桐谷の気持ち

桐谷はメールを打っている。

『精神的に参ってて』と。

俺は何をしたいんだろうか。

桐谷は机に伏せると携帯が鳴る。

ゆうりからの返信だった。

山下徹に悪いと思いながら、メールを返す。


仕事でミスして精神的に参っているのは事実だったが、話をする人を間違っていないだろうか。徹でもいいはず・・・だが、ゆうりに話してしまう。

ゆうりが自分の恋人だったらいいのに、と考えることもある。

会う前は徹から何度も可愛い奥さんなんだって聞かされていたが、俺は女に興味あるがそこまで興味がなかった。

だが、会ってみると理想の女性だった。

徹には申し訳ないが、俺の方が幸せにできるとも感じた。

しかし、ゆうりは親友の奥さんだ。

口説きたくても口説けないであろう。

「メール、返信ないなぁ」と呟く。

ブブっと携帯が鳴る。

ゆうりからだった・・・。

『話、聞くよ』

これだけで舞い上がってしまう自分が嫌だ。

でも、メールを打ち続けている自分がいる。

聞いてもらって少し元気が出る。

明日からまた頑張ろうという気持ちになる。

ゆうりにとって俺は親友の友達としか思ってないだろうな。

携帯が鳴る。

『桐谷くんにとってわたしはどういう存在?』と返信が来る。

俺は親友を裏切れない。

『友達だよ』と適当に打っておく。


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