スクラップ

 某所、とあるアパートの一室に警察が押し入った。


 部屋は薄暗く、リビングにはソファーとテレビが置いてあった。それ以外には何もこの部屋には置いてなかった。


 もう一つの部屋はリビング以上に暗かった。そして何より息が詰まりそうになるほど壁一面に雑誌や新聞の切り抜きが貼られてあった。


 古い物は十年前、最近のは三日前の切り抜きがあるが、それは共通して爆発事故や事件の記事であった。


 ガス管の爆発から始まり、タンカー船の座礁、ガソリンの引火、大使館を狙ったテロ。



 そしてその全てに赤いペンで注釈が書かれてある。



「このタンカーならもっと勢いよく爆発できる」、「ガソリンなら木が燃える姿がほしい」、「このテロリストは甘い。派手にやりたいなら火薬だけじゃダメだ」



 無数に貼ってある切り抜き全てと、五冊あるファイルに綴じてある物にも、自分ならこうする、爆発を増させる方法が書かれてあった。



 証拠はこれで十分だ、ここの住民が多くの人間を爆殺してきた殺人鬼だという事は。


 だが肝心の爆弾を作る道具と、殺人鬼はどんなに探しても見つからなかった。

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