるスペースなどない。
なのに、近づいて探してもそんな人物はもはやどこにもいなかった。
生きている人間と全く見分けがつかなかったのだが、ほんの数秒とはいえわたしの経験では正面から目撃したのが珍しかった。個人的によくある視界の端とは異なっていた。
正面から見たら消えていたというでもなく、自ら歩いて植え込みと石垣に入って消えたというのも特異に感じるものだった。
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