第20話 組織に勧誘
僕はスキンヘッドの男と茶髪の女の子に
連行され、黒のジムニーに乗せられた。
「さてと…まずは謝罪と自己紹介だな。」
そう運転席に座り、こちらを見る厳つい男。
「俺はウィリシア・レビィだ。お見苦しい所をみせたな。謝らせてもらう。悪かった。」
「あっ、いえ。そんな!大丈夫です!!寧ろ
両親が居なくなって良かったっていうか、
何ていうか、えっと…言葉が出てこなくて…すみません」
「いんや、大丈夫だ。逆に俺等がトラウマに
なったらどうしようかと。」
「あはは……」
(意外と気さくな方だな)
「あとは私の自己紹介だね。私は
フレデリック・サイデリカと申します。
宜しくね小糠雨しん君!」
そう後ろの席から聞こえてきた女の子の声
と言うか
「え…?なんで僕の名前知って…。」
「さっきは少年くんって言ったけど実は
最初から君の名前知ってたんだよ。ね、
ボス?」
「ああ、実はそうなんだ。俺とフレデリックの仕事はな、事前に 人の情報をある程度
知っておかないと出来ないんだ。」
「だから色々調べさせてもらった。なに、
自分のやべぇ性癖とかじゃねぇから安心しな基本的な家族構成とか、両親は何処にお勤めなのか、とかそーゆーのだから」
(逆に性癖知られてたらある意味終わるわ)
「なるほど、それで僕の名前が。」
「そういうこと。まあ、さすがにしん君が
両親にDVを受けてたのは初耳だったけど。
そこは私の力不足だね。」
「……。」
「でも暴力を受けてるのを真っ先に見つけたのはフレデリックなんだぞ?俺なんか暗くて
全然見えんかったわ」
「そう、なんですか?えと、フレデリック
さん」
「そんな畏まんなくていいよ~。」
「ではなんて呼べば?」
「しん君のお好きなように呼んで?」
「じゃあ……フレデリックたそ。」
「???」
「ぶはっ!ふはは!!たそ!はははは!」
「ちょっとボス!何笑ってるんですか!?」
「えっ、だ、駄目ですか?たそ」
「いや…駄目ってほどでも無いけどっ!
けどなんか、恥ずかしいよぉ」
「良いんじゃねぇのか?それで。親しみが
あって 呼びやすそうだし。な?」
「はい!呼びやすいです!」
「んもう…それでいいよ。好きに呼んでって
言ったのは自分だし。」
「やった!フレデリックたそ🖤」
「急に距離縮めてくるし…」
「まぁ兎に角 君のご両親に用事があって
来たんだけど、なんか広場で暴力受けてる
君が居たから これはヤバいと思って 咄嗟に
輪に入ってったわけ。」
「そうだったんですか……」
「別にご両親が仕事で何かやらかしたって
わけじゃないよ?そこは大丈夫だから」
「はは…」
(表では上手く立ち回ってたんだろうな)
「それでね、しん君。出会ったばかりで申し訳ないけどお願いがあるんだ。良いかな?」
「??良いですけど。助けてもらったので
僕が出来ることなら何でも。」
「ほんと!?やった。あのね、罪滅ぼしって
感じで捉えてほしいんだけど。しん君、育ての親が居なくなってこれから大変だと思うのだから代わりにボスが親になって、今から
家族になろう?私も傍に居るから。」
「家族……。」
「まぁ、こんな厳つい男が親っちゅーのは
嫌かと思うけどさ。それを逆手に取ることも
出来るから割りと良いアイディアかなって。
それに殆んど俺 仕事で家開けてるし。
ほぼフレデリックに家事とか任せてるから
大丈夫だとは思うんだけど。どうかな?」
「あっ、因みに。両親が殺されて世の中 大変
な目にあうけど そこら辺はこっちでうまく
始末しとくから安心して。」
「あぁ、ありがとうございます。……では
宜しくお願い致します。」
「割りと早い決断だな。いいことだ。」
(グダグダしてると何されるかわかんねぇし
大人しくしとこうって判断なんすけどね)
「じゃあ、ひとまずこれでしん君の安全は保証されたから 自宅に向かうね!ボス宜しく」
「あいよ。」
ブロロ…
「……。」
新しい家に着くまで組織の仕組みや仕事内容をこと細かく教えて貰い これから
僕がどんな生活を送るのかをフレデリック
たそは、にこやかに話してくれた。
そして 僕はハッカーとして働き始める。
全てはフレデリック・サイデリカのために_
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