第2話 俺、告白されました。

 やっべ、忘れ物した!

 もう学校より自宅の方が近くなってきたところで、俺は思い出した。国語便覧を学校に置きっぱなしにしていたことを。あれがないと宿題ができないので、俺は引き返すことにした。

 もちろん、ダッシュだ!




 国語便覧、国語便覧……。

 学校に到着後、俺は余裕で階段を上っていた。こういうとき「ああ、ずっと鍛えていて良かった」と心の底から思う。

 幼いころから女顔とチビが原因でナメられてばかりだった俺。負けるもんか! と強くなることに夢中だった。おかげで運動会は毎年ヒーロー。殴り合いの喧嘩は毎回勝っていたし、中学時代は柔道部所属で黒帯を手に入れた。高校生になった今でも、暇さえあればランニングか筋トレだ。

 ……身長は、あまり伸びていないけれど。

 あっという間に教室の前。ガラガラッと戸を開けると、そこに女子が一人。

 誰だ?

 後ろ姿だけでは分からない。


「ねぇっ! 聞いて聞いて! ……あのね」


 うわっ! 何か語り出したぞ、この子!

 驚いた俺は返事ができず、その場で一歩も動かずにいた。そしてその女子は勢いよく振り向きながら、


「わたし、ソラきゅんが好き!」


 俺にとって人生初のパワーワードを発したのだった……。


「え!」


 この俺が今、女子から告白されただと?

 こんなチビで子どもっぽい顔の俺が?

 おい俺よ、一体いつの間にどんな徳を積んだんだ!

 てか女子を待たせるな俺!

 男だろ!

 色々と謎だけれど……。

 返事はもう、決まっている!


「おっ……俺なんかで良ければ、よろしくお願いします!」


 俺はこんな奴を好きになってくれた飛永琴梨とびながことりさんに、一礼した。

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