第3話 召喚魔方陣 その1 原動力は存在そのもの
魔方陣は、合っているのだろう?
なぜ、召喚されない。
そんな、王子の言葉に返せる言葉はいつも同じ。
「魔方陣は合っています。何度も確認しました。あとは、この子しか…」
この世界には、魔方陣がいくつも存在する。
複雑、かつ、大規模な魔法では、魔方陣を描き起動させるのは普通なのだ。
ただし、動力源が問題。
魔力だけでは足らず、その者の全てが必要となる場合が多い。
魔力に生命力、そして魂力。
その存在全てを魔方陣に投入して、大規模な魔法は真価を発する。
そして、その頂点たる魔法が、“召喚魔方陣”である。
召喚できるものには、範囲がある。
異世界から勇者を召喚するなど、動力源を限定しないとダメなのだ。
数よりも質。
そして、今回の動力源として選ばれたのは、王子の妹。
つまり、王女である。
魔王の脅威にさらされているという父王の言葉を受け、異世界から勇者を喚ぶことを決めた王子は、王位継承で邪魔になる王女を動力源に選んだ。
王女は眠らされている。
「起動します」
「どけ!」
起動中に王子が、魔法強化の術をかけようとして、光始めている魔方陣に踏み込んでしまう。
一瞬のうちに、王子はかき消え、召喚魔方陣は沈黙してしまう。
「また、失敗だ。王子も消えたし、これはもういらないかな」
そう言うと、床に描かれた召喚魔方陣…ではなくて、送還魔方陣を消した。
「王子。私は、王女が好きなんですよ。まぁ、身分違いですけどね」
送還先は、特に指定していない。
最も、起動時のエネルギーとして王子が使われたはずだから、私も含めて、みんな王子の事を忘れていくだろう。
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