第一部:プロローグ(こちらからが本編になります。こちらからお楽しみください。)
ギルド調査員とは
世界は魔物狩り全盛期を迎えていた。
当初より魔物は害獣として狩られていたが、魔物の持つ特定の部位が人間たちの暮らしを豊かにすることが判明し、それ以来それら特定の部位は「魔物資源」と呼ばれ、技術力の向上に役立てられた。
当時から魔物狩りを請け負っていた「未知を探求する者:冒険者」と呼ばれる狩人たちが立ち上げていた自治団体でしかなかったギルドも、その影響から凄まじい速度で発展し、現在は世界一の軍事力を持つ団体にまで成長した。
魔物資源を活用する魔物産業、その大本である魔物資源を狩猟という手段を用いて入手し、その流通の全てを取り仕切る企業こそ、「ギルド」だ。
ただし発展していく世界の反面、ギルドには問題があった。
それは年間死傷者数だ。
冒険者という職業は割りが良く、戦闘力さえ高ければ成り立つ職業だ。
魔物を狩り、その魔物から魔物資源を奪う。それを各地にあるギルド支部で換金するだけで生活するための資金が得られる。
現在は改善されているが、発展当初は犯罪者まがいの者達も数多くいた。
だが問題はそこではない。
魔物という存在はそう簡単に狩ることができるほど虚弱ではなく、油断すればいともたやすく人間の命を奪う。
無謀な活動をする者も数多くいた。
そうして冒険者たちの数多くは命を落とした。
失った命に報いるため、ギルドはあるルールを掲げた。
それがギルドランクだ。
低い順からF→E→D→C→B→A→S→SS→SSSランクというように進み、魔物にも同様のランクが与えられている。
これらは冒険者、並びに魔物の強さを端的に表す指標であり、これを参考に魔物狩りを行うことにより、死傷者数を減らすというものだ。
適切な強さの冒険者が、適切な強さの魔物と戦うことによって、命を落とす冒険者たちは飛躍的に減った。
ただ
それは一体だれが決めた指標なのだろうか。
どうやって決められた指標なのだろうか。
結論は非常に単純だ。
命を懸けて魔物を調査する者達がいる。
ただそれだけの話だ。
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