第21話 お誘い&兄妹喧嘩



我が妹のストーカー事件から早1ヶ月

学校の方も落ち着き、せいかも無事に

メンタルを回復し いつも通りの何気ない日々を送っていた。


しかし今日は朝から罵声が飛んできて

その第一声が

「おにいちゃんなんて大嫌い!!一生

引きこもってれば!?」

である。


(それは色んな意味で無理やなぁ)


事の発端は昨日の夕方に起きた。

お客さんも少なくなってきたので そろそろ

店を閉めようかと考えていた頃 ボスが来店

されたので挨拶をしに行ったのだ。


自然とその習慣はついてしまい、完全に部下的立ち位置になっているのは気のせいだ。


「いらっしゃいませ、ボス。今日は

どうされたのですか?」

「よぉ!倉本くん。ちょっと用事があって

来てみたんだ。」

「…僕にですか?」

「ああ そうだ。急で悪いんだが明日

空いてるかな?久しぶりに休みが取れたからフレデリックと一緒にコーヒーでも飲みに

行こうかと思ってね。倉本くんもどう?」


「え、ほんとですか!?」

「ははは。本当じゃなかったら誘わねぇよ。

息抜きにコーヒーを飲むのは良いぞ」

「おお、そうなんだ。どうしようかな…。」

「妹ちゃんも良ければ誘ってみたらどうだ?

俺は別に構わないぞ。」


「ふむ、せいか…」

「無理そうならまた今度誘うが、どうする?

命令制でもねぇし、頭の片隅にでも置いて

くれるだけでもありがてぇからよ。」


「分かりました。後で妹に聞いてみます」

___


とまぁ、簡単にいえばコーヒーのお誘いを

受けたと。それで僕は我が妹に一緒に行くかをきちんと聞いたのだが結果は惨敗だった。


しかも何故か物凄く怒られた

___

「おにいちゃんは絶対騙されるタイプ!!

何でそんなホイホイ付いていく訳!?

バカじゃないの?!」


「そんなに言わなくても…。ただコーヒー

飲みに行くだけだよ。ボスも妹ちゃんが心配

だろうからってお前の同伴許可してくれた。ね?行こうよ」


「フレデリックさんも居るんでしょ?」

「当たり前です。何が悲しくてボスと二人

きりでコーヒー飲まな あかんねん。端から見たら部下が説教くらってる図になるわ」


「それもそうか。うぅ~ん……それでも

嫌だ。おにいちゃんだって折角の休みだし

私と一緒に家で過ごそうよ」


「それいつもじゃね?」

「ぶー!なんなのよ、もぅ知らない!一人で行ってくれば!?私は絶対行かないから」


いきなりキレる我が妹


「そんなに言うならお言葉に甘えて一人で

ボスとフレデリックちゃんに会いに行って

きますぅ~!」


バタン

思いっきりせいかの部屋のドアを締める僕。

あんなに言わなくても良いじゃないか。


自然と腹がたってきて抑えきれなかった。

出会ったばかりだとはいえ、とても二人には

良くしてもらってるし ちゃんと本も買いに

来てくれる。それの何がダメなのか?


自室に戻り思考を巡らせるもせいかの真意

には、たどり着けない。

何がそんなに嫌なのか本気で解らなかった。



「まぁいいか、それより服とか決めないと。

フレデリックちゃん美人だからなぁ。

ダサすぎる格好は禁物と」


ボスも身なりは いつも清潔にしてる。

何より革ジャンが似合いすぎて軽く尊敬。

しかも何の香りか知らないが良い匂いがする

男として完璧。


「つか、この猫背直さないとな。いや直そうとはしてるんだけど。」

顔は良くても猫背なだけで皆に幻滅される。

それはとっくに判りきっていた事だった。



「こんな姿フ レデリックちゃんになんか

見せられないなぁ。頑張らないと」


パンパンと顔を叩き再び服選びを再開する。

暫く吟味したあと無事に衣装が決まり

早めに就寝。

___

翌朝、平然と出掛けようとしたら冒頭に

書かれていた罵声が飛んできたのである。


せいか曰く ここはやっぱり

「僕行かない事にしたわ」っていうのが

兄としての務めでしょ!だそうで。

何が務めなのか不思議でしょうがないが

兎に角 行くなと言いたいらしく、その罵声が完成された。


フレデリックちゃんに会うな=引きこもれ?

軽く監禁じゃないかと突っ込みたくなるのを

抑え我が妹に立ち向かう兄。


「なんとしてでも行かせてもらおうか」































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