負け犬のうた

尾巻屋

負け犬のうた


部屋の寒さは 何の助けにも なっちゃくれないのだ


もう何度目かのアラームとめて

気づけば寝過ごした一限目


焦りと安心の境目で

心底嫌いになる自分です


青く静まった部屋の中

散らかった服と溜まったゴミ少々()


明日へ明日へと延期したよ

掃除の日取りはもう真っ白


心配は後でだラッセル

未来に絶望したウェルテル


特に大したこともない僕は

何を信じて生きりゃいいのですか


励ましの言葉なんていらないよ

空っぽの言葉だっていらないよ

そんなものばっかり食べていたら

いつかパンクしてしぼんでしまいそう


ないなりには生きてきたから

今更変わったこともない

だけど部屋の温度これだけは

どうも応えて仕方ないんだよな


冬の寒さだけは何の助けにも なっちゃくれないのだ

部屋の寒さだけは何の助けにも なっちゃくれないのだ





空っぽの冷蔵庫見つめて

鳴る空腹をなだめすかして


幸せそうだな拡散SNS

見飽きたもう沢山電源消す


いつかからいなくなった君よ

何もかもが美しく見えた頃


疑いなかった一蓮托生

今じゃ汚れて醜い羨望


君は僕の希望だシャルロッテ

迷子になってしまったホールデン


君のいない僕の世界には

ただ虚ろな穴が空いてしまった


愛を誓う言葉もいらないよ

陳腐なセリフだっていらないよ

もう食べ過ぎてしまったんだよ

ブクブクに肥えた僕のこの感情


ひねくれ者でしょうがないから

別に今更何も欲しくない

だけどこの透明な不安だけは

いつまでも巣食っていやがるよな


部屋の寒さは何の助けにも なっちゃくれないのだ

君の不在は何の灯りにも  なっちゃくれないのだ


嗚呼

嗚呼

嗚呼



なぁ僕らは「今日」の舞台を生きて

夢を語れば無理だと言われ続け

空想を潰され泣く暇も奪われ

いくつもの塵の中重ね捨てられ


他人大勢の「好き」には同意を

貴方「個人」にはもう用がないよ


目を抉り口は縫われ耳にロウを詰められ

「特別」という神話を夢見続け


だから「朝日」も結局は否定されてしまった

「ぬくみ」というものを忘れてしまったんだ


そんなのは嫌だから


励ましの言葉なんていらないよ

空っぽの言葉だっていらないよ

そんなものばかり食べていたら

いつかパンクしてしぼんでしまいそう


ないなりには生きてきたから

今更変わったこともない

だけど部屋の温度これだけは

どうも応えて仕方ないんだよな


冬の寒さは何の助けにも なっちゃくれないのだ

部屋の寒さは何の助けにも なっちゃくれないのだ

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負け犬のうた 尾巻屋 @ruthless_novel

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