第9話 ウィリシア・レビィの過去
ボスの腕の中で泣きあかしたフレデリックがいつも間にか寝てしまったのでベッドに運び布団をかける。
スー…スーと静かに寝息を立て 先ほどまでの弱気な顔は消え失せ、気持ち良さそうに
寝ていた。
ふと組織名の由来を振りかえる
「裏切りのもたらす死…か。ほんっと
合ってるよなぁ。」
傍にいる人に裏切られるのは何より辛く
今まで軽々しく出来ていた任務でさえ、
出来なくなり 億劫になる。その上 人間不振
にもなってしまう
それを身をもって感じたボスだからこそ
言葉の重みがあった
「…もう35歳になるのか。早いな」
___
〈10年前〉
まだ組織のトップとして場を
任されていない時のことである。
その日は いつもながら仕事をして特に変わった様子もなく 夕方に帰宅したボスこと
ウィリシア・レビィ25歳。
母は料理を作っている最中だったが いつもと違う点がひとつあった。それは組織のトップであり父親のアビス・レビィが家に居なかったことである。
「あの、お父様はまだ帰ってきてないのですか?もう夕飯のお時間では?」
そう後ろから声をかけると お母様は こちらを振り返り こう言った
「あぁ、ウィリシアお帰りなさい。お父さん
…珍しく任務に苦戦しているみたいで遅く
なるって電話があったの。だから先に2人でご飯を食べてしまいましょう?」
「そうだったのですか、分かりました。」
その時はあまり深く考えいなかった
何でもこなすお父様でも 出来ないものは
出来ないのだ、そう思ってたのに。
___
あまりにも帰宅するのが遅いため お母様に
様子を見てくるよう命じられた。
家から徒歩10分くらいの所にある 屋敷の主に 交渉をしに出掛けたという。
昔からの友人だそうで、だから苦戦することは 無いらしい。屋敷のドアをノックする。
(誰も居ないのか?そんな筈は…)
ドアノブに手をかけると鍵が開いていた
不審に思い そっと中に入る
長い廊下を見渡すと 突き当たりに
部屋があり そこだけ灯りが付いていた
(お父様が居るのか?)
部屋の前に立つと少しだけドアが開いていて隙間から中の様子が伺えた。女の子の声が聴こえたので いきなり開けるのは何だか
忍びなく静かに中の様子を見る。
すると驚きの光景が目に飛び込んできた
交渉人らしき友人が頭から血を流し倒れ
こみ なおかつ あの堅物で几帳面な
お父様が女の子を犯していた。強姦である
「っ…!」
とっさにドアを開け 叫ぶ
「お父様!!何をしてるんですか!?女の子が…女の子が可哀想でしょう!?」
「!?ウィリシア……何故ここに。いや違う
俺が帰るのが遅くて来たんだな?」
「そうです!心配して来てみたって言うのに
女の子を強姦ですか!?みっともないですよ
その上人まで殺して!」
「あぁ…う、ぁ助けて……」
泣きじゃくる女の子
「これは仕方のないことなんだよウィリシア
あやつは それだけの過ちを犯した」
「ご友人が例え許されない事をしたとしても
だからと言ってその女の子を犯していい
なんてご都合が良すぎますよ!!」
そう怒鳴り散らし父から女の子を引き剥がす
「あうう。おにいちゃん…怖いよお…」
ガタガタと震え僕にしがみつく
「その子は あやつの、リアン・サイデリカの
娘だ。」
全裸のお父様が何か言っているが聞こえない
「ふざけるな…僕が誰を目標に生きてきたと
思っている!!こんな事 するお父様は目標に値しない!組織をまとめてるなんて笑わせるな!辞めてしまえ!」
感情の赴くままに叫んだせいか頭がフラフラ
してくきた
「……真面目な息子が反抗的だなんてな。何だか嬉しいよ」
「……五月蠅い」
「ボスになってみるか?もう俺は家に2度と帰ってこれない。変わりにお前が組織を
まとめ、そして世界に君臨し 世界を我が物にしてみろ」
「…分かった。やるよ、ボス。こんな人間に
任せられないもんね」
そう冷たく言い放ち 女の子を抱き抱え
立ち去る
後にお父様は逮捕され、僕は女の子とお母様 3人で暮らし始めた。
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