第5話 魔王と勇者 (2)
でッ、後は最後に、儂は魔王であり、この国の女王なのだから、最後は凛とした容姿で華を飾り死にたいものだと思った。
……ん? あれ? 少しばかり待てよ。儂はふと、そんな事を思ってしまった。
う~ん、儂には未だ何か大切な者がいたような気がする。
特に置いて死ぬのは少しばかり心残りであるが、儂は娘の事を思い出し、自身が忘れていた古い過去の記憶を走馬灯がクルクルと周るように、脳裏に思い出し浮かんできたのだよ。確か、儂は誰かに謝罪をしなければいけないのだと……。
う~ん、誰だったかしら?
ッて、悩む事もないか、儂が娘の事を思い出し、過去の記憶が鮮明に浮かび上がった訳だから。娘の父……。そう、この国の女王であり、他国から魔王と恐れられている儂が唯一、自身の身体に触れる事を許し、交わりを行った者……。
まあ、傍から見ている者達も先程から儂の話しを聞き、あれ、少しばかり可笑しい? と思い、困惑をしていると思う。儂が先程この国の女王だと申したからな。
と、ここまで儂の話しを聞けば、傍から見ている者達は大体察しがつくとは思うのだが?
まあ、要するに儂とは、只今別居中になっている夫のことなのだよ。それも、十数年も放置した状態なのだ。
儂もなぁ、毎年、今年こそ逢いに行き、今迄放置した事への謝罪を述べて、許しを乞い復縁をしたいと思うのだが。我が国は見ての通りで戦争状態……。それも、この戦争状態は数年も続いて泥沼化している訳なのだよ。
だから儂は、国の!
まあ、要するに、他国から魔王と恐れられる儂でも、主人には頭があがらない訳で……。主人に今迄何故、俺を放置したのだと、憤怒しながら怒号を放たれるのが怖くて逢いにいけない状態が続いているのだよ。
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