第6話 「どんな主人公が読者にうけるのか?」⑥


 ここで、実在の人物の話。

 あの水戸黄門でお馴染みの【水戸光圀】という人は、若い頃はかなりやんちゃな性格だったようです。

 いわゆる【傾奇者】だったらしいのですが、お相撲さんに刀で斬り付けて殺してしまったりなどという逸話があったそうで。(※本当なんでしょうか?)


 まあ、そんな人が成長して人格者として名高い天下の副将軍となってくゆくような話は、かなり日本人好みだと言えます。

 これは、かの池波正太郎先生の代表作、【鬼平犯科帳】の鬼平こと、火付け盗賊改長官、長谷川平蔵のキャラクター造形にもリンクする所があります。



 本所の鬼銕おにてつとまで呼ばれた暴れ者が成長して長官という役職に就いた時、その才覚によって庶民の熱い支持を得る。

 こういう〝酸いも甘いも嚙み分けられる〟人物が、昭和という時代までは実在していたのも筆者の記憶にあるところ。


 かの田中角栄元総理も、そういった実在のキャラクターとして記憶にありますし、僕が過去にお会いしてきた〝昭和の社長〟たちも、そういった気質を持っていました。(※そうじゃない人も沢山いましたけど……)


 ※※※


 そうそう。

 この文章を読んで、【共感】された方が、今現在どれぐらい居るのでしょう。


 この【共感】が無いと、読者側が納得しないんですよ。



 今現在の創作物で人気のある物は、【読者側が、その創作物の何かに共感しているから】だということなんです。


 ということは、前回述べた【内向きなキャラクター】が主人公の創作物にインスパイアされているということは、読者側が【内向きな性格である】可能性が高いということなんです。

 だって、僕は全くと言ってよい程、エヴァンゲリオンの碇シンジ君に共感を覚えませんでしたから。



 ※※※


 でも、あの作品が大ヒットした要因の一つに、

【碇シンジという主人公像を求めていた】

 人たちが居たということなんです。

 いわゆる、そういう開拓もありだということなんです。



 つづく


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