第15話 事件のその後。妹√



__せいかの部屋にて__


「その後ストーカーはどうなったん?」


昨夜は色々あったのでよく眠れず一日中だらしなく過ごしていた。それでも我が妹の事は

心配で、つい質問責めをしてしまう。


「ん?あぁ、3ヶ月間停学処分。当然だよね

ストーカーなんてやってたんだから。……

暫くは今まで通り 明るく振る舞えないかもって言ったら、先生も同級生も心配してくれた。辛いけどなんとか過ごせるように頑張

るよ」


「そっか、だね。本当に せいかが無事で

良かった」


(ストーカーといえど色々パターンあるからな。怒りに任せて被害者を殺す奴も居れば、大人しく反省する奴もいる。今後どうなるか

警戒しとくべきだな)


「うん、おにいちゃんこそありがとう」

「どういたしまして。じゃあ、おやすみね」

「あ、待って。」

「どした?何かあったか?」


部屋を出ようとしたら止められた


「…この歳で?とか思わないでね。あのさ

今日だけで良いの、今日だけは此処で寝て

くれる?お願い!」


(まぁ、そりゃぁ あの後やもん 怖いわな。

しかし兄貴とはいえ僕も男なんですけどね)


「…分かった、一緒に寝てやる」

「やった!ありがとう」


(せいかも女の子だしな。近くに身内が居れば大丈夫だろう)

___

ベッドは一人用にしては大きいので余裕で

入れる。よってお年頃の妹と一緒に寝る兄の

異様な姿が そこにはあった



「ねぇ、おにいちゃん。まだ起きてる?」

「んぅぅ…おう…起きてるぞ。」

「そっか。ね、やっぱ おにいちゃんはさ

フレデリックさんの事 好きなんでしょ?」


(根にもつなぁ)

「まぁ、好きだけど。」

「うん、だよね。昨日もずっとフレデリックさん 眺めてた」

「間近に美女が居れば誰だって見惚れるよ。

そんなに妬くなって」

「うう~…」


謎の唸り声をあげ僕を睨み付ける我が妹

(何がそんなに嫌なんだか。)


「じゃあ おにいちゃんは、長年想い続けて

きた人が いきなり現れたぽっと出の男に色々奪われたら どーするの?譲るの?」


「ぽっと出って…」


せいかが何を想っているのかすら

読みとれない


「別に。本人が幸せなら譲るもなにも、その

幸せが永遠に続いてほしいって勝手に願うわ

長年一緒に居たからって必ずしも心が通じ

合ってるとは限らないからな」


「うう。ド正論きたぁ…」

「逆に ぽっと出の人間が その人を救う事

だってあるんだ。特に精神面で助けられた

場合かなり影響力はある」


「そしたら今まで注いできた物 全て無駄な努力じゃない。あなたのために頑張って

きたのに!って思わない?」


「それは…」

(それは自分に魅力がないから。なんて

言えないな)


「なんかアプローチの仕方が違ってたん

じゃね?」

「そっか、そうなんだ…ふぅん」


しばし黙り込む せいか


「ま、まぁでも諦めるのはまだ早いぞ。

頑張り続ければ いつかは報われると思う」

「分かった、ありがと。…おやすみ」

「え、あ、あぁ、おやすみ」


いきなり会話を終わらされてしまった

怒らせてしまっただろうか?


そう思いながらも 静かに眠る鈍感な兄


異性として好きな人が身内に居た、なんて

誰も気づく筈がなく 真横で寝てる

(と思われてる)妹だけは ただ辛そうに

顔を歪ませていた。

















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