第2話トラウマ

 作者さくしゃからお

 セルフレイティング、『性描写せいびょうしゃあり』に変更へんこうしました。ごめんなさい。


 適当てきとう体操たいそうませ、うみへと一歩いっぽみだしたところ、陽子ようこちゃんの

「ちょっとってください」

というこえとともに、うしろからかいパンをむんずとつかまれた。

 それにともない、ぼく白桃はくとうのように瑞々みずみずしいおしりかおし、あわてたぼくながあしからまったうえさらちてた海藻かいそうんでしまい、おおっ、なんということ

 かいパンを陽子ようこちゃんののこしたまま、前方ぜんぽうへと後頭部こうとうぶからけて、あわててあごいてくびまるめると、そのままでんぐりがえって、仰向あおむけでだいになってたおれた💫

 一瞬いっしゅんこった出来事できごと理解りかいできず、まわって、そのままたおれていたが。

「ちょっと、ソーセージとうずらの玉子たまごえていますよ! っておきますけれど、海斗かいとのはせびらかすほど、素晴すばらしいサイズではありませんからね? うちのおとうさんなんて、ソフトクリームサイズですからね🍦」

 はっ、とわれかえってよこころがり、うつ状態じょうたいになる。は、恥ずかしいはずかスィーあながあったらみた……はいりたい。それにしても、ソフトクリーム?

「ソフトクリームサイズって、っている状態じょうたい?」

 おわわず、たずねてから、内心ないしん『しまった!』とおもうけれど、あとのカーニバル。ぼく心臓しんぞうはげしくサンバをおどる。

 しかし、小学しょうがく年生ねんせい陽子ようこちゃんはわからなかったようで、

っててもすわってても、おちんちんのおおきさにはないですよね?」

かえしてきた。あきれたような顔付かおつきをしている。

「おとうさんがソフトクリームって、どうしてそんなことがわかるの?」

「そりゃあ、一緒いっしょにお風呂ふろはいったらはいるじゃないですか?」

「えっ! 一緒いっしょにお風呂ふろに?」

「ええ、おとうさんともおかあさんともはいりますよ? 3にん一緒いっしょにははいりませんが」

 あ、そうだね。おとうさんとおかあさんがはだかでいちゃいちゃしてるのって、子供こどもにしてみたら、ある意味いみこの一番いちばんたくないものだよね?

「それで一緒いっしょはいったら、あらいっこもしますよね?」

「あ、あらいっこ?」

 そ、それは、アウトなヤツなのでは? 父親ちちおやむすめ身体からだをくまなくあらったりだとか、股間こかんのソフトクリームをむすめあらわせるだなんて! それって、風俗ふうぞくプレイじゃないか!

 や、りませんけれど。

背中せなかながしたりしませんか?」

むねあらわれたり、ソフトクリームあらったりは?」

「はっ! ひょっとして、エロいこと想像そうぞうしてます?」

 両腕りょううでんで、ささやかですこやかなむねをガードしつつ、そのジト目一杯めいっぱい敵意てきい視線しせんはなつ。そのビームは、ちっちゃなむしくらいならころせそうだ。

 その一方いっぽうで、ほおしゅめてじらいもせている。

 うつくしい黒髪くろかみみにして、その先端せんたん鎖骨さこつでる。

 小麦色こむぎいろけたはだは、毎日まいにちおよぎにていること想像そうぞうさせる。スクール水着みずぎかたひものよこに、わずかばかりのしろはだかくれしている。きっと本来ほんらい色白いろじろなのではあるまいか?

 スクすいしたには、しろ裸身らしんかくされていて、日焼ひやけした部分ぶぶんとのあざやかな対比たいひせるのではあるまいかアルマジロ

 ううっ。なにやら、ひらいてはいけないとびらひらきそうな気配けはい……。

なにをじぃー、っとてやがりますか。このヘンタイっ!」

 右手みぎてかいパンが、ぼく顔面がんめん直撃ちょくげきした。


すみませんサーセンでしたシターッ!」

 砂浜すなはまひたいこすりつけ、必死ひっし土下座どげざ社会的しゃかいてき生死せいしかっているのである。なりふりなどかまってはいられない。

いでしょう。かおげてください」

 陽子ようこちゃんの言葉ことばかおげる。あせひたいいたすながこぼれてきてつむる。ひたい右手みぎてこうはらいのけてから、ける。

 仁王立におうだちで腕組うでぐみをした陽子ようこちゃんは、おおきくためいきをついてからくちひらく。

「いくらわたし美少女びしょうじょだからって、あんまりじろじろながめてもらってはこまるのです」

 少女しょうじょというよりは幼女ようじょだ。さらにいえば妖女ようじょだ。名前なまえも『陽子ようこちゃん』ではなく『妖子ようこちゃん』にしたほうい。とはおもったがくちにはさない。

いですか? つぎわたしことをいやらしいでじろじろたら、フルチンでかいパンをかぶっておよいでもらいますよ? 背泳せおよぎ……、それとも平泳ひらおよぎのほう面白おもしろいかな?」

 冗談じょうだんなんかではない、このはやる。みじかいだが、ぼくにはわかる。やるとめたらとことんまですすむドSガールだ。

 フルチンで平泳ひらおよぎだって? ぼくにとっても冗談じょうだんじゃない!

 そっと上目遣うわめづかいで、

「あの〜、もうかいパンをいてもよろしいでしょうか?」

とおうかがいをてる。陽子ようこちゃんは、もう一度いちど『はふぅ〜っ』とためいきをついてから、

「さっさといちゃってください。何度なんど鑑賞かんしょうあたいするような立派りっぱなモノではありませんからね」

 お言葉ことばべられた。

「ありがとうございます」

 すみやかにかいパンを装着そうちゃくし、ささやかなソーセージとうずらの玉子たまごおさめる。散々さんざんディスられ、ライフゲージがけずられてしまった。もはや、ドSなぷち女王様じょおうさまさからおうなどとは、微塵みじんもミジンコほどもおもわなくなった。

いですか? うみではふざけていると危険きけんですよ? このうみでも過去かこくなられたかたがいるんですからね? 準備運動じゅんびうんどうはしっかりしますよ! ラジオ体操第一たいそうだいいちから。ちゃんちゃんちゃらったったった♪ ちゃんちゃんちゃらったったった♪ るるるる るるるる るるるのる〜♪ まずはうでおおきくばして背伸せのびの運動うんどうから」

 陽子ようこちゃんとかいって、ラジオ体操たいそうをする。ひとられたらずかにそうな光景こうけいだが、さいわいなこと周囲しゅういにはヤドカリくらいしかいない。

 これでもか、というくらいに準備運動じゅんびうんどうをやって、ようやくうみへ。もうすでこころもすりって、へろへろになりかけていたが、期待きたいかがやかせる陽子ようこちゃんにげようものなら、どんなひどい仕打しうちがけているやらわからない。

海斗かいとはどのくらいおよげるんですか? 5m? 10m?」

「むっ、莫迦ばかにするなよ。50mはおよげるわ!」

ったあとで、

「……いや、およげたわ」

とトーンダウンした。

 それをいた陽子ようこちゃんは、おおきなくりくりまなこさらおおきく見開みひらいた。

「なんでおよげなくなっちゃったんですか? 老化ろうかですか? もうおじいちゃんなのですね」

「まあ、ちょっとね」

 曖昧あいまいこたえた。

「あ、わかりました。きっとおぼれたんでしょう? それでおよぐのがこわくなったんですね?」

「まあ、そんなとこ」

 あのからぼくは、みず恐怖きょうふかんじるようになった。あの事故じこがきっかけであること間違まちがいない。でも、なんでぼくみず恐怖きょうふかんじるようになったのか、その理由りゆうはわからない。いて理由わけげるならば感受性かんじゅせいゆたかだったから、としかおもえない。

みずかおをつけられますか?」

 ピクッ!

 いきなり核心かくしんかれたがした。いつもだったらつよがっていただろう。実際じっさい水泳すいえい授業じゅぎょうでは、無理むりやりかおをつけておよいでいる。

 でも息継いきつぎが上手うま出来できなかった。いや、出来できなくなった。

 ゆっくりと、くび左右さゆうった。

 莫迦ばかにされるかともおもったのだけれども。

 陽子ようこちゃんは、まずこまったようなかおをして、眉根まゆねせてかんが表情ひょうじょうになり、かなしそうに微笑びしょうしたかとおもうと、なにかをひらめいたようで、いつくしむような微笑ほほえみをたたえて、ちょいちょいとぼく手招てまねきした。

 ぼくそばくと、ぼくあたまうえ右手みぎてばす。

大丈夫だいじょうぶですよ? きっと、およげるようになりますからね?」

 ぎこちなくあたまを――――まあひたいあたりだけれど――――をでてくれているようだ。ただ、ぼくとは頭1あたまひと分以上ぶんいじょう身長差しんちょうさがあり、ぷるぷると背伸せのびしてうでをいっぱいにばし、一生懸命感いっしょうけんめいかん満載まんさいである。何気なにげなく、陽子ようこちゃんのわきた。もちろんなどえていない――――。

「ちょっと! どういうことですかっ!」

 ビクッ! しまった。やらかしてしまったか? かいパンをかぶって平泳ひらおよぎのけいか? それとも直接ちょくせつ警察けいさつ通報つうほう

 おそおそ陽子ようこちゃんのかおると。

「ちゃんと、空気読くうきよんでくださいよ〜。あたまでられないじゃないですか! 姿勢しせいひくくしてください」

 かった、そっちか〜。

 陽子ようこちゃんのもとめにおうじて、そのにしゃがみむ。

 陽子ようこちゃんは、ぼく後頭部こうとうぶでしながら、

こわくないですよ? わたしがついていますからね〜♪」

うれしそうにこえけてくれた。おねえちゃん願望がんぼうつよいのかもしれない。

陽子ようこちゃんは兄弟きょうだいいるの?」

「いえ、ひとりっですけれど?」

 やっぱりそうか。ここはおれいがてら、おねえちゃん願望がんぼうたしてあげよう。

陽子ようこねえちゃんってんでい?」

 すると陽子女王陛下ようこじょおうへいかは、半眼はんがんになり、

「はぁ? なつあつさにのうみそやられたんですか? ただいま絶賛ぜっさん老化ろうか進行中しんこうちゅう海斗かいとおじいちゃんに、おねえちゃんなんてわれたくないですよ! おとうとになりたい願望がんぼうでもあるんですか。キモいですっ!」

 ののしりのお言葉ことばはっせられた。


 作者さくしゃコメント

 『スク水』という言葉ことばがある。『スクすい』と『スクみず』という2種類しゅるいかたがある。すかたたくかでまよったエピソード同様どうよう、ここでは三日三晩みっかみばんなやこと相成あいなった。真正しんせいロリータ趣味しゅみ読者諸兄どくしゃしょけい皆様方みなさまがたには、どちらの表現ひょうげんさるのか。間違まちがったほうえらんでしまえば、この物語ものがたり途端とたんかがやきをうしない、凡作ぼんさくそしりをまぬがれないであろう。

 作中さくちゅうでは、使用例しようれいおおいとおもわれた『スクすい』をえらんだが、いまだにただしい選択せんたくであったかどうか疑問ぎもんかんじている。

『どっちでもい』などということはありない。それは、てしなき言葉ことばへの追究ついきゅうあきらめたもの戯言ざれごとである。

 わたしは、てしなく言葉ことば追究ついきゅうするサンガリア精神せいしんでありつづけたいとせつねがう。


 とゆわけで、なんと!

 ここにきて、いまうみはいっていない。このまま、うみはいらずに陽子ようこちゃんの実家じっかのカラオケ喫茶きっさって、ナツメロうたいまくったら面白おもしろいだろうなあとおもいつつ、そゆわけにもいかないよね?

 陽子ようこちゃんと海斗君かいとくんうみはいったら、やることひとつ。もちろん、おセック……、ではありません。この作品さくひん児童じどうポ○ノになっちまうぜ。あぶないあぶない。

 陽子ようこちゃんが海斗君かいとくんおよぎの指導しどうをして、そこそこおよげるようになって、調子ちょうしっておきる。このあたりはあまりひねりようがない。

 うちの作品さくひん場合ばあいだと、海斗君かいとくんおぼれて、たすけようとした陽子ようこちゃんもおぼれて溺死できししたあと異世界転生いせかいてんせいしてそこでハッピーエンドとなる。

 ってかんがえたんだけれど、異世界転生いせかいてんせいだれかがくでしょ、とおもってやめちゃった。

 さあ、どうなるのか、次回じかいをおたのしみに♪

 さすがに次回じかいこそは、うみはいるよ。

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