第18話 親の素性


[4年前]


(これ、いつ…終わるんだろう?)


真夜中 0:00すぎ日付が替わった頃。僕は

大量の冷たい水を浴びせられ、顔も殴られ全身 痣だらけになっていた。

おまけに色んな所から出血している


場所は実家兼本社のビルの一階。の広場にて

それは行われていた。

(……寒いなぁ……)


目の前には空になったバケツを持つ母と

拳を強く握って僕を見下ろす父が居て

床に倒れこみ動けなくなっている自分は

小糠雨しんと言います。因みに年齢は13歳自己紹介は きちんとしないとね。あはは


____

僕は 誰もが知る有名菓子店の息子として

生まれた。業界トップの成績を誇り会社も

当然 でかいが、だからと言って金持ちの

ボンボン風に育つことはなく何処にでも居

そうな普通の少年として生かされていた。


幼い頃は学校から家に帰ると、必ず新商品の開発をしている両親が常に温かく出迎えて

くれていて、僕は その新商品の試食係

だった。


甘いお菓子がテーブルにずらっと並んでる

光景はいつものこと。ひとりっ子ゆえにお

菓子が食べ放題だった。味も申し分ないし、

きちんとカロリーも抑えられている物ばかりなので全然 胃もたれしない。


「あれは生クリームが甘すぎる」

「これはビスケットがモソモソして嫌だ。」「このモンブランは上に乗っかってる栗が

甘くない」


小さい子どもの割には 事細かく指摘する

タイプのため、両親は大助かりらしく新商品の開発に僕は必須だった。

___

毎日毎日、甘いものを食べて飽きないのか?

そんな質問をよくされた。そして その答えは 「いいえ」だった。当然だろう 甘いものがたくさん食べれるんだぞ?飽きないし

楽しいに決まってる!

___

そして今 現在。僕は目を覚ました

地面に這いつくばったので顔が汚れており

土の湿った香りもして、とても嫌な気分だ。


「ん……あは…生きてたか」

さんざん殴られたので気を失ったらしい

真冬並みの寒さだから凍死をしてもおかしく

なかったのだが、どうやら自分は助かった。


「…なつかしい夢をみたなぁ…」

幼い頃は楽しかったのに何で今こんな目に

あってるのか分からない。


ぼんやりとしか記憶してないが、確か何年か前に ある新人が入社してきて。その年から経営が悪化したって両親に聞いたんだった。

どう考えてもそいつが悪さしたに決まってる

何をやらかしたかは知らないが、それからというもの両親は笑顔を振り撒かなくなった。全くもってありがた迷惑だ。



ゆっくりと身体を起こし広場を見渡す

(さすがに真夜中に人なんて居ないよな)


家に帰ろうにも泥だらけで入ったら怒られる

そもそも家に入れてくれるのかすら不明。

かといって このまま冷え込んだ外にいたら本当に死んでしまう。それだけは嫌だった。


考えても仕方がないので取り合えず服に

付いた泥をはじく作業に取りかかった。

___

暫く落としてると服は少しましになった。

「まぁこんなもんでしょ」

そう独り言をぼやいてると玄関から

父と母が出てきた。


「なんだ、生きてたのか?てっきり死んでるのかと思ったんだが。案外 しぶといな」

それが父の第一声。息子に言う台詞かなぁ…


「貴方に似て負けず嫌いなのかしら?ふふ」

父に並んで 嫌な笑みを浮かべる母。


「何の用?もう すっかり僕を苛めて

楽しんだでしょう?やめてよ」


「両親に向かって口答えとはな。生意気に

育ったもんだ。全くもってイライラする」

「まあまぁ、この子も悪気はないのだし。

それに私達の手でこれから殺せるんですもの。素晴らしい事でしょう?ね、しん?」


「有名菓子店の社長と夫人がこんなんじゃ

世間はどう思うんだろうね。実の息子をDVしてた、なんてさ」


「何が言いたい?」

「いや、別に。昔は楽しかったのになぁって

遺言みたいなものさ。気にしなくていいよ」

「そうか。」

一瞬見せた父の顔の歪みを僕は

見逃さなかった


「ねえ、父さん。余計なことかも知れないけど経営が悪化したのって新人が来てからだよね?何が社内で起こってたの?」

「お前が知ることではない。」

「そう……教えてくれないんだ」

「あぁ。」


そしてさりげなく持ってきた金属バットを

空にかかげる父。母は無言でこちらに近づく


(あぁ、殺されるのか )

____













































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