第5話 運命の再開と言う名の自己泥酔



声を発してしまったので美女がこちらに

気付き振り返った


「えっ!?」


そんな驚かなくても


「ぁ、あ、こ、こんにちは…?」

「こん…にちは」

玄関を締め 挨拶を返してくれた


「あっと…えー…どぅ

こ、ここに住んでらっしゃるんですね。あぁ、あまりにも高級住宅オーラ醸し出してたんで見惚れてました。家に!」


どう考えても不振な言動をする男に嫌そうな

顔もせずニコニコと笑顔を振り撒き艶やかな唇を開いた。


「ふふ、周りの住宅とは全然 外観が違うので目立ちますよね。見惚れるのも無理もありませんよ 古本屋の店員さん?」


なっ、、


「え、僕の事 覚えててくれたんですか?」

つい口を出してしまった


「はい勿論。ご近所さんですもの そりゃあ

覚えてますよ。それに親切に本の場所教えてくれましたし印象深いですよ君は」


記憶力も良いとは…欠点とかないの?

それぐらい全てが完璧に成り立っていた


「…普通の凡人ですよ僕。そんなに目立った格好もしてないですし」


「ん~、なんとなく私の中で印象が強いってだけで周りはそうでもないんですかね?でも君だって私の事覚えてくれてた」


さらっと毒吐かなかったか?この子


「やぁ、でも君の場合は僕と違って めちゃくちゃ顔整ってるし可愛い系 美女だから記憶に残るよ?誰でもそうなんじゃない?」


「可愛い……ですか」


ん?なんか声が低くなったような?

嫌な予感がする


「あ、別に変な気はなくてですね!純粋に

思った事を述べただけですよ!?」


痴漢とか思われたらヤバイな


「……大丈夫ですよ、そんな疑って無いですから 心配しないで下さい」

「おぉ、良かった。はは、疑われてんのかと

思ってスゲー焦りましたわ」


「誤解させてすみません…」

「いや、大丈夫です。不振なオーラ出してたの僕ですし寧ろその対応は正しいですよ」


「優しいんですね君は、失礼な態度を取ったのは私の方なのに。」


「まぁ、そういうこともありますよ。」

「やっぱり優しい…」


「あまり気にしてないのでね。…そうだ!

失礼な態度取ったってんなら君の名前教えてくれませんか?それでチャラに!」


キョトンとする美女


「それくらいなら。えっと、フレデリック・サイデリカと申します。」


「フレデリック・サイデリカ!何か格好いい名前ですね。あ、僕は倉本健っていいます。

高校は中退したから殆ど あの古本屋にいると思うんで何かあったら来てください」


「倉本さん、、わかりました。なら今度

マフィアさんと来ますね」


「はい!ありがとうございます!…しまった長く引き留めてた。立ち話しすぎてごめんねまた今度!」


「ううん、大丈夫。久しぶりに人と会話

できて楽しかったですよ。またね倉本さん」


そう言って歩き出すフレデリックを米粒に

なるくらいまで眺める


「無事に美女の名前聞き出せた!」

謎の拳をあげる不振な男がアスファルトに

立っていた


「うん?てか何でマフィアさんって呼び名

知ってるんだ?」


意味深な独り言が冷え込む空気に

消えていった















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