9-8 その1

 正月の二日目、午後のログインの時間です。

 やはり、時期的なものもあり、あまりログインしていないようですね。


「こんー」

「来た来た。リーゼロッテ、今日の夜はみんな遊びに行くから、空けといてね」

「りょーかい」


 ログイン早々に時雨からそんなことを言われましたが、妖精クエストの続きをするのでしょう。

 それでは、日課の後に昨日の続きをしましょう。もう少しで操糸がカンストしますから。

 ……………………

 ………………

 …………

 ……

 ピコン!

 ――――System Message・所持スキルがLVMAXになりました――――

 【操糸】がLV30MAXになったため、上位スキルが開放されました。

 【操弦】 SP3

 【操人形】 SP3


 【暗器】がLV30MAXになったため、上位スキルが開放されました。

 【暗器武器】 SP3


 これらのスキルが取得出来ます。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――


 妖精が途中まで興味を示してくれなかったため、少し時間がかかりましたが、やはり基本スキルは上りがいいですねぇ。

 操糸は操弦と操人形の2個が解放されました。まぁ、人形の方を取る気はないので、操弦の方を取ります。

 暗器武器は、暗器枠が一つ増えるだけで、ハヅチ曰く、【暗器武器】は暗器枠2個共に装備をしていないとスキルレベルが上がらないそうなので、糸以外を用意していない私には無用の長物になるため、これも取得する必要はありませんね。

 さて、肝心の操弦なのですが、最初に覚えたアーツは、【操弦牢】というアーツで、1本の糸で強固な壁を作ることができ、5本の糸を使うことで、地面以外を囲む牢屋を作れるそうです。ちなみに、6本使って空中に箱を作ることも出来たので、空中にいる相手を閉じ込めることも出来そうです。

 大きさはある程度の自由が利きますが、形は格子状だけということで、壁糸とは使い分けが出来そうです。

 ああ、操弦だからといって武器を糸から弦に変えないといけないということはありません。

 【操弦牢】を足場に出来るのか確認してみたところ、壁糸とは違う点がありました。ええ、空中ジャンプの使用回数は回復しませんでしたが、なんと、足場にして跳んでも残っていました。やはり、耐久力の違いなのでしょう。

 次はトレント戦で使えるのかを確認します。

 大きさは地面からトレントの腕の高さを少し超えるくらいにして……、位置は……、付け根付近にしましょう。動きを阻害するときは関節付近を押さえるといいとか聞いた記憶があります。まぁ、正確なことなんて知りませんけど。


「【操弦牢】」


 糸を2本使い、トレントの両側に壁を2枚作りました。格子状になっているため、腕が突き出る形ではありますが、激しく動いているのは先の方だけで、付け根付近はほとんど動いていません。どうやら、これは成功のようですね。

 操弦牢が破られるまで同調魔法を叩き込んでみたところ、複数のアーツを使って拘束したときよりも長い時間押さえておくことが出来ました。残念なことがあるとすれば、糸を4本使っても、一本の腕の2ヵ所を押さえることが出来ないということですね。あくまでも、牢を作るアーツですから、四方を囲ってしまいます。

 ちなみに、2本無駄にするつもりで四方を囲んでみたところ、腕を押さえる時間が伸びたので、しっかりと囲った方が強度が上がるようですね。

 それでは、どこに遊びに行くのか知りませんが、ログアウトです。





 夜のログインの時間です。


「こんー」

「リーゼロッテの分」

「あ、うん」


 いきなりハヅチから装備一式を渡されました。これは……、ふむ、振袖一式ですね。はて、遊びに行くにしても、これを着ろということでしょうか。

 よく見れば、みんなも多少の違いはあれど、振袖を着ています。ちなみに、グリモアは和ロリ的なものを来ています。ふむ、似合いますねぇ。


「昨日の午後に公式ホームページの更新あったんだけど、見てないよね。ナツエドのお正月ってイベントが追加されたんだよ。別にクエストとかはないけど、正月特有の遊びとか、お餅つきとかが出来るんだってさ」


 ほうほう。つまり、正月気分を味わうためだけのイベント追加ですか。では、早速振袖に着替えてゲーム内での初詣へと向かいましょう。

 ちなみに、ハヅチ達黒三点は普段の装備から鎧などの金属部分を外しただけです。

 ポータルからナツエドへと移動出来るようになっていたとは、気が付きませんでしたね。とりあえず、全員でポータルを使い移動すると、そこには雪の積もるナツエドがありました。ちなみに、東西南の三方にある大きな門ですが、南は神社、東は正月遊び広場、西は餅つき会場となっているそうです。他にも、民家に突撃してそこのNPCとも遊べるそうなので、知り合いと時間が合わなくても遊べるようですね。


「よし、まずは初詣だな」


 ハヅチが先陣を切って南へと向かいますが、そこへブレイクが近付き、こそこそと何かを受け取っていますね。まぁ、そこは触れないであげましょう。

 ナツエドのNPCもそこそこいますが、プレイヤーもそれなりにいるようです。特に報酬がなくとも、遊べる以上、やるプレイヤーは多いということですね。

 あそこにある南門から出ると本来はエドレントがいるフィールドですが、今回は神社となっているので、奥には鳥居が見えますね。


「じゃ、じゃあ、ちょっと連れてくるから」


 門が近付くにつれそわそわし始めたブレイクが向かった先には……、うーん、プレイヤーが多くて目的が誰なのかわかりませんね。

 えーと、ああ、ブレイクが会いに行ったのは……クロエさんですね。恐らくですが、ハヅチとこそこそしていたのは、クロエさん用の振袖を貰っていたからでしょう。


「みなさん、お邪魔します」


 1人増えて13人となりました。


「クロエ、パーティー組んでくれ」


 おや? パーティーを組んだ方がいいのでしょうか?


「ねぇねぇ、アイリス、パーティー組んだ方がいいの?」

「お知らせは……、見てないのか。今回の初詣イベントはチャンネルシステムの試験的な導入を兼ねているらしい。同じクランやパーティーメンバーは自動的に同じチャンネルになるから、私達は何かをする必要はない」


 なるほど。チャンネルシステムですか。つまり、クロエさんとはパーティーを組まないと、門をくぐった瞬間にお互いが見えなくなるということですね。

 実際、南門の向こうには鳥居など、神社の風景が見えます。それに、プレイヤーもちらほら見えますが、モヤがかかったかのようになっています。つまり、これが門をくぐった瞬間に変化するということでしょう。

 期待に胸を膨らま……、門をくぐると確かにプレイヤーの位置や数が変化した気がします。ですが、気のせいといわれればそこまでなので、しっかりと意識してもよくわからないとは、恐ろしい技術ですよ。


「それで、餅つきと広場、どっちに行くの?」


 正月遊びといえば羽子板とすごろくですが、冬でもあるので、雪遊びも含まれてもおかしくはありません。内容によっては人数がいた方がいいですが、無理に誘うわけにもいきませんから。

「初詣だけ一緒にやって、後は自由だよ」


 答えたのは時雨でした。

 どうやら、前もって決めてあったようです。


「それじゃあ、ブレイク、行っていいぞ」


 まずはブレイクとクロエさんを見送りました。まぁ、そうですよね。この後もですが。

 ハヅチと時雨を先に行かせ、残るは9人です。


「はーい。あたしは、餅つきに行きたい」

「採用」


 モニカの意見に乗っておきましょう。特に目的もありませんでしたから。

 そんなわけで、他の意見もなかったため、初詣をしてから使えるポータルで、西側の餅つき会場へとやって来ました。

 餅つきがいいと言い出したモニカが率先して会場の利用申請をしています。まぁ、担当のNPCに声をかけて、使える場所を教えてもらうという手順です。その際、NPCに手伝いをしてもらうかどうかも決められるそうです。

 私は少しつくだけでいいので、飽きたら残りをやってくれるNPCがいると助かりますね。


「あっちだってさー」

「りょーかい」


 少し歩いた先にある餅つきセットへと向かっている途中、他のグループが餅つきをしているのが目に入りました。

 ついたお餅はその場で食べることが出来るらしく、味付けも複数あるそうなので、楽しめそうですね。


「おりゃ、とりゃ、ふりゃ」


 目的地では、まずモニカに気が済むまで餅をついてもらうことになりました。


「グリモアは、何餅がいい? 何気に磯部巻きも選べるんだね」


 味付けを見ていますが、定番の黄粉に餡子、大根おろしやら納豆まであります。他にも、言えば用意してもらえるそうなので、準備がいいですねぇ。


「うむ、我はまず、この餡子を」


 餡子は餡子なんですね。てっきり、黒き何とかというと思っていたのですが。


「2人の分も持ってくるけど、何がいいんだ?」


 取りに行こうと思っていると、ロウが行く気満々なので、任せておきましょう。


「餡子を」

「そんじゃ、黄粉」

「わかった」


 ここに来る途中で絡んできたプレイヤーにも1人で対応するなど、楽しそうに率先して動いていますが、何かいいことでもあったんでしょうかねぇ。まぁ、面倒ごとを進んでやってくれているのですから、文句はありませんが。


「次やる人ー」

「あ、私やる」


 ロウが持ってくるであろうお餅はグリモアに預かってもらうことにして、モニカから杵を受け取――。


「んぎゃ」


 モニカが使っていた杵は重いやつだったようで、持つことは出来ても、餅をつくのは無理そうですね。


「モ、モニカ、これ……」

「あっちで選べるからね」

「……あんがと」


 それでは持てる重さの杵を探しましょう。他の魔法使いと比べるとSTRはある方ですが、比較対象が魔法使いの時点で、重い杵は使えません。ええ、モニカの様な物理職と比べたら、天と地ほどの差がありますから。

 おっと、袖が長いのでたすき掛けをしましょう。振袖一式に含まれているのは、ハヅチの芸が細かいからですかね。


「よーし、いくぞー。よいしょ、ほいさ」


 これはこれでやっていると楽しいんですよね。ただ、私が餅をついても、NPCが餅に触れもしません。これは、力が足りないと言いたいのでしょう。そういえば、物凄い速度で餅つきをする人達の場合、餅をひっくりひっくり返したりする側の人がただ触れるだけの時もありますが、あれって意味があるんでしょうかねぇ。

 ……よし、今日はこれくらいにしておいてあげましょう。


「次誰がやる?」

「我が!」


 というわけで、グリモアと交代します。私が使っていた杵を渡そうと思ったのですが、選んで既に持っているため、渡すことが出来ませんでした。私の方が少しSTRが高いはずなので、残念です。

 ちなみに、黄粉はモニカが預かっているので、受け取って食べてしまいましょう。

 もぐもぐ。

 次は餡子を。ああ、磯部巻きもですね。

 つくのが一巡した後は、モニカの気が済むまでついてもらうことになりました。元気に餅をついているモニカを眺めているのも楽しいですから。


「グリモア、黄粉こぼしてるよ」


 黒系の和ロリ系ですから、黄色い粉は目立ちますね。


「もが!」


 おやおや、黄色い粉の乗っている胸を見ようとして、さらにこぼしていますよ。


「ほらほら、取ってあげるから」


 一歩近付いたのですが、何故か二歩下がられてしまいました。


「ごくん……。心配いらぬ」

「でも、両手塞がってるよね」


 何せ、お皿とお箸を持っているのですから、胸元をはたくなんて出来ませんよ。


「こうすれば……、リ、リッカ!」

「……観念、する」


 おやおや、お皿とお箸を片手に持ち替えたのですが、リッカが背後からグリモアに抱きついているため、下がれなくなりましたよ。


「ナイス。ほーら、観念しなよ」


 大人しくしているグリモアの正面から胸元へと手を伸ばし、黄粉をはたきました。


 てい。


 警戒していてあたふたしていたグリモアの腕のしたからリッカが不満げな視線を向けていますが、たまには安心させるのも大事なんですよ。

 そんなこんなで、モニカも満足したため、今度は正月遊び広場へと移動することになりました。

 こちらも、入ってすぐのNPCから道具を借りることが出来ますが、ここで借りなくても、メニューから借りることが出来るそうなので、羽根突き一式を複数借りることにしました。

 ちなみに、墨汁の入った瓶と筆は必須です。


「よーし、勝負だー」

「最初は俺だ」


 相手を募集したモニカに対し、挑んだのはロウです。ちなみに、顔に墨を塗るのは勝者の特権なので、私も誰かとやらなければいけませんね。


「そんじゃ、花火、勝負だ」

「わかりました、お姉様」


 うーん、近くにいたので指名しました花火ですが、普段はお嬢様っぽい恰好とは違う振袖もきちんと着こなしていますね。では、しっかりと墨を付けてあげましょう。


「おりゃー」

「はい」


 危なげなくラリーが続きますが、打ち返しやすい場所を狙われているようですね。これは、油断したところにトドメの一撃が――。


「ちょっ、……うわっ」

「ふふ、お姉様、油断大敵ですよ」


 思っていた矢先の一撃に、反応は、出来ました。けれど、反応しただけで、対応出来ず、羽根を地面へと落としてしまいました。

 おのれーー。


「さぁ、お姉様、お楽しみの時間ですよ」


 花火が両手に罰ゲームセットを手に、ウキウキしながら近付いてきます。これはルールですし、大人しく従うとしましょう。ただ、一つ言わなければいけないことがあります。

 ちゃんと、地面に手をつき、悔しそうな顔をしてと。


「……く、殺せ!」


 ふむ、状況やら何やらいろいろと違うので、しっくりきませんね。


「では、いきますよ」


 ぬわー、冷たいですよ。更に、筆の感触がーー。


「出来ました」

「あー、書かれた後はちゃんと見えるようになってるんだ」


 一枚のウィンドウが表示され、右目の周りに丸が書かれているのがわかります。ウィンドウの上に10秒のカウントが表示されいるのですが、10秒ってこんなに長かったですかね。


「次は誰だー」


 こうなったら、勝つまで続けるしかありませんね。


「……私、やる」


 おやおや、リッカですね。さっきは協力してくれましたが、そのことで手加減はしません。


 ぎゃふん


「……リッカ、強い」

「……リーゼ、ロッテ、……弱、い」

「……顔、出し、て」


 ぐぬぬ。打ち返せない場所ではないのですが、妙に打ち返しにくい場所に打ってきたため、とうとう羽根を体で受けてしまいました。

 今度は左の頬のバツ印を書かれてしまいました。ちなみに、10秒間大きく表示された後のウィンドウは小さくなって隅の方へ移動するだけで、消えはしません。


「リーゼロッテ、俺と勝負だ」


 おや、今度は顔に大きく内と書かれているロウですか。これはいい勝負が出来そうですね。


「あー、後2回だったのに」


 モニカの一言から、肉と書く予定だったことと、4敗していることが判明しました。私が2敗する間で4敗とは、凄いですね。


「おやおや、リーチになっちゃうけどいいの?」

「その顔に三角を加えてやるよ」


 これは、負けられませんね。

 ………………

 …………

 ……

 長いようで短い試合でした。


「さーて、その内に一画加えてあげるよ」

「く……くそう」


 悔しそうなロウに膝をつかせ、顔を差し出させました。大きく内が書かれた状態なので、鼻の下あたりから一画、これで、リーチですね。


「さぁ、ロウ、最後もあたしが決めてあげるよ」


 やる気に満ちたモニカが始めたことですから、最後もモニカに託しましょう。

 私がロウと雌雄を決している間にみんなも何戦かしていたようで、無敗を誇っているのはモニカだけでした。花火も一敗しているとは……。


「勝ったーーー」


 少し待っていましたが、モニカが勝利し、ロウに最後の一筆を加えています。

 とうとう、顔に大きな肉の文字が完成しました。まぁ、額だけでは書くための広さが足りなかったのでしょう。


「ふう、楽しかったー」


 モニカも満足したため、今日はここまでとなりました。

 ちなみに、この顔の状態はここを出ると消えますが、正月イベントの間は保存されているらしく、この広場に入った時に反映させるかどうかを選べるそうです。

それでは、反映設定をオフにして、ログアウトです。





 一月三日、午後のログインの時間です。

 今日の夜には妖精クエストの続きをすることになっているので、あるであろうボス戦のために、いくつかのスキルレベルを上げる予定です。

 中級スキルは今からだと大して上がりそうにないので、結局は昨日までの続きになります。ただ、糸で動きを止めながら魔銃を乱射し、同時に1人で同調魔法も乱射するしかありませんね。

 ただ一点、昨日までと違う点は、相手をするMOBです。トレントはちくちく攻撃していてもHPを回復してしまいますから。

 さて、どこへ行きましょうかねぇ。


「妖精さん、何のMOBがいい?」

「そうね。最近は動かないのばかり相手にしていたから、ちゃんと動くのがいいわ」


 うーむ、ちゃんと動くMOBですか大抵のMOBは動くんですよねぇ。


「他には?」

「ほか? そうね、武器をもっているのがいいわ」


 思いつくMOBはゴブリン系か、マギウォーリア系ですね。


「単体? 複数?」

「いっぱい出る方がいいわ」

「じゃあ、属性持ちのマギウォーリアの方で」

「それがいいわ」


 よし、上手くいきました。妖精が見たいと言ったのですから、これでスキルレベルの上りもよくなるはずです。




 そんなわけで、マギストにある魔力屋本部、そこから行ける【魔力の渦】の6階へとやって来ました。今回も二刀の条件を満たすために魔術書と魔銃を装備しています。

 しばらく進むと、二体のマギウォーリアがやって来ました。属性は火と水で、武器は剣と短剣ですかね。

 まず、火属性の個体に対し、魔銃を乱射しながら、【ウォータボルト】の魔法陣を二つ描きます。ただ、これで終わりではありません。


「【操弦牢】、【ウォーターボルト】」


 このままでは水属性の個体が近寄ってきてしまいますから、糸で四方を塞ぎ動きを封じました。縛糸でもよかったのですが、縛られながらも動ける可能性と、スキルレベルを上げる目的から、こちらを選びました。

 さて、弱点をついても使ったのはウォーターボルトの同調魔法です。レーザー系を3発は必要なMOBを倒しきることは出来ません。そのため、追撃をする必要があります。


「【ウォーターボルト】、【ロックボルト】」


 途中で気付いたのですが、別に1体だけを狙う必要はありません。ただ、火属性のMOBを先に倒す予定なだけなので、それぞれの弱点の同調魔法を1発づつ叩き込めばいいんですよ。

 そんなわけで、渦巻く水の弾丸とウニの様な石の弾丸をそれぞれのMOBへと放ちました。

 使っているのがボルト系なので、確かに威力は低いです。ですが、それが4発分になろうとも、ディレイもクールタイムもボルト系4発分なので、普段よりも短く感じますね。

 何発叩き込んだかは忘れましたが、どうにか2体の属性持ちマギウォーリアを倒すことが出来ました。同調魔法で威力が上がっているとはいえ、流石に基本魔法では時間がかかりますね。


「まぁ、こんな感じですよ」

「そうね。あんたに出来ることがいくつも見れるのは、楽しいわ」


 それでは、妖精の興味が続いている内にどんどんMOBを倒してしまいましょう。

 ……………………

 ………………

 …………

 ……


「そろそろ飽きて来たわ」


 ふむ、使う属性が違うとはいえ、やっていることは同じなので、そこまで長続きはしないようですね。それでも、ある程度はスキルレベルが上がったので、よしとしましょう。別に、妖精が興味を失っても、スキルレベルは上げられますから。

  ピコン!

 ――――System Message・所持スキルがLVMAXになりました――――

 【天之眼】がLV50MAXになったため、上位スキルが開放されました。

 【透過眼】 SP5

 このスキルが取得出来ます。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――


 しばらく狩りをしていると、天之眼がカンストしました。ずっとワイプモードで視界の隅に表示しておいたのがよかったのでしょう。

 取得してから詳細を見てみると、どうやらこれは壁の向こうが見えるスキルのようです。まぁ、アクティブスキルなので、常時透視するにはかなりのMPを消費することになりますし、見えるものが多すぎて大変なことになりますね。

 ちなみに、ローブを含め、一般的に服に分類される範囲のものは出来ないようですが、杖は出来たので、武器と盾は透視出来るのでしょう。

 他にも制限があるようですが、スキルレベルが低いからではなく、プライバシー的な意味合いでの制限のようですね。

 この後、もうしばらく狩りを続けてからログアウトしました。

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