第8話 「どんな主人公が読者に受けるのか?」⑧

 てなわけで、主観を交えて色々と書いて来ましたが、まあ、そこに正解があるわけじゃあ御座いません。


 ただ、需要と供給が時代の流れに沿うかどうかが問題なんです。


 だって、今の若い世代の方々に、昔の名作の登場人物に共感を得られるかと言ったら、それは少し難しいかも知れないからです。


 かと言って、今の流行っている物語の主人公に、僕らが共感を得られるかどうかは、その時になってみないと分からないし。


 ※※※


 またガンダムの話を例えに持ってきてしまいますが、あの物語を作った人たちは、直接的にも間接的にも第二次世界大戦を経験した世代であります。


 で、ガンダムの第一話に、

【ガールフレンドのフラウ・ボゥの家族が流れ弾の爆撃で死んでしまう】

 というシーンがあります。

 して、実際に僕の母も、東京大空襲から逃れ、地方都市に親せきを頼りに疎開した時、またその都市も大空襲に遭い、親子で防空壕に逃げ込もうとしたら、もうその防空壕は一杯で、命からがら橋の下に逃げ込んだのだと言います。

 しかし話はそれで終わらず、投下された爆弾は母たちが逃げ込んだ橋ではなく、防空壕を直撃して、そこに逃げ込んだ方々はみんな死んでしまったそうです。


 そして、その親せき一家もそれなりの大きさの商家だったらしいのですが、そこの一家のお兄さんもアメリカ軍の銃撃によって命を落としてしまったとのことです。


 母は当時5歳程度の幼児。

 一歩間違えれば、あの〝この世界の片隅に〟に出て来る女の子と同じような運命を辿っていたのかもしれません。


 ※※※


 まあ、そんなわけで話は脱線しましたが、物を語る時には、その人の背中が見えて来るものなのですよ。


「あんた、背中がすすけてるぜ?」


 つづく




 


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