第29話 痛みは何年も僕に絡み続ける


喫茶店[グレタ]。決して店主がグレたと言う

意味合いで付けられたものではなく

きちんとした理由があり、

グレタとは英語でGreta と書き意味は

イタリア語で『真珠』『大切な人』。


まるでフレデリックたそにお似合いの言葉!

と初めて来店した時の僕は、心のなかで

はしゃぎまくり お店に入ったばかりだと言うのに 席に着いたとたんアホすぎる告白をしてしまう。


「「真珠の様に輝き続ける君を大切にする!

僕と一生を添い遂げて下さい!!」」


まだ付き合ってもいない人にいきなりそんなこと言われても、誰だって困惑するしドン引きもする。それなのに僕は喫茶店の由来を

利用してまで、告白をしまった。

過去に戻れるのならば今すぐあの日に戻って自分を殴りに行きたい。ほんとに、うん。

勿論フレデリックたその返事はNO だった。


___

イタすぎる思い出がフラッシュバックする


「なんで勢いで告白しちゃうかなー。

馬鹿なの僕は?いや、馬鹿だね。」


ボソボソとマスクの下で自分に対して文句を言う。ちなみに今日の服装は黒ぶち伊達眼鏡

に、群青色のジーンズと以前AvailとコラボしていたGOD EATERの黒パーカーをグレーの長袖の上に羽織り いかにもチャラ男雰囲気を醸し出していた。


4人が店に入った後、僕も入店し監視できる

程度の距離を保てる席に座った。


「ご注文が決まりましたら、あちらでコーヒーをお受け取りください」と店員に言われた常連である僕は この喫茶店の仕組みを

熟知している為、 なれた手つきでカウンターに向かう。


その際、意図的に4人の座る席の横を通り

倉本兄妹をチラ見する。

「………。」

(まじで、まあまあな顔やな。)

倉本健の印象は特に変わらなかった。

良くもなく悪くもなく普通の顔。

こんなやつの特務を強いられるフレデリックたそが可哀想でならない。


「今の人、何かこっち見たよ?こわ…」

小声で僕を貶す倉本せいか。

そりゃそうだろう、君の目の前に居る

美女本人から命令を受けてるんだから。

(見たくもない)顔を覚えろってね。


2人を睨み付けた後、カウンターにて

コーヒー豆を選ぶ。

「グアテマラの豆をお願いいたします」

「はい、かしこまりました。」

涼しい顔でメニューを決め、大人しく席に

戻る。

(さっきフレデリックたそが悩みに悩んで

選び抜いたのは……グアテマラと。)

脳内のメモ帳に書きこみ保存する


暫くすると先程の男性店員さんがコーヒーを

持ってきてくれた。

普段付けない筈の紙のコースターと共に。

対して驚きもせず頂く。

「ありがとう」

そういうと店員さんはぺこりとお辞儀をして

意味深な微笑みを僕にした後仕事に戻った。当たり前だがこの店員さんも顔馴染みで

名前は佐々木さん。唯一 この喫茶店の中で

僕の本職を知っている希少な存在の方である


「さてと…」

温うちにコーヒーをひと口飲みつつ、コースターをひっくり返し裏のメモをみやる。

(やはり伝言だったね)

裏には直筆でフレデリックたそからの

メッセージが書かれていた。

「これが終わったら家に向かうので

コーヒーを飲み終えたら大人しく帰ること」


!!!???

動揺を隠せずコースターを顔に近づける

(え!!ま!?やった!フレデリックたそ

家に来るのか!!)

まさかのお家デートに脳内はお祭り騒ぎ。

直ぐ様コーヒーを飲み終え秒で会計を済ませ

足早に店をでた。若干 視線を感じたが無視


「やばいやばい!掃除しなくちゃ!」

独り言を発しながら歩き出した。

___

家に着くなり掃除機を取りだし慌てて自室を

かけ机の物をささっとまとめて隅に追いやる


「ふぅ~。あ、紅茶!お湯!」

バタバタと足音を立て、今日2度目の湯沸し

をする。

「アールグレイ、ハイビスカス、アッサム、

アップルティー……」

たくさんの紅茶の種類が勢揃いしている箱を見てどれを出すか考える。

「アールグレイかな」

1パック取りだし、ポットに入れる。


入れたと同時にチャイムが鳴った

ピンポーン

ダッシュで玄関に向かいドアを開ける

「やぁ愛しのフレデリックたそ!」

「はぁ…変わらずのテンションありがとー」

恐ろしく冷めた声で僕を射止める

フレデリックたそがそこにいた。



























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