友達

わたしは桐谷からのメールを読み、落胆した。

友達か・・・。

それならそれでいい。

友達として会うってこともあるから。

わたしも友達として接しよう。


ガチャンとドアが開く音がする。

徹が帰宅したのだ。

慌てて携帯を裏向きにして迎える。

「おかえりなさい」

「ただいま~。疲れたよぉ」

抱きつきながらキスをしてくる。

毎朝、毎晩キスをすることが日課だ。

いつもなら嬉しいキスが今日は鬱陶しいと思う。したくない、それが本音だ。

「遅くなっちゃったね、ごめんね」

徹が謝る。

「仕事どうだった?」

「いや~忙しかったよ」

サービス業で働く徹に感心する。

一生懸命で真面目でそういう面を好きになった。

わたしは手を動かしながら、食事の準備をする。家にある材料で作った煮物を出す。

徹はその間お風呂に入っている。

携帯を見るが何にも来てない。

わたしはため息をつく。

あんなこと言うんじゃなかった。

徹がお風呂から上がり、食卓につく。

わたしは飲みたい気分になり冷蔵庫からビールを出す。

「晩酌する?」

徹を誘うと二つ返事の笑顔だ。

「珍しいね、ゆうりが飲むなんて」

わたしは体型維持のためお酒は控えてる。

「ちょっと飲みたくなっちゃって」

「何かあったの?」

心配そうに徹がわたしを見る。

洞察力が高い彼なのに油断をしてしまった。

やけ酒だと思われたくない。

「スーパーでね、嫌なことあって」

何気ない話題を出す。

確かにスーパーで嫌なことはあったが、今日のやり取りほど嫌なものでない。

キンキンに冷えたビールは久しぶりに美味しい。

2人で録画した映画を観て眠りにつく。









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