オレンジ色の少女
やはり中学時代、三年のことだったと思う。わたしの中ではちょっと珍しい経験である。
ある夜、自宅の自室でCDプレーヤーの音楽を聞いていたときだ。ひと通り楽しんだので、わたしは別なCDに取り替えようとした。
CDプレーヤーは部屋の窓側にあり、反対の壁際にはベッドがあった。自然、CDを入れ替える際に寝床に背を向ける形になり、それを終えて振り返った刹那である。
ベッドのすぐ前の空中に、奇妙な人物が横になっていた。
夕焼けのようなオレンジ色の光に照らされた、みすぼらしい感じの服を着た小学生くらいの少女だった。
ただし、彼女は右腕を除いて肩辺りから上しか身体がほぼなかった。
二メートルほどの長さがあるベッドの片側の方に大部分が存在したが、伸ばした右腕の手首から先がなく、それはベッド反対側の方に離れて浮いていた。
こう書くと外見は怖そうだが、なぜか恐怖はなかった。
代わりに目にした瞬間、「戦争だ!」と思った。
わたしは幽霊のようなものとも何度か遭遇しているが、こんな想念のようなものが流れてくる感覚は珍しかった。
どうしてそんな感情を得たのかはわからない。心霊的解釈をすれば、戦争に纏わる霊だったのかもしれない。
とにかく、ほんの一、二秒ほどで彼女は消滅してしまった。
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