第7話 早く切りたい腐れ縁
感想・評価をしてくれるとモチベ上がります・・・・よろしくっ
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過ぎたことは考えても仕方がない。古瀬さんにはいつか謝ろう。いつか。
それにしてもこんな重大なことを忘れるとは思わなかった。俺はいつだって、”無難”を選択して生きてきたつもりだ。面倒くさいことを避けて、避けて、自分にとって何が一番何が″楽″で、効率的か。ぼっちになったのだって、しっかりと考えて選択した。・・・嘘です。
そんな俺が、今回の件を忘れる事に自分自身が一番驚いている。行かないという選択肢はボッチの俺にとって、あまりにも無謀すぎる。やっぱり疲れてるのかも、5限目も寝ようかな。
放課後のことを考えるとさらに憂鬱になる。なんで変態野郎に、注意もとい警告をしに行かなければならないのか。あいつと話すのは絶対に疲れる(確信)。はぁ・・
それからいつも通り5,6時限目を終え、今は清掃をしている。さっきの6時限目でうっかり寝てしまい、先生にいじられ笑いものにされるという羞恥を一身に浴びた俺。気恥ずかしさを紛らわすために一生懸命に掃除してます。
隣の西条がぷっと笑うのを堪えていたのがちょっとショックだった。
そして今日も変態野郎の席を運ぶ。流石に今日は落ちないだろえぇー!?
「っ!?」
落ちたんだけどっ!慌ててノートをしまう。
あいつほんと大丈夫か?危機感なさすぎ問題。なんかわざとやってる気がしてきた。だが、わざとこんな事して、あいつにメリットはないはずだ。
あいつはクラスでこそ目立ってはないが注意深く観察してみると、授業中に手慣れた手付きでノートをそっと出し、変態野郎の左前の席にいるロリっ子をキョロキョロと怪しまれない程度に見ながら、筆を走らせていた。まさしく現行犯である。ちなみに今日の4時限目に見た。
ふと視線を感じると、西条がこちらを見ていた。目に哀れみの念が込められていた気がする。
「よし、行くか」
西条が少し哀愁を含ませた声色で言う。清掃が終わり、帰りのホームルームも終わった。ここからが山である。例えるならばエレベスト並みに困難な挑戦になるだろう。
「あぁ」
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全く、面倒くさいぜ。芦田に頼まれたから注意しに行くとになったが、ぶっちゃけ行きたくないんだよな。
一度、あいつと話したことがある――あれを会話と言っていいのか分からない――が、なんとも奇妙なやつだった。前髪パッツンで典型的なオタクっていう感じだ。俺はオタクって程ではないと思うが、アニメや漫画は大好きだ。週に一回はアニメイトに行ってる。・・・オタクかもしれん。
あいつとの会話は終始意味不明だった。2学年に進級し、新しいクラスメイトと挨拶がてら会話をしていたんが、いざあいつと話そうと思い声をかけてみると。
「・・・・・」
無視された。聞こえていないのかと思い、もう一度声をかけるが・・
「・・・・・」
絶対に聞こえているはずだ。聞こえていて、その上で無言を貫いている。
――芦田に初めて話しかけた時は、ちょっと驚かれて、あぁよろしく、と気の抜けた声で返事をしてくれた。心なしか嬉しそうだった気がする。なんでだろうな。――
これはちょっと面倒くさいタイプのヤツかもしれん、そう思った時、ゆっくりと首をこちらに向けて、返事を返してきた。
「だれ?」
「っあ、あー俺は西条幸人。新しいクラスメイトに話をしとこうと思ってな。お前の名前教えてくれるか?」
急に話しかけてくるからビビったじゃねーかっ。
「・・・・
小さい声でボソボソと名前を名乗る川添。小さすぎて川添しか聞こえなかった。まぁいいや。
「川添か。オッケー覚えた。俺のことは幸人って呼んでくれてもいいぞ。」
「・・・・・」
こちらに向けていた首を再び前に戻し、さっきから手に持っている文庫本に目を落とした川添。
せめて返事くらいしてくれよ・・・・なんか癪に障るからもっと攻めてやる。
「なぁ川添は何か趣味とかあるのか?」
面倒くさそうにこちらを一瞥する川添。暗に迷惑だと、その目が語っている。
だが、俺は屈しない。
「ちなみに俺はアニメとかゲーム、漫画が好きだぬぅワっ!!」
アニメとかゲーム、漫画が好きだな、と言おうと思っていたら、急にこちらに体ごと向けて、机をガタンっと言わせて席を立った川添。
おいおいっ!まじでビビったんだがっ!!ホラーかよこいつっ!?
「ほんとに!?俺は【《ロリロリっ》俺の妹がブラコン過ぎて困ってます】がおすすめだぜっ!ストーリー構成が従来のブラコン系ゲームよりしっかりしてて、より質感を出すための工夫もしてる!しかも!!今作の監修を務めるのは、あの沢田秀・・」
「ちょ、ちょっと待ったっ!落ち着け川添っ」
まじ何なんだよこいつっ!?いきなり好きなゲーム教えてくるし、しかもそれ絶対エ〇ゲーだろっ?!監督とか知るかっ!?
「うん?あっあー!ブラコン系統は好みじゃなかったか」
その合点がいったみたいな顔するなっ。全然ちげーよ!
「ちがうちがう、俺そうゆうの興味ないんだよ」
「は?」
急に川添の目が冷めきったような感覚に陥る。最初に話しかけた時のあの興味のなさそうな、いや完全に興味を失った目をしていた。
「っ・・・・」
何事もなかったかのように、若干斜めにズレた机を元に戻し席に着く川添。
周りに居る、さっきから事の顛末見ていたクラスメイトの視線が痛い。痛すぎる。てかなんでお前はそんな平然としてるんだよっ!お前のせいだからなっ!
俺は渋々自分の席に着いた。こんな被害を受けるとは思いもしなかった。
「ドンマイ・・・・気にしたら負けだぞ・・・」
隣の席の芦田がそんな悲哀の籠った声で言ってくる・・やばい、ちょっと泣きそう。
俺はこの時、あいつとは今後一切話さないと誓った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌なことを思い出した。
あれは入学当初だったか。あれは俺の中の黒歴史の一つと言っていいだろう。
だが、こんな事になるとは。最初芦田に聞いた時、俺は耳を疑った。だが、どこかで納得する自分もいた。――あいつならやりかねない――と。
あんな誓いを立てたのに、これから話すことになるとは。人生何が起こるか分からない。
そして今、俺たち2人は席に座っている川添の前に居た。他のクラスメイトはほとんど帰った後だ。
俺が話しかけるタイミングを見計らっていたことに、痺れを切らしたのか。芦田が声をかける。
「なぁ祐樹ちょっといいか?」
「・・うん?あぁ
違和感。強烈な違和感が俺を襲う。なんだ?この違和感は。
「ちょっと話したいことがあるんだが・・」
「なんだ?」
「それが、ここじゃちょっと話しにくいんだ。一緒に来てくれるか?祐樹」
分かった。名前だ。こいつらはお互いを下の名前で呼び合っている。だが、おかしい。川添は分からんが、芦田は自分で自分を”ボッチ”だと公言している。じゃぁなんでこんな親しい雰囲気をこの二人から感じるんだ?
「あぁ、幼馴染の言うことだ。聞いてやるよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オー!マイっガアぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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