第2話 お集まりの皆さま。

「はぁ、全く。多ければ良いってもんじゃない」


ここは、某学校の教室。


おかしな魔方陣が描かれ、その上にいるもの達を任意の場所に転移させるものだ。


任意の場所に転移させるのには、それなりのエネルギーというものが必要だが、出発地では魔法が使えない場合が多く、その影響でエネルギーを別から融通する必要がある。


融通するエネルギーは、生体エネルギー。


すなわち、寿命である。


本人たちは、気がつくことがない。


転移先は、その事に乗じて、転移元に出現する際も、世界のエネルギーを使わずに、生体エネルギーを使う。


結果、早ければ出現時。


遅くとも数年で寿命は尽きる。


もちろん、本人たちは知らない。


「承認して頂けますでしょうか?」


他世界へのエネルギー問題が解決しても、別の問題がある。


「不承認に決まっているだろうが」


世界間を移動させるには、その上位世界の承認が必要だ。


「しかし、もう、魔方陣は起動してしまっています。これを止めるのは…どうも」


転移先の世界を管理する者が、上位世界の者に懇願する。


「止めれば良かろう」


「しかし、今、止めれば私どもの世界だけでなく、上位世界にも影響が…」


なんだか、脅迫じみた言葉が来たが…


「仕方が無いな。ふっ…」


その言葉と、息を吐くような音が聞えると、目の前の魔方陣が崩壊するのが見えた。


「何をする!」


激高した声が。


化けの皮が剥がれたようだな。


『巻き戻す。そのエネルギーは、おまえのエネルギーだけでは、釣り合わない。所属元から取るから安心しろ』


その声に絶望な顔。


「残念だったな。主神の通り。巻き戻し決定だ」


全く、何か問題が起きると、他の世界から転移魔法させようとする者が多くで困る。


自分たちで、解決させろよ。


魔王?


話し相手がほしいだけ…と言っていたぞ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る