第6話 魔王と勇者 (3)
でも、儂の命も風前の灯火ともなると、流石に逢いたいよ。我が愛する主人に……。そして甘え、抱いてもらいたいのだが。やはり、今迄放置をしてきた儂の事を、『お前のような、情のない女などいらぬ!』と、怒号を放ちながら突き放してくるのではないだろうか? そうなると儂も悲しい。いくら今迄素知らぬ振りをしていたとしても……。
でも、儂の死はもう身近に迫っているから。このまま自身の死を、指を咥え待つぐらいならば。家の主人が憤怒しながら儂の事を叱ってきても良いから、死ぬ前に主人に逢い謝罪をしたい。そして、出来れば、愛する家の主人に抱き締めてももらいたいのだよ。
と、儂は思うと、もう居ても立っても居られなくなってきたから勇者に、「いっ、いやぁあああっ! いやよぉおおおっ! 死にたくない妾はぁあああっ!」と、一国の女王らしくない威厳もクソも無い絶叫を上げた。
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