第14話 ストーカー退治
今日の夕御飯は無難にカレーライス。
「辛いの食べれなぁ~い」などと ぶりっ子
全開の辛口苦手野郎は1人も家には居なく
余裕で辛口カレーを頬張れる。
お母さんは寝ているので兄妹で夕御飯
せいかは普通に食べるが
僕はひきわり納豆とマヨネーズをカレーに
ぶちこむ派。あり得ない組合せだと思うが
これが中々にイケる。
ご飯が半分にまで減ったところ、ふとせいか
がスプーンを置き右側のベランダに目をやる
「どうした?」
「……何か揉めてる声 聞こえない?」
「え 誰か外に居るのか?もう夜だぞ」
「う~ん…ちょっと見てくる」
「待って 危ないから僕も」
そう食事を止め2人で ベランダに向かうと
見覚えの無い少年とマフィアさん、フレデリックちゃんが庭にいた。
「何してるんですか!?」
近所迷惑並みに声を荒げてしまう
「おおう、倉本くん。ごめんね 勝手に
庭に入っちゃって。」
正真正銘の不法侵入
しかしマフィアさんは妙に落ち着いた様子で
見覚えの無い少年を羽交い締めにしていた。その横でフレデリックちゃんは怖い位に冷めた表情で少年を見下している。
「…何してるの?××くん。ここ私の家だよね?不法侵入じゃん」
さっきまで静かに事を眺めていた せいかがぼそりと呟いた
「え、知り合いなの?」
「知り合いも何も おにいちゃん、こいつだよ私に告白してきた同級生。」
……。
「ストーカー?」
「みたいですよ。たまたま歩いてたら彼が倉本さんの家に侵入したのでボスが取り押さえました。」
「そうなんだ…てかボスって?マフィアさん
呼びじゃないの?」
「あ、」
「普段の呼び方はボスなんだよ。お2人さんが俺の事 マフィアさんって呼ぶから
こんがらがせないように合わせてたのさ」
「ごめんなさい倉本さん嘘ついてしまって」
「あぁ、いや大丈夫。気ぃ使わせたみたいで
こっちこそごめんね」
「んじゃあ、私たちもボスって呼んで良い?
何か2つもニックネームあるの大変だろうし
駄目かな?フレデリックさん」
「何故私に許可を…。ボス、良いですか?」
「あぁ、いいぞ。倉本くんもそう呼んでくれると助かる」
「すみません、ありがとうございます。では
そう呼ばせていただきますね ボス」
___
「で、どうすんの?××くんのこと。」
「うぐぅあ…」
「警察にでもつきだすか?」
「親に来てもらってからの方がいいかも。
ねぇ××くん、自分で親に来てもらうよう連絡とってもらえるかな?」
半ギレ状態のせいか
(ぶちって破壊衝動しなければいいけど…)
「ぁ、ぁう。」
「羽交い締めしてるから連絡とれねぇな」
「あ、そっか。…じゃあ今日はもう大人しく帰ってくれないかな?明日 先生と親に報告
するから。」
低い声のトーンで同級生を制圧し、 そそくさと部屋に入っていった我が妹 恐るべし
「と言うわけだからボス、そいつの事離して
あげてください。」
「了解~」
「うぐ……はぁ…ごめんなさい。
もう帰ります」
学年のアイドル的人気を誇る
せいかの裏の顔
それを間近で見てしまった同級生は完全に
怯え、言うとおりに帰っていった。
「すみません、おふたりとも。迷惑をかけてしまって申し訳ありませんでした。」
深々とボスとフレデリックちゃんに謝罪
「おおう、良いって良いって 気にすんな。
妹ちゃんが無事で一安心だわ。」
「ありがとうございます!フレデリックちゃんも居てくれて助かったよ!」
「いえ、お力になれたようで何よりです。」
「本当にありがとうね。今度お礼の品 家に
持ってくよ!」
「あ、それは…大丈夫ですよ。
お気持ちだけ貰いますから」
「そうだぞ、倉本くん。お互い困ったら
助ける!逆に俺らが困った時 助けて
くれるとウィンウィンだぜ」
「はは、そうですね 分かりました。では僕はこれで失礼します。わざわざありがとうございました」
「おう!またな倉本くん!」
「お休みなさい、倉本さん」
そういって冷え込む夜に消えていった詐欺師2人の姿をやはり辛そうに眺めてしまう自分
「……なんだかなぁ」
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