第11話「どんな主人公が読者に受けるのか?」⑪

 またこのページを開いてくださってありがとうございます。


 今回は、

「どんな主人公が読者に受けて来たか?」

 という変遷で語っていきたいと思います。


 それで、古典の昭和の物語として、主人公たちはみな〝好奇心旺盛〟で〝活発〟で〝行動力〟がある人物が描かれておりました。


 様々な物語や形態はありますが、大抵はみな、状況に翻弄されながらも、自分に対する障害に立ち向かって行き、〝自己成長〟を遂げるお話が王道となっております。


 ある時期を迎え、僕が小学四年生になったころに、かの〝機動戦士ガンダム〟が放映され、一つの転換点を迎えました。

 みなさんもご存じの通り、主人公アムロ・レイは元々が機械オタクの内向的な性格で、とてもそれまでの主人公像とはかけ離れておりました。

 僕がとても憧れた主人公像のタイガーマスクの伊達直人とは月とスッポン。漢気おとこぎのために虎の穴から刺客を送られる様な性格ではありません。


 ですが、自分が成り行きでモビルスーツ動かせるようになってから、ホワイトベースに収容した難民らを守るために一生懸命命を賭けて戦いに行く姿に、僕は小学生当時に心惹かれて行ったのです。


 その前前番組にザンボット3というロボットものがありましたが、それも僕の心を強くつかんだ作品の一つです。

 なにせ、みんなを守るために命を賭けて戦っていても、主人公一家の神ファミリーは世間からの非難に遭い、それに耐えながら命を賭してまで地球人類の為に戦って行く。

 

 あの姿に、それまで祖母などに聞いていた日本軍人さんたちの姿が重なり、小学校などで教師に教え込まれていた、

「日本軍は悪い人たちだ」

 というイメージから脱却出来た作品だったのでした。


 そう思うようになったのは、僕の子供のころからの背景にもあります。

 偉そうで申し訳ありませんが、僕は小学校一年生のころからずっと学級委員長に選ばれてしまうことが多く、それは高校生まで同様に続きました。

 

 ちょっと愚痴っぽくなってしまいますが、僕の時代の学級委員長はクラス内の選挙によって選ばれるのですが、あの学級委員長という仕事は、やった人なら分かると思うのですが、無報酬でありながら、クラス内の取り仕切りや雑務や責任を負わされる役職です。


 そう、中にはやりたくてやる人もいるのでしょうが、僕はまさしくやりたくない派でした。

 ですが、他の人よりも上手く仕事がさばけるのと、僕が取り仕切ることでクラス内が機能することを自分も周りも良く知っていたので、選ばれたらやらざるを得ない雰囲気だったのです。


 しかし、人前に立つということはそれ相応の労力も多く、たびたび、

「お前はいいなあ。いつも威張っていればいいんだもの」

 という〝やっかみ〟は日常茶飯事で、それはそれは苦しい時期もありました。


 そんな背景があり、僕は〝機動戦士ガンダム〟の序盤で、ホワイトベースの難民のじじいどもが、勝手なことを言ってメインクルーたちを困らせていたときに、

「もう、僕はガンダムに乗りませんよ!!」

 と、アムロが難民たちにキレまくっていたシーンに共感し、

「なんて分かる話を書く物語なんだ!!」

 と、感動してファンになったという経緯があります。

 (この間、アマプラでガンダムを見直した時に、その記憶が蘇りました)


 そう、読者や視聴者に受ける要素とは、今前述した〝共感〟なのです。


 つまり、時代の変遷は色々あれども、大抵ヒットする物語のバックボーンには、それを読んだ読者に共感を得られるか、得られないか、が問題なのです。



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