第4話秘密の場所

 作者さくしゃより

 物語ものがたり完結かんけつかって全速前進ぜんそくぜんしんヨーソロー!

 ここで最終確認さいしゅうかくにんをしておきたいとおもうであります!

 登場人物とうじょうじんぶつ2人ふたり作中さくちゅう溺死できしするのが2人ふたりおぼれるのは海斗君かいとくんで、物語ものがたりはハッピーエンドにておしまいになると

 さて、このようなこと可能姉妹かのうしまいなのか?

 普通ふつうんでいただいてもたのしめるとおもっているのですが、作者さくしゃ用意よういした結末けつまつ予想よそうしてすすめていただくと、よりおたのしみいただけるのではないかと自負じふしております。

 だいまえのまえがきにおいて、このようなことこらないという事柄ことがら列挙れっきょされております。

 これが制限列挙せいげんれっきょ(『記載きさい事例じれいだけはこりません』)なのか、例示列挙れいじれっきょ(『記載きさい事例じれいのような超常的ちょうじょうてきこと一切いっさいこりません』)なのかは、おつたえできませんが。

 ほか作者様さくしゃさまの『うみ太陽たいようのきらり』では、陽子ようこちゃんが『りゅう』であったり『人魚にんぎょ』であったりという作品さくひん拝見はいけんしましたが、うちの陽子ようこちゃんもなかなかたいしたものです……って、おくちにチャックです。

 それでは、本企画ほんきかく最高さいこう叙述じょじゅつトリックを、最後さいごまでおたのしみいただけますとさいわいにおもうであります。

 さあ、前逆まえさか宙返ちゅうがえ三回転半さんかいてんはんかかがたっくぞ〜っ!


 翌日以降よくじついこうも、毎日まいにち陽子ようこちゃんとおよぎの練習れんしゅうつづけて、以前いぜん以上いじょうおよげるようになっていた。

 ぼく自分じぶんかかえているトラウマにかんして、若干じゃっかん 不安ふあんはあったけれど、一度いちど症状しょうじょうなかったことから、えず安心あんしんしていた。

 そして練習れんしゅう最終日さいしゅうび、すなわち東京とうきょうかえ前日ぜんじつあさむかえた。

今日きょう午後ごご海斗かいとを、とっておきの秘密ひみつ場所ばしょ案内あんないしたいとおもいます」

 すこはなれた場所ばしょでスクール水着みずぎ着替きがえてきた陽子ようこちゃんがう。

 ちなみに、陽子ようこちゃんは2日目ふつかめ以降いこうぼくまえ着替きがえなくなった。1日目にちめ出来事できごと彼女かのじょすこ大人おとなにしたのだろう。

 べ、べつに、残念ざんねんだなんておもってないんだからねっ!

 午前中ごぜんちゅうは、おきまでおよいだり、ちょっとしたいわうえからみの練習れんしゅうをしたりしてごした。

 おひるすでにお馴染なじみになってしまった陽子ようこちゃんちのカラオケ喫茶きっさ『みなみ』で、海鮮焼かいせんやきそばをべ、デザートに100えんソフトクリームをいただいた🍦

「あ〜、ここにるのも今日きょう最後さいごか〜」

「そうですよ。わたしはなれた海斗かいと東京とうきょう1人ひとりでやっていけるか心配しんぱいです」

「いやいや、1人ひとりじゃないから。家族かぞくだっているし、友達ともだちだっているから」

恋人こいびとはいないんですか?」

陽子ようこちゃん! 恋人こいびとというのは空想上くうそうじょうもので、現実げんじつには存在そんざいしないんだよ?」

都会女子とかいじょし海斗かいと魅力みりょく気付きづかないんですか? でも、かったです♪」

陽子ようこちゃんって、恋心こいごころかくさないよね?」

「は? なにってやがりますか? あたまひらいて、のうみそのわりにカニみそでもめておきましょうか?」

いつつも、陽子ようこちゃんはれてあかくなっている。たとえ小学生しょうがくせいといえど、自分じぶんたいしてけられた異性いせいおんなからの好意こういうれしくおもえた。

「さあ、そろそろこう。これから、とっておきの秘密ひみつ場所ばしょれてってくれるんだよね?」

「はい、まいりましょう!」


「え、えーと……。ホントにここからむの?」

「はい、もちのろんです!」

 陽子ようこちゃんにれてられたのは、ちょっとしたがけってもいような場所ばしょだった。 したのぞむと、岩礁がんしょうまるえぐれている。午前中ごぜんちゅうみの練習れんしゅうをしていたいわうえとはたかさが段違だんちがいである。

 ているだけで、イヤなあせながれてくる。これは、とてもめるようなたかさとはおもえなかった。

「あの、もうわけないんだけれど高所恐怖症こうしょきょうふしょうだし、したりてっていようかと……」

「ダメですよ! これは海斗かいと卒業試験そつぎょうしけんなんですから。ここから、ことによって堕天降臨だてんこうりんたし、このわたししんのプチプチデーモンになるのです」

「いや、ムリです。どうしてもめとうんだったら、プチプチデーモンを辞退じたいしようかと……」

なにっているんですか! そんなことゆるしませんよ! あっ、海斗かいと。あれをください!」

「えっ、どれ?」

 陽子ようこちゃんが指差ゆびさほうると……。

「つべこべわず、みやがれっ! です」

 陽子ようこちゃんに背中せなかされ。

「うわあああぁぁぁ――――っ!」

 ぼくちゅうった。恐怖きょうふ思考しこうがパニックをこす。

 ドボン!

 つむったまま、着水ちゃくすい。そのまましずんでいく。ふかい。いき出来できない。このままだと窒息死ちっそくしする!

 無我夢中むがむちゅう海面かいめん目指めざす。およぐというよりかは藻掻もがくという表現ひょうげんがぴったりであったろう。ぼく脳裏のうりにあの事故じこ記憶きおくよみがえる。

「た、たすけて――っ ごふっ」

 海上かいじょうかおしてさけんだところで、海水かいすい器官きかんはいせきむ。まずい、このままだと窒息死ちっそくしする酸素さんそりない酸素さんそプリーズ。

 恐慌状態きょうこうじょうたいおちいったぼくおよことなど出来できはしなかった。かろうじて水面上すいめんじょうかおして、あばれるのみである。

海斗かいとおおぉぉ――っ!」

 さけごえのしたほうになんとかかおけると、陽子ようこちゃんがんで、こちらへすごいきおいでおよいでくるのがえた。またた距離きょりめてくる。やった、たすかった。

海斗かいとさん、いていてください! あなたがわたしにつかまって、全体重ぜんたいじゅうけてきたら、わたしまでおぼれてしまいます。絶対ぜったいたすけますから、わたしさわらないで……」

「そんなこ……よりはや……たすけ……」

 かなりの海水かいすいんだうえ、パニックとトラウマのシナジー効果こうかによる精神的せいしんてきなダメージ。さらに、水面上すいめんじょう無駄むだ必死ひっし藻掻もがいたことによる急速きゅうそく体力たいりょく消耗しょうもうすでぼく限界げんかいむかえていた。

 陽子ようこちゃんがまわむように近付ちかづこうとこころみるも、ぼくがそちらをいてしまうから、近寄ちかよれないでいる。それはわかるが、こちらも水面すいめんからかおすのがやっとの状態じょうたいで、1分後いっぷんごまでこの状態じょうたいたもっていられる自信じしんすらない。

「はがっ!」

 『はやたすけて!』そうおうとして、またみずむ。器官きかんみずはいっても体力たいりょくすらのこっていないようだ。

海斗かいとさん! あなたのこといのちえてもたすけます!」

 けっした陽子ようこちゃんが、近付ちかづいてくる。うすれかけた意識いしきなかで、必死ひっし陽子ようこちゃんにしがみつく。

海斗かいとさん、大丈夫だいじょうぶですか? しっかりしてください!」

 ぼく返事へんじ出来できずに、彼女かのじょ浮力ふりょくたよりに酸素さんそ身体からだれる。

 陽子ようこちゃんは、そのままおよごうとしてるようだけれど、およぐどころかそのいていることさえ出来できていない。そう、ぼく体重たいじゅうけているせいだ。

「やっぱり、海斗かいとさんにきつかれたままではおよげません。しかも、しおながれの影響えいきょうでしょうか? どんどんおきほうへとながされてしまっています。海斗かいとさん? なんとか1人ひとりおよげませんか?」

 ぼくくび左右さゆうった。かろうじておよぎでくび水面上すいめんじょうすのが精一杯せいいっぱいだ。

 陽子ようこちゃんがたすけにてくれたけれど、絶望的ぜつぼうてき状況じょうきょう変化へんかはなかった。


 次回予告じかいよこく

 次回じかい最終話さいしゅうわです。

 2人ふたり溺死できししつつも『ハッピーエンド』にする方法ほうほうですが、『ハッピーエンド』のあたまに『アン』とけるというのは如何いかがですか?

 おおっ、なんて素晴すばらしい叙述じょじゅつトリックなのでしょう? まさに、『名アンめい案』。これで一気いっき解決かいけつゾロ……。

 わ〜、やめて! ものげないでくださ〜い!

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