奇妙な痕跡

 ある日の研究で奇妙な事実が判明した。この欠片には血が検出されたのだ。


 それも少し端に付いていたのではない、片方の面全体から検出された。


 誰かがこの欠片の上で血を流しながら死んだのか? だがあの場所には死体も白骨も無かったが劣化したのか? ならなぜ破片だけ劣化せずに残った。



 彼の疑問は尽きなかった。これが何の血かは古すぎて分からない、そして片面しか汚れていないかも謎だ。



 それに彼は凄く興奮した! 先の見えない不安な今を、彼は研究の間だけは忘れる事が出来た。


 試せる事は全て試そう、切ったり、透かしたり、光に当てたり。あぁ一体どれだけの実験がこの物質で出来るのだろうか。全て試そう、全て見てみよう。



 願わくば戦争など起きないでくれ、流行ブームの熱に浮かされた無能共よ、せめてこの時ばかりは賢くなってくれ。

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