信号機の老人
2000年代半ば。当時住んでいたアパートそばのコンビニに、夜買い物をしに出かけようと自転車で向かったときのこと。
途中で横断歩道を渡って道の反対側に行こうとしたのだけれど、赤信号で止まっていたとき。そこには歩行者信号用の押しボタンがあるのだが、押さなくても時間で変わりもすることを何度も通って知っていたので特に押さず、横で待っていた。
すると、後ろから老人が来たようだった。
普通のお爺さんで、彼は信号のボタンを押してわたしの隣で待っていた。
押さなくてもいいのにな、などと思いながら信号が変わる頃に老人の方を何気なく向いてみると、そんなお爺さんはどこにもいなかった。
わたしがよく見た、いわゆる視界の端にいて正面からだと消える幽霊のようなものだろうが、出現場所が珍しかった。確かに、足音やボタンを押す音、押されて凹むボタンも目にしたと思ったのだが。
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