第24話 コーヒーの苦さと共に③
多分というより絶対それの答えが欲しいが為に付いてきたであろう質問。
当たり前だが、突然せいかに話をふられた フレデリックちゃんは困り果てていた。
「どう…とは?」
「え、や、だから。見た目とか性格とか
雰囲気とか 何かないの?」
少し苛立ちげに答える我が妹。
天然要素も入っているのだろうか?暫く
考え込んだ後フレデリックちゃんは答えた。
「ん……見た目は格好いいですよ。顔立ちも
すっきりしてますし。性格は優しいですね。
あまり怒らない印象なので話しかけやすい
です。雰囲気は何となくですが昔のボスに
似ています。…そんなところでしょうか?」
真面目に答えてくれた。恥ずかしい
「へぇ……そう…なんだ。妹ながらに誇らしく思うね。こんな美人さんに誉めてくれるとは、ね?おにいちゃん?」
「うん、そうだね。何かちょっと照れ臭い
けど素直に嬉しいかな。」
そう答えると、意味ありげな我が妹の視線が全力で飛んできた(怖い)
殺す……!と言われてるような気がする
思わず目をそらすとボスと目が合った。
「はは、なーんか倉本くんは妹ちゃんに弱みでも握られてる感じがするぜ」
「え"!いやいや。そんなこと無いですよ!
何を仰ってるんですか!なあ?せいか」
「うん、そうだねぇ。いつもいつも献身的に
おにいちゃんにお茶やら御菓子やら出して
あげてるのに「「ありがとう」」の一言もない
くせ、フレデリックさんが来店されたときは真っ先に声をかけて容姿を誉めるまくるのは
何でなんだろうね?」
「あぐ。ごめんなさい……」
(超絶長台詞を噛まずにつらつらとのべたのは誉めるけどもね。)
「そうだったんですか。道理でせいかさんの
視線が熱いなと思ったんです。ふむ成る程
せいかさんは倉本さんが好きなのですね?」
「はっ!?なっ、何いきなり変な事言っちゃってるの!?バカじゃないの!?おにいちゃんなんか嫌だし!」
突然の爆弾発言に戸惑いを隠せない我が妹
そして声を荒げたタイミングが悪かったのか
折角店員さんが持って来てくれたコーヒーが
床に落ちてしまった。
「きゃっ…」
ガシャン
「あっ…」
粉々に砕け散り床がコーヒーまみれになった
「あーあ、ほらみろ。いきなりでけぇ声
なんか出すから。」
さっきの仕返しとばかりに我が妹にひと睨み
そして静かに店員さんに近づきカップを
拾い上げる僕。
「大丈夫です!お客様にお怪我などされたら
申し訳がたたないです!」
必死に謝り僕の手を阻止しようとするが
流石にそれは無理だった。
「いえ、妹が迷惑をかけたのが悪いんです。
それに店員さんだろうがお客様だろうが、
女性に割れたカップを拾わせるのは男として
あり得ない行動ですからね」
そして軽くまとめあげた破片たちを店員さんが急いで持ってきた箒と塵取りで回収。
一先ず席の周りはキレイに片付いた
「ふぅ……疲れた」
「お疲れ様です、倉本さん。素早い手動き
でした。」
「あぁ、いや。あんなの朝飯前だよ」
「………おにいちゃん、二人とも。
ごめんなさい」
余程 迷惑をかけたのが悲しかったのか
正直に謝ってきた我が妹
「大丈夫だよ、ちゃんと反省してりゃ誰でも許すさ。きにすんな」
「そうですよ。私も失礼な答えをしてしまったのも原因のひとつですし。」
「ありがとう……」
目に涙を浮かべ、泣き出す 。
僕とフレデリックちゃん、ボスは せいかが泣き止むまで優しく見守った。
その後、無事にコーヒーがきたので4人で
他愛もない話をして、盛り上がった。
___
夕方になり、日が沈んできた。
時間も時間だということでお開きになった。
「そんじゃ、今日は楽しかったぜ。また
遊ぼうな?倉本兄弟?」
「はい、こちらこそお誘いありがとうございました。何かありましたら何時でもお店に
来てください。フレデリックちゃんもね?」
「はい!分かりました!」
「今日は楽しかったよ、フレデリックさん。
今度は女子会でも開きましょ?」
「!はい。せいかさんの話も沢山お伺いしたいので、私も何時でもお待ちしております」
フレデリックちゃんとせいかは親睦を深めたようで、さっきケー番を交換していた。
2人と別れを告げ、その後何も会話をせず
スタスタと僕らは家に帰った。
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