時の予知夢
高校時代の三年間ほどの話。
本格的にオカルトはまって魔術師になるためのトレーニングとかいう本を参考に実践し始めていた頃、わたしはおかしな夢を見るようになった。
それは夜寝て、朝目覚める少し前に一秒ほどの一瞬だけ見る夢である。
内容は、自室にあった針時計を正面の三〇センチほど離れたところから自分の視点で眺めている夢で、時針から分針、秒針までをも完全に記憶して目覚めるもの。
この時計は、ベッドからは時間を確認できない死角にある。なのに、その夢を見てから実物の時計を確認すると、さっき夢で見たのと全く同じ時刻を指しているのだ。
懐疑的な視点では、体内時計のようなものを無意識に理解していて、それを夢で見ているともいえるかもしれない。もっとも、起きているときには時計を見なければ時間などわかったことがないが。
また、その時計は電波時計でもなく行動の遅い自分を精神的に急がせるために10分時間を進めていたのだが、進めた時間で夢を見ていた。
おまけにこの時計の予知夢らしきものは、高校時代の魔術師になるための修業のようなものをしていた期間近辺にだけ見ており、鍛練をやめると見なくなったのである。
この時計の予知夢のようなものは十数回ほど経験しており、時刻がはずれたことは一度もなかった。わたしより早く起きた家族が部屋に入ってきて目が覚めたときも直前に夢を見ていたことがあり、時計を確認せずに時刻を言い当てて驚かせたこともある。
そもそも時計自体とは無関係かもしれないが、この時計は残念ながら今は壊れてしまって手元にはない。ただ上記の奇妙な経験から貴重だと感じ、捨てる前に撮っておいた時計の写真はまだ手元にある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます