部屋を漂う

 小学校高学年の頃のことだ。

 夜。自室で電気を消したときや点けたときに、妙なものが見えることがあった。

 それは数センチくらいの白い半透明の球体。数は一個から数個、瞬間的に視界の端を飛んだり目の前を横切ったりする。

 夜中に夢から覚めた時などにも同様のものが見えることがあった。


 特定の瞬間に現れるということで、錯覚や幻覚かもしれない。けれども不思議だったので、よく家族に話していた。

 往時はインターネットなど一般的ではなかった。まだ本気で調べたりもしていなかったので、わたしのオカルト知識のほとんどはテレビと身の周りの実体験が中心だった。


 そしてある夜。テレビ放送されたオカルト番組を観賞していて仰天した。

 その日初めて知った、玉響オーブ現象というものを紹介していたのである。

 わたしはすぐに家族に向けて叫んだものだった。


「これだよ、部屋で飛んでるの!」


 まさに、玉響現象はわたしが目にしたものが写真やビデオに映ったものだったのだ。

 もっともオーブは、水滴や埃が特定の状況下で撮影された自然現象に過ぎないという懐疑的な見方もある。また、超常現象であっても通常肉眼では捉えられないそうだ。


 わたしは、この目で捕捉したのだが。


 総合的な目撃回数は十数回。大部分が小学校高学年から中学生前半の時期に集中していたと思う。

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