第16話 好きな人の為なら。
組織HANA・20のアジトの本部はアメリカ
合衆国 東南部に位置するフロリダ州を拠点とし、全世界に各々の詐欺師たちが好きな
ように過ごし、自分のやり方で活動して
いる。
しかし規模が大きい為、一人で自炊をしたり
こまめに本部に連絡を取ったりするのが
めんどくさい輩も多々いて小糠雨しんもその
一人だった。
みかねたボスが本部のすぐ近くに寮を建て
それぞれ 好きな部屋に入る様に命じたのは
完成した直後の事。ありがたいボスのプレゼントに大喜びの詐欺師たちは早速 寮に荷物をいれ始め、あっという間に満室になった。
___
事前にフレデリックから寮が建てられるのを
聞かされていた為、荷物はまとめてあり
さっさと部屋に持ち込んだ。
寮に住み着いてから1週間が経つ
室内の様子をざっくり説明すると、ゲーム用と仕事用の液晶テレビが幾つも重なりあって壁に貼り付けられている状態。机の上には分厚い本や色々な資料がばらまかれてあり、本棚も綺麗にまとめられている事はなく、非常に汚い部屋が そこにはあった。
主の小糠雨しんはいつも通り仕事とゲームを
同時進行で進めていた。
暫くやりこんでいると傍に置いてあるスマホ画面が明るくなった
誰からか連絡が来たなと作業を一時中断し
スマホに目をやる。画面には[フレデリックたそからメール🖤]の文字が出ていた。
「は!?」
めったに小糠雨に連絡をしない主義の
フレデリックなので驚きつつ内容を確認する
「「小糠雨さんへ。
一ヶ月後に特務が始まるのですが、頼みが
あるので今から話に行って良いですか?」」
(相変わらず余所余所しいね…)
別段忙しい訳ではないのでOKの返事をした
「「はぁーい!(*´∀`)♪フレデリックたそからの頼み、承りまぁす!」」
本人はわざと、かなりうざめのメール
を送る。
___
「……うざ…」
即レスしやがった小糠雨に嫌悪感を抱きながら 今から向かうと返事をするフレデリック
___
トントン
「小糠雨さん、入りますよ?」
愛しのフレデリックたそが来たので元気に
ドアを開ける
「やっほ~!こんにちは!フレデリッたそ
我が家へ ようこそ!」
「…帰りますね」
ドアを開けた瞬間冷たい矢が飛んできた
「ちょちょ、待って!嘘だよ!。ごめんてば
話聞くから!」
必死に止める馬鹿な男がいた。
明かに自分のせいなのに。
「はぁ…毎度 貴方に会うと疲れますね。」
そう言って中に入るフレデリック
「にゃはは、だってメール寄越すなんて珍しいから嬉しかったんだもん。そんでさ、
どうしたの?何かあったんでしょ?」
「ええ、そうです。今日はそのために。」
そして ちゃっかり小糠雨の椅子に腰を降ろし話し始める。
「一ヶ月後に特務が始まるとメールしたので
薄々勘づくと思いますが、単刀直入に言いますと 貴方に監視カメラを乗っ取ってほしいのです。」
特務とは通常の任務と違い 時間をかけて
ゆっくり相手を騙す仕事である。
長ければ幾10年かかるので気が抜けない。
「あぁ、その手ね。ふぅん、それも珍しいね
特務なんて。久しぶりじゃない?」
「はい 久しぶりなので気合いが入りますね。
それで相手の事なのですが……」
~~~
「はぁ?!え、騙すやつ男なの!?」
内容を聞くと、日本に居る古本屋の少年を
騙すので店の監視カメラを乗っ取れ…だそうで更に驚きを隠せない。
「仕方がないです。ボスからの命令ですし
特務は拒否権がないのはご存じでしょう?後
10月末には日本に住む準備をします。」
「ちょっと……日本て。まじで?本気で
言ってるの?え、嘘でしょ……」
想像してた内容と全く合ってなくて失神
しそうな勢いだった
「本気で言ってますよ?特務ですから。それでは頑張って下さい。私はこれで。」
「うぇぇ!待ってよ、まじで整理つかない!
なんでなん!」
「いちいち五月蠅い人ですね、何でも頼みを聞くって言いましたよね?」
「あう……」
苛立ちながらも何とか小糠雨を説得させ
部屋をあとにしたフレデリック
「しんにとっては苦しいのは分かっているわ
ごめんね」
さっきとは違う優しい声色で
閉ざされた部屋を見つめ唇を噛む。
「本当に ごめんなさい…」
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