17.日本・京都編

―8月25日午後4時。


レイラたちは大阪国際空港にいた。


「日本の空港は醤油の匂いがするって話だったけれど、ここはソースの匂いがしますね」


「えっ?セリカ、わかるの?」


「あはは、冗談ですよ!それより、たこ焼き、食べてみたいです!」


「あはは、びっくりさせないでよ。OK、たこ焼き食べましょう!」

そして二人は早速、市内でたこ焼きを頬張った。


「レイラ、たこ焼き美味しいです!」


「美味しいよね。私も大好きなんだ」


「人生で食べた食べ物の中でベスト3に入るかも!」


「じゃあ、たこ焼きと、あとは?」


「まあまあ、良いじゃないのー!」


「ははっ、なあにそれ。じゃあその内、教えてよね!」


「オッケーでーす!これから行くのは?大阪城ですか?」


「ううん。京都よ」


「京都ってまさか?」


「そう、そのまさかよ!」


「ゲイシャー!」


「って何でよ!」


「ヤツハシ?」


「違う!って言うか、セリカ予習しすぎでしょ!目的忘れてないでしょうね?」


「勿論です!あれですよね、今までの流れから行くと・・・平等院鳳凰堂でしょ?」


「・・・正解。そのまんまってね・・・。まずは京都、行きましょうか」


「ラジャー!目的地、京都府宇治市、平等院鳳凰堂!」


“京都府宇治市、平等院鳳凰堂へ向かいます”セリカのSUVが目的地を呼称した。


「すーしっ♪てんぷら♪らあっめーん♪さーけ♪かんぱい♪おにっぎりー♪ニーイッポン・バンザーイ♪」


「何その歌?」


「ニッポン・バンザイ・ごちそう天国ですよ?」


「そんな歌あるの?」


「今作りました!たーこやきやき♪すきっやきー♪今夜のディナーはなんでしょねー♪」


レイラはセリカの食欲全快な歌を聴きながら今夜の夕食を想像した。


「何か、おなか減ってきちゃうじゃない!」


「あははは」


京都へは空港から一時間ほどで到着した。


「ねえ、レイラ、これから平等院鳳凰堂に行ってどうするの?」


「今すぐは行かないわ。凰麗を平等院鳳凰堂の近くで待つ。私の心が平等院鳳凰堂へ行きなさいと呼びかけている。近くに行けばもっとわかるはず。」


「なるほど。でももし、言い難いのだけれど・・・」


「鳳櫻子ね」


「・・・うん」


「その時は迎え撃つ。櫻子が近くに来ても多分、今ならわかると思う。彼女もソース・オブ・ライフを持っているから」


「なるほど」


「そう簡単に凰麗があんなやつに負けるわけないわ」


「そうだよね」


「そう!そうと決まれば、準備しよう」

レイラはそう言いつつ凰麗の安否については不安にさいなまれていた。


凰麗はレイラに何かしらのメッセージを送ってきても良いはずなのに何一つ今日まで来ていない。そしてアメリカでボダウェイが話した黒い炎。レイラはまた再会できるようにと、しきりに凰麗を想うことしか出来なかった。


「OK!準備っつうことで、まあ、この天才発明家の自信作、ご紹介させて頂きます!」


セリカはレイラの前で自分の発明品を広げ説明を始めた。


「まずこれがお馴染みのぉー、フラーイ・ハーイ!」


「あっ、はいはい」


「あー!自分は飛べるから興味ありまっせーん!って感じじゃない?」


「そんなことないよー。ごめん!ちゃんと聞くね!」


「よろしー」


「お次が~、アンダーウォーター・ブリージング!略してUWB(ウヲブ)よ!」


「へー、そのおしゃぶりみたいのが水中で呼吸できるようになるって訳?」


「ななな、何でわかるの?」


「そのまんまじゃない・・・」


「そっか、私の研究を覗かれたのかと思った」


「そんな暇人じゃないわよ。それに見ていたところで仲間なんだから問題ないでしょう」


「でーすね・・・。いやー、鳳櫻子がソース・オブ・ライフのブルーを手に入れたじゃないすか?」


「ええ」


「そこでこれはやばいなと思いまして、しかも取られちゃったのが、よりによって私が護ってきた可愛い可愛いサンちゃん」


「サンちゃんって・・・」


「サンちゃんです!レイラはあの時初めましてかもしれないけれどね、私なんて物心ついた時から一緒ですからね!」


「そうだよね、それは愛着沸くよね・・・。でもサンって日本語でしょ。絶対、サンちゃんって私が日本語教えてからつけたでしょ?」


「あれ?ばれました?」


「ばっれーばーれっ!」


「まあ、話が脱線したけれど、水の力を使うってことは私たちを溺れさせる可能性は極めて高いかなと思ってさ、そこで夜な夜なこれを開発していた訳ですよ。後は完成したデータを私の研究所に送って完成品を送ってもらったって訳」


「それにしてもよくこんなせわしなく移動しているのにトラブルなく完成品受け取ることが出来たわね?」


「そりゃーこれっすよ」

そう言ってセリカはレイラに縦横六十センチ程のドローンを見せた。


「なにそれ?ドローン?変わった形。鋭利と言うか、三角に近いわね」


「そう、これが、スーパーウルトラドローン!」


「そのネーミングセンスどうにかならないの?」


「えー?滅茶苦茶カッコいいじゃん!スーパーでウルトラだよ?でね、このドローンは何と、時速10000キロで飛びます!マッハ8です!」


「それは物凄いね!」


「でっしょー!これでお届けしてくれるので速攻です!」


「確かにそれならすぐだね!」


「はっはっはー。もっと褒めて!」


「いよっ、天才科学者!」


「まあまあ、わかっているならいいのですよ」


「他の発明品もあるの?」


「ありますよ~!これが・・・」


セリカの新しい発明品は必要性を感じない物も含めると23点にも及んだ。レイラに会ってから、合間合間に発明していたというのだから、間違いなくセリカは天才だとレイラは確信していた。


「ねえ、セリカ、今夜は何食べたい?」


「そりゃー、美味しいものが食べたいです!」


「オーケイ!赤音に連れて行ってもらったお店に行きましょ!おごっちゃう!」


「やったー!」


レイラはセリカの明るさにとことん救われていることに感謝した。そのままレイラたちは夜の京都の町中へと消えて行った。

 

数日後、レイラとセリカは平等院鳳凰堂にいた。


―今日は9月29日。


凰麗が言っていた100日間は6月30日からだとあと1日しかない。レイラは待てども現れない凰麗にしびれを切らし、下見のつもりで訪れた。


「ここが決戦の地・・・」

セリカが固唾を呑んだ。


「綺麗ね・・・。ここもだけれど、地球上には数えきれない程の綺麗がある。そしてそれは無限ではないのよね。私たちの肉体が有限であるように、この世界の全ては有限。それは自然の摂理なのに鳳櫻子はそれを受け入れられない愚かな人・・・」


「あっ、あのっ、すみません」

レイラの後ろから男性の声がした。振り返ると、若い僧侶がそこにいた。まだ18くらいだろうか、輝く頭は青白く、絶賛修行中ですといった若々しさが体全体から漂っていた。


「何ですか?」


聖海せいかいと申します。住職からお二人を奥へ通すようにと仰せつかったもので」


「あっ、わかりました」

若い僧侶は二人と池にかかる橋を渡り、内部の阿弥陀如来像の前に二人を案内した。


「あれ?住職は?」


「この下です」

そう言って若い僧侶は阿弥陀如来像の下にある隠し通路へ二人を案内した。


隠し通路を進むと柱は木造、床は畳、天井には部屋いっぱいの広さに描かれた鳳凰。そういった部屋が広がっており、その奥に住職が座禅を組んで二人を待ち構えていた。


「お待ちしておりましたぞ。ついにその時が来たのですな」そう話す男が住職のようで歳は40代後半から50くらいだろうか。物静かで、既に何かを悟ったことは明らかな落ち着いた風貌だった。


「え、あっ、・・・はい」

レイラは“今日は下見です”とは言えず気まずそうに返事をした。


「私の名前は鳳善ほうぜんと申します。凰花様ですね?」


「私の名前を知っているのね?」


「知るという程では御座いませんが、阿弥陀様が枕元に立ちまして、凰花様が本日いらっしゃる旨を教えて下さいました。あなたがいらっしゃることと、あなたが伝説のフェニックスであることを」


「いやいや、私は伝説のフェニックスではないですよ。伝説のフェニックスは私の、そうですね、母です」


「そうでしたか、それではあなたは姫君ですね」


「いやー、そう言われると、照れますね・・・」


「ふふ」

照れるレイラの横でセリカがにやついた。


「ああ・・・そして、もう一方ひとかた・・・」

鳳善は悲しそうにそう言った。


「「!」」


和やかな時間が続きそうなのは気のせいでしかなかった。鳳善が話をしている中、強烈な殺気が迫ってきたことにレイラと鳳善は感づいた。

レイラと鳳善は周りを見渡した。


「来たわ!」

レイラは険しい顔で天井を見上げながらそう言った。


「来ましたな・・・」

鳳善も右眉をピクリと動かしながら座禅をほどき、素早く立ち上がった。


「来たって、もしかして・・・?」

セリカの頬を冷や汗が通過した。


““ドーン!””


物凄い轟音と共に、部屋の天井が崩れ落ち、鳳櫻子が青い光に包まれ現れた。


“ブワッ”


そして次の瞬間、櫻子は己の周りの全てを吹き飛ばすかのような衝撃派を解き放った。


「「うわー!」」

レイラ以外、そこにいた人、あった物、その全てが四方八方に吹き飛ばされた。


「櫻子!」

レイラが赤い瞳を更に強く赤くしながら櫻子へ睨みを利かせた。


そしてその直後には地上に広がっていた池の水が続々と中へ流れ込んで来る。


「あーはっはっはっ」

高笑いをしながら櫻子はレイラに素早く襲いかかり、ソース・オブ・ライフの力で宙に浮かび上がらせた2メートルはある岩を挨拶代わりにレイラへぶつけた。


「レイラ・凰花・バード。お前が待ち望んだフェニックスは私がぶっ殺してきてやったよ!」

そう言ってほくそ笑んだ櫻子の胸元は、青、オレンジ、白、赤、四色の輝きを放っていた。


「凰麗・・・」

レイラは薄れ行く意識の中で凰麗を想い、涙を浮かべた。


「お前はね、何一つ手に入れることは出来ないよ。今も、この先もね!」

そう言って櫻子は池の水を空中でまとめ上げると、レイラに勢いよく覆いかぶせた。そしてその水はレイラの体を包み込み続けている。

「ふふっ、このまま溺れ死ぬが良いよ」

水の中で静かに浮遊するレイラを前に櫻子は微笑んだ。


「鳳櫻子!お前の全ての攻撃、レイラには効かないから!」

セリカが瓦礫がれきの下から体を起こしそう言った。


「たわごとを・・・」

櫻子は口元を片手で色っぽく隠しながらそうあざ笑った。


櫻子の前には直径六メートルはあるであろう水の球体が浮いていた。球体の水は不安定に揺らめきながら水流を中で描いている。その中心でレイラがのけ反るかのように浮いている。


「ほらほら、もう溺死しているじゃないか!」

櫻子は嬉しそうに興奮しながらそう言い放った。


“ゴポゴポゴポ”


水球体の中でレイラの瞳が赤く輝いた。レイラは口にセリカの発明品、UWBをくわえていた。レイラは微笑むとその場から一瞬で姿を消した。


「?」

櫻子は突然の出来事に辺りを見渡した。


そして次の瞬間、櫻子の手足を緑の植物が次々と絡みついていく。

「んん⁉」

その植物は更に成長を進め、櫻子の口元をも覆い始めた。

「ああー!もうっ!」

櫻子は怒りをあらわにし、自分を炎上させた。ソース・オブ・ライフ・四番の力、炎の力だ。櫻子に絡まっていた植物は全て一瞬で焼き尽くされてしまった。

「ぅもー、レイラ!何処行った⁉」

櫻子がイラつきながら声を荒げた。


「ここだよ、おばあちゃん」

そう言ってレイラは櫻子の前方に再び姿を現した。


「不愉快。実に不愉快!人造人間が人間様に盾突こうなんざあーっ!」

櫻子は癇癪かんしゃくを起しながら右手を上げると、弧を描きながら空一面に雷雲をかき集めた。それと同時に左手でレイラの足元をかざすと、大地が盛り上がり鉱物でレイラの足元を固める。


京都の空は雷雲で瞬く間に闇に覆われていた。空のいたるところで雷光と共に雷鳴が響いている。


「ママのところへ送ってあげるわ!」

櫻子はそう叫ぶと、大きな雷をレイラめがけて落とした。


レイラは待っていましたとばかりにソース・オブ・ライフ・6番の力で時空を操り、自分に落ちるであろう雷を櫻子の頭上へ切り替えた。雷は瞬く間に櫻子の脳天めがけて突き刺さった。


“ドーン!”


「あーはっはっ、そーんなもの私に効く訳ないじゃない!」櫻子はけろんとした表情で高笑いをした。


一方のレイラも口元を少し緩め、こう言った。


「櫻子、愚かな女。あなたの秘密、聞いたわ。あなたの一声で始まったアンドロイド生産。第1号機のガイアはマルタン警部がモデル。あなた、過去にマルタン警部に恋して振られているんですってね。いい歳して年下の男に見向きもされないでアンドロイドになぐさめてもらおうとしたのね」


「人造人間の分際で私を小ばかにしやがって、跡形もなく殺す!」

眉間に青筋を立てた櫻子はそう叫ぶと、周りの水と炎と大地を合わせ、マグマを生成した。そしてそのマグマをレイラに向け放った。


津波の様なマグマのビッグウェイブがレイラを襲う。


マグマはレイラが避けようがどの道、そのまま背後の街を襲う。


レイラは咄嗟に時空を操り、自分もマグマも櫻子も、まとめて宇宙へ飛んだ。


宇宙空間に出た瞬間、レイラは両手両足を大きく広げる。体は大きく力強い光に包まれた。


「鳳櫻子、愚かな女。私が手にしたソース・オブ・ライフ・6番・パープルは時空や次元を操作できる。7番・イエローは宇宙のエネルギー、光を操ることが出来る。宇宙のエネルギーは命そのもの。あなたが手にした水も炎も大気も大地の恵みも宇宙では無に帰る。ソース・オブ・ライフは誰かを傷付ける為に存在していない。全ては地球ホシ生命更新ライフ・リニューアルの為にある究極エネルギー体。あなたの手には余る代物だったのよ」


そう話すレイラの前には、マグマが固まった溶岩石と同じように固まった櫻子の体が静かに浮遊していた。酸欠に苦しんだ様子で櫻子は両手で喉元を押さえ苦悶の表情を浮かべている。


レイラは櫻子から4つのソース・オブ・ライフを取り出すと、その場から静かに姿を消した。


― 同時刻、平等院鳳凰堂


そこには鳳龍玄の姿があった。


「もう間もなく、お母様が人造人間を滅し、この世界を手に入れる。お前らの命も秒読み段階だ」

そう言って龍玄はフライ・ハイに乗り、両手に抱えたレーザーサーベルでセリカに斬りかかった。


セリカも自前の新作の武器、レーザー・エクストリーム・マシンガンを龍玄目がけて乱射した。その名の通りレーザービームが銃口より乱射される。


“チュンチュンチュン”


しかし龍玄はことごとくそれをかわす。


「えっ?何で?」

セリカは焦った。このビーム銃はどんな下手くそな狙撃手でも相手に命中させることができる自信作だった。


「無駄だ!この体はビームやレーザーの類が当たらないようになっているのだからな!」


“パンッ”


龍玄がそう言った次の瞬間、龍玄の胸に風穴があいた。


「何だ、お前も人造人間じゃねえか」

声の主はマルタンだった。手元には硝煙を上げる銃がしっかり握られていた。


「マルタン警部⁉」

セリカが興奮しながらマルタンの名を呼んだ。


「自分で鉛玉は効きますよ言っているようなもんじゃねえか。散々、人造人間だアンドロイドだって馬鹿にして、自分自身がそうだったなんて知らなかったんだろうな・・・。俺からしたらお前も櫻子も滑稽でしかない」


そして間もなくレイラが皆の前に帰ってきた。嬉しさのあまりセリカがレイラに飛びついた。


「良かった!櫻子に勝ったんだね!」


「うん!」


「おい、レイラ!時間が無いんだろ!自分の力を解き放て!世界が終わっちまう前にな!」

マルタンは少し呆れているような面持ちでレイラにそう叫んだ。


「うん!本当、時間が無い!」

レイラはそう返事をすると吹き飛ばされて気を失っていた鳳善の手を取った。

鳳善の体はレイラの力でみるみる回復した。


「行きましょう、フェニックスの姫君」

力を取り戻した鳳善はそう言って立ち上がった。


そしてレイラは鳳善と共に富士山の山頂へ時空を超えて移動した。鳳善は山頂に着くや合掌し、経を唱えだした。すると富士山全体が“ゴー”と大きな轟音と共に揺れ始めた。地球のコアへは富士山の山頂から真っ直ぐ下る必要があった。


轟音と共に開いた真っ赤な火口をめがけてレイラは飛び込んだ。


核に近付けば近づくほど今まで感じたことのない物凄いエネルギーがレイラの体を包み込んだ。


「どうしよう、人間の肉体では、私一人の力では、届かないかもしれない・・・。本物のフェニックスだってつがいで行うことなのに、私一人では・・・」


ソース・オブ・ライフのエネルギーに護られているもの、レイラの体はどんどんダメージを重ねていく。最初は服、それから髪の毛、肉体・・・ゆっくりゆっくり溶けて行く。


― これ、死んじゃうやつだ・・・・。


レイラは体全体に激しい痛みを感じながら死を覚悟した。


『・・・凰花』


― 誰?


『凰花・・・』


― この声は凰麗・・・。


『あなたは一人じゃない。私がいるわ。そして鳳輝もいるわ』


薄れ行く意識の中、目に映るのは鳳凰だった。鳳凰はレイラを護るかのように挟み込み、暖かく包み込んだ。レイラは自身の翼を一生懸命動かした。いつしかレイラの体もフェニックスの形をしていた。


― これが地球のコア・・・。


核はどす黒く燃えていた。何もかもその黒い闇に飲み込んでしまいそうな、強烈な闇の輝きを放っていた。


核を前にレイラの体は人の姿に戻っていた。


しかしそこに肉体は無く、幽体になっている。


レイラは、体内にあった七つのソース・オブ・ライフを取り出し、その七つのソース・オブ・ライフはゆっくり円を描く。


レイラはそれをそっと両手で核に押し付けた。すると黒かった核はソース・オブ・ライフもろとも消滅し、小さくて白く輝く新しい球体の核がその場に残った。


「これが核の赤ちゃん・・・なのかな」

そういってレイラは核に手を差し伸べた。


核はとても優しい暖かさがした。

「良かった・・・間に合った・・・」

レイラの両目に涙が滲む。





地上では宇宙から、そして地球の内部から眩い光があふれ出した。




そしてその瞬間、地球の生命体全てが立ち止まり、命の息吹を感じた。




それはとても暖かく爽やかで心地の良いものだった。




ここからまた500年、新たなこの地球の歴史が始まる・・・。








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