8-8 一箱目
日曜日の午前、今日は24日ということもあり、買い物のために外へ出るとクリスマス一色になっていました。
いつものスーパーはこういった日でも在庫が充実しているので重宝してます。
「葵のリクエストはいつも通りクッキーだったね」
「流石にケーキは私達もこりたしね」
あれは嫌な事件でした。出来心で出来合いのホールケーキ用スポンジを買ってホールケーキを作ったわけですが、私の両親と時雨の両親がそろってホールケーキを用意したんですよね。それぞれの家で1個半を食べるのは大変でしたよ。まぁ、それ以来、葵はクッキーとしかいいませんし、両親も人数分のケーキを買うだけになりましたよ。
明日は終業式で終わりなので、教室でゆっくりせずに帰ってくる必要があります。
お昼を食べて行った伊織も帰り、片づけをしたのでログインしましょう。
「こんー」
「これを頼む」
「あー、イベント用?」
「そういうことだ」
今日になった瞬間に発表された今夜のボス戦(仮)の詳細を話し合うようですが、ポーション類はどんな内容であろうとも必要なので、作っておいて損はありません。
全員揃ったら話し合いを始めますが、事前に目を通しておいた方がいいでしょう。
えっと、夜に作ったソリと契約したトナカイを使って南にあるプレゼント工場でプレゼントを受け取り、配りに行くそうです。サンタ一人につき、センファスト・エスカンデ・ノーサード・ウェスフォー・サウフィフの5ヵ所でそれぞれ10個の、合計50個を配るそうです。
この内容であれば戦闘はありませんが、ブラックサンタがプレゼントを狙っていると書かれているので、奪われるか妨害されるか、何かしらはありそうですね。それを裏付けるかのように、イベントで訪れる街はイベント用のミラーマップの様なもので、今回に関してはハロウィンイベントとは違い、街が壊れても通常のフィールドには影響がないと書かれています。
「リーゼロッテ、ソリの操縦お願いしてもいい?」
「私でいいの?」
「ステータス的に適任だから」
随伴ソリはサンタさんの乗るソリを自動的に追うそうですが、そのソリを中心に一定距離内であれば自由に動かすことが出来ます。そして、最大速度は作るのに使った素材の影響を受けるのですが、実際の速度は操縦を担当するプレイヤーのステータスに依存するようです。他にも、ただ追うだけの自動操作とは違い、手動で操作する場合はMPを消費するそうです。ここまでなら私が適任ですが、操縦には専用のレバーを使うので、少なくとも片手はふさがります。この理由があるのなら片手杖を使うグリモアの方がよさそうですが、速度を考えると、移動補助系のスキルを持っていてAGIがそこそこある私の方がいいと考えたようです。
「片手でいいなら魔銃を使えばいっか」
ちょうどいいですし、ある程度の魔法攻撃力はあるので、魔法を使ってもいいです。どんな戦闘になるかはわかりませんが、その場その場で出来ることを考えましょう。
操作を担当することになったので、もう少し詳しく仕様を確認しましょう。
えーと、移動できる範囲はサンタさんのソリを中心とした円形の範囲です。当然、サンタさんのソリは進むわけなので、移動はあくまでも相対的な位置を基準としたものになります。ボス戦(仮)中は吹雪の場所もあるようですが、例の聖属性やらそれに準ずるものを使った場合の利点として、素材次第で上下しますが、サンタさんのソリから一定範囲内は視界がクリアになるそうです。つまり、それを使っていない場合、猛吹雪の中ソリを操縦しなければいけないということですね。あの木材を用意しておいてよかったですよ。
「よし、全員そろったし、操縦担当は操作に目を通したな? それじゃ、他のクランが情報屋クラン経由で流した情報伝えるぞ」
何でも、ブラックサンタがプレゼント工場を襲い、そこにあるプレゼントを使い魔のブラックトナカイに持っていかせる計画らしいです。そのブラックトナカイを倒すとプレゼントがドロップするので、50個回収したら届けに行くという流れのようです。ちなみに、クランやパーティーなどでシステム的に協力体制を取ることで、自分達の分を回収した後に倒したブラックトナカイのドロップはそちらへ送られるそうです。なので、50体倒したら終了でもいいですが、余分に倒しても無駄にはならない仕様です。
そういうわけで、ハヅチ達が人数不足の時に協力しているクランと協力体制を取ることになっているとか。
最後に、ソリの行動範囲を決めて今回の話し合いは終了です。二台の随伴ソリが自由に動き回るとぶつかりかねないので、半分から左を担当することになりました。
この後に残りの準備を行い、ソリの操縦訓練をすることになりました。流石にぶっつけ本番では無理がありますから。
私達の乗る随伴ソリはソリとは言っていますが、床代わりの板と安全用の柵、そして、操縦席です。ちゃんと落ちないようになっているので安心出来ますね。
操縦桿らしきものは洞窟の地下で手に入れた石に繋がっており、前後左右に動かすことで、随伴ソリが上下左右に動き、足元のフットペダルで加速と減速が出来ます。本体のサンタさんのソリともう一つの随伴ソリの位置を確認するために、サンタさんのソリを基準とした球体ウィンドウも出るので、間違ってぶつかる可能性は低いでしょう。
後ろにはヤタ達が乗っているので、後ろへの影響もそこそこわかります。納得がいったらログアウトしましょう。
夜のログインの時間です。これから配達クエストという名のボス戦(仮)が始まるので、全員そろい次第、サンタさんを連れてサンタ養成学校へ向かいました。
前もってソリとトナカイは養成学校のソリ置き場に移動されているので、時間が来てイベントがその段階になったら乗りに行きます。それまでは暫しの間自由行動です。
おや、あそこでリコリスと一緒にいる筋骨隆々の漢女は――。
「あ、リコリスとセルゲイさん、こんー」
「あ~ら、リーゼロッテちゃんじゃな~い」
「リーゼロッテさん、こんばんは」
他にも、なごみ亭のメンバーらしきプレイヤーがいます。それでも、1パーティー分しかいませんね。
「リーゼロッテちゃん、ちょ~っといいかしら?」
「どうしました?」
リコリス達から少し離れ、内緒話モードで話したいようです。
「ちょ~っとお願いがあるんだけど、イベントの協力体制、知ってるわよね」
「あー、50体以上倒したらそっちに行くってやつですよね」
「それよ、そ・れ。順番も選べるから、一番下に加えてくれないかしら?」
「聞いてみますね」
リーゼロッテ:ハヅチー、セルゲイさんが協力体制の一番下に加えてくれないかって
ハヅチ:あー今行く
「今来るそうです」
「助かるわ」
しなを作るセルゲイさんの隣でハヅチを待っていると、すぐにやって来ました。まぁ、そんなに移動していませんし、場所がわかるわけですから、迷いませんよね。
「お待たせしました」
「ううん、こっちが頼んでるんだもの。いくらでも待つわよ」
ハヅチとセルゲイさんが手続きをしているのを眺めていると、後ろから外套を引っ張られました。
「リーゼロッテさん、ありがとうございます」
「他のクランともやってるから、すぐにはドロップ行かないと思うから、気にしなくていいよ」
「それでも、私達と協力体制をしてくるクランが全然なかったので、本当にありがとうございます」
お礼を言いながら必死に頭を下げるリコリスの背後に回り、脇の下から手を入れて一気に持ち上げます。
「リコリスゲットー」
「ひゃっ、またですか」
「そこまでお礼をいうなら、リコリスを連れていくしかないよね」
「あ、リコねえを返せー」
おや、なごみ亭の子供達がやって来ましたよ。けれど、返せと言われて返す人はいませんよ。
しっかりとリコリスを盾にして、近付いてくる子供達から身を守ります。
「みんな、リーゼロッテさん達が協力――」
「ほーら、返して欲しくば……欲しくば……」
「何遊んでんだ? そろそろ時間だから戻るぞ」
「もう? しょうがない、リコリスはまた今度にしよう。じゃあね」
リコリスを下ろし、戻ることにしました。
「リコねえを取り返したぞ」
「あ、リーゼロッテさん、ありがとうございます」
「んー、一回でいいよ。そんじゃ」
一つのことですから、一度で十分です。そこまで言われるほどのことでもありませんし。
配達クエスト開始の時間になりました。
まずはサンタ養成学校の校長の話という退屈な時間を思い浮かべるイベントシーンからです。まぁ、イベントの会話シーンというのは重要な情報が混じっていることが多いので、聞き流すわけにはいかないんですよね。
ふむ、イベント用のセンファストなどの街はイベント用に改編してあり、プレゼントを届ける家には必ず煙突があるそうです。サンタとトナカイ服には【サンタの心得】というスキルが付与されるそうです。内容としては自動的に煙突の昇り降りをする【煙突移動】というアーツをはじめとしたプレゼントを配るのに役立つ効果が盛り沢山です。これ、イベント中のイベントマップだけで効果を発揮するスキルなので、確実にプレイヤーも手分けして配れということですよね。
「新人サンタとその教育者の諸君、全てのこど――」
ドゴン
『貴様らにプレゼントは届けさせんぞ』
その瞬間、遠くから爆発音が聞こえました。謎の声が響き渡りました。
NPC達が慌ただしく動き回り、情報収集をしているようです。
「ブラックサンタがプレゼント工場を破壊し、プレゼントを奪っていった。諸君、全ての子供達の夢を守るため、協力してくれ」
メニューのイベントページが更新され、状況が詳しく表示されると同時に一つのウィンドウが出現しました。
「確認は後だ。ソリに乗ってから見ればいい」
どうやらそれぞれのソリへ強制転移させてくるようで、ハヅチがそう言ってからボタンを押したため、5秒のカウントが表示されました。
意外と長いんですよね、5秒って。
その5秒で確認出来た範囲では、事前情報と変わっているところは見当たりませんね。
一瞬の暗転の後、私達のソリが目の前にありました。
「そんじゃ、操縦は任されたよ」
前もって練習したので、動かし方はわかっています。いざという時は、魔銃を抜くか、天之眼で狙いを定めて魔法を使うという手段も取れるので、自衛もばっちりです。
「みな、行くんだな」
全員が乗り込んだのを確認すると、サンタさんがトナカイの手綱を握り、走らせます。
トナカイが走り始めるとその足が踏み締めた跡が段々と薄くなり、空を駆け始めました。
「おー、凄い」
練習モードではゴンドラの時の様に専用マップへと飛ばされ、最初から飛んでいたのでサンタさんの動きまではわからなかったんですよね。
空がソリで渋滞し始めましたね。
ちなみに、プレゼント工場を破壊した巨大なブラックサンタは工場を占拠しています。一応、姿は見えますが、吹雪の中にいるので一部のサンタクロース以外は近付けない設定の様ですね。プレゼントを盗んだブラックトナカイは街の上空を旋回していますが、一部は街の四方と上空にあるイベント用のセンファストなどへ繋がっている渦巻きを通り、そちらへ行ってしまっているようです。
うーむ、どうやら最前線のクランなど、大所帯は込み合うサンタシティ上空を避けるため、一部のソリをそちらへ向かわせたようです。
このイベント、かなり悪質ですね。
こんな状況ですから、MOBの取り合いは必至です。
「どうすんの?」
ゴンドラ同士とサンタさんへは声が届くようになっているので、作戦会議に距離は関係ありません。ただし、サンタさんへ指示を出せるのはハヅチだけなので、言い争いでサンタさんが迷うことは無さそうです。
「あー……、外周を……南に近付いたらUターンする感じで回ってくれ。それで、外側のフリーのMOBと渦へ入ろうとしているMOBを狙う」
大所帯の居残り組は中心やブラックトナカイが湧きだすプレゼント工場付近を素早い動きで占拠したので、他のソリはそれ以外の場所を回っています。しばらくして必要数を倒したらプレゼントの配達にいなくなるはずなので、場所を争う必要はありません。というか、MOBがどんどん出てくる場所になんていたくありません。
こちらのソリではグリモアとリッカが主なタゲ取りを受け持つことになっています。MOBの密度から【ハウル】で無差別にヘイトを取ってしまうのは危険ですから。
ちなみに、他のパーティーがタゲを取っている状態のMOBを攻撃した場合、プレゼントのドロップはタゲを取っていたパーティーに落ちるそうで、誰かが戦っているMOBを奪う利点はありません。まぁ、タゲを取るだけ取って放置している場合はその限りではないそうですが。
私もタゲ取りに参加するつもりでしたが、このソリの密度では気を抜いた瞬間にぶつかりかねないので、今は操縦に集中することにしています。サンタさんの後ろに着けて自動操縦にすればタゲ取りに参加出来ますが、それだとグリモア達がタゲを取るのに苦労しそうですし。
「ひゃっ」
今ニアミスしましたよ。一応、本当に危ない時はソリが勝手に動くそうですが、本当にギリギリの時らしいので、なるべく事前に回避したいものです。
背後ではグリモアとリッカがタゲを取ったMOBからモニカがヘイトを奪う形で受け持ち、時雨とアイリスがタコ殴りにしています。そこまで強いMOBではないようで、一体一体の処理速度が早いですね。プレゼントのドロップも確定のようで、着実に溜まっていきます。
しばらくして中央付近を陣取っていたプレイヤー達とMOBの出現する勢いが減り始めました。50個集めたソリの数が関係していそうですね。ただ、相変わらずプレゼント工場を占拠している巨大なブラックサンタのHPバーが見えないのが気になります。ボスなら見えるはずなので、あれには攻撃しても意味がないということでしょうかね。
「相談だが、届ける先に行ってからもトナカイはいるらしいが、揃ってからにするか? それとも、ある程度集まったら出発するか?」
この後についての話をしたいようです。渦巻に入っていく数がそのまま向こうに出現する数なのであれば、この場ほどの数はいないということになります。
「全部揃ってからでいいんじゃないかな? どこか揃ってからでもたいして時間は変わらないと思うよ」
みんなも考えるのが面倒なのか、それとも考えている時間がないのか、時雨の意見に賛同しています。もちろん、私もです。というわけで、無事に全て揃ってから街へ向かうことになりました。これで、MOBの位置と配達先の二つを気にしながら操縦する必要がなくなったわけです。
サンタシティにはまだ多くのソリが残っていますが、私達は50個揃いました。
「ここからだと……、センファストへ向かってくれ」
ハヅチが一番近い渦へ向かうよう指示を出しました。そういえば、渦から戻ってくるソリがいないので、向こうにも他の街へ行くための渦があるのでしょう。
「プレゼントって私達でも運べ……………るんだよね」
渦の中へ入った瞬間に一瞬の暗転があったため、驚いて発言が途中で途切れてしまいました。
「そのはずだ。ある程度は手分けするから、そっちでも割り振ってくれ」
「変わるから、リーゼロッテとリッカ、配達お願いね」
「いえっさ」
「……わかっ、た」
装備切り替え欄を操作し、サンタ服に切り替えました。これは全員分用意してあるわけですが、移動補助系スキルの多い私とリッカが担当になるのは自然な流れですね。ちなみに、サンタさんのソリの後ろに積まれているプレゼントはメニュー操作でこちらからでも取り出せるので、ソリを着けて乗り移る必要はありません。
速度上昇を取る時のクエストとは違い、どのプレゼントがどこの家へ持っていくのかがマップに表示されるので、近くの家に近付きながら道筋を考えることが出来ます。
「この遠いやつ、持ってこうか?」
これなら時間短縮になりますし、ソリの近くの家はサンタ服のスキルを使えば誰でも持っていけますから。
「頼む。リッカも、遠めのに持ってってくれ」
「……わかっ、た」
そんなわけで、サンタ服にプレゼントが1個入った袋を担いで準備完了です。
「とりゃ」
ソリの手すりを足場に目的地へ向けて飛び出します。進行ルートに例の大通りのような超えるのにかなり工夫のいる場所はないので、跳躍とショートジャンプと空中ジャンプがあればたどり着けますね。
慣れた足取りで屋根の上を移動し、目的の家が見えてきました。煙突から煙が出ていないので、入ったら丸焼きにされることは無さそうですね。
煙突へたどり着き、手を触れると【煙突移動】のアーツが使えるようになりました。登攀系のスキルがあれば実際に煙突の中を移動できる可能性がありますが、私は煙突移動で一気に移動します。
ポチっとな。
一瞬の暗転の後、気付けば煙突の中にいました。
「メリー……クリスマス」
部屋が暗いですね。うーむ、ここからはスニーキングミッションというやつのようです。子供の部屋に行って靴下にプレゼントを入れなければいけないとは。
まぁ、目的地までの案内図は目の前に浮かんでいるので、間違えることはありません。……というか、違う方へ行こうとすると警告が出ますし、その表示によれば警告を無視すると家主と遭遇して追い出されるようです。その場合、プレゼントが消え、トナカイを倒して入手しなおす必要があるそうです。
浮かんでいる矢印の指示に従っている間は物音がしないという効果もあるので、走っていくことも出来るのは凄いですね。
目的の子供部屋に到着しました。
「たの……、メリークリスマス」
もちろん、声を出しても周囲には聞こえません。さて、プレゼントを入れる靴下は……。あ、あれですね。かなり大きいので一発で分かりました。袋からプレゼントを取り出し、靴下へいれてミッション完了ですと言いたいですが、ここから出るまでがミッションなので、まだ途中です。出るのは入ってきた煙突からでないと失敗扱いでブラックトナカイを倒すところからやり直しなので、目の前にある窓を突き破って脱出するのは禁止です。
帰りは悠々と煙突まで戻り、煙突移動のアーツを使えばあっという間に外へ出ることが出来ました。ここからだと声は届きませんが、ソリの現在地と、残りの配達地点を確認して……、合流はあの辺りですね。
「ただいまー。これ、場合によっては複数持って行った方がいいかもね」
近い場所であれば2ヵ所くらいはいけそうな気がします。まぁ、密集している場合もあるので、マップを見てから判断することになるでしょうが。
「この配達、思った以上に時間かかるな。リーゼロッテ、もう一ヵ所頼む」
「へーい」
言われた場所用のプレゼントを持って再びソリから飛び立ちました。
……………………
………………
…………
……
「よっと、ただいま」
「お帰り。早速だけど、操縦変わってもらっていい?」
「りょーかい」
リッカが戻ろうとしているのでソリの位置を考えないといけません。私の代わりに操縦していた時雨も位置を考えて待っていましたね。ええ、私の跳躍距離を考えて空中にいましたが。まぁ、後で折檻しましょう。
「よし、次は……エスカンデだな」
一番近い渦がエスカンデ行きだったので、そちらへ向かうことになりました。私はほとんどソリから離れていたので気付きませんでしたが、どうやら街へ移動したブラックトナカイはソリに積んであるプレゼントを奪うために襲ってくるそうです。まぁ、ソリから離れた私のことも襲おうとしていたらしいのですが、積んでいるプレゼントの量が多いソリが優先されるため、すぐに狙いが変わった結果、気付かなかったようです。
自分達に必要なくとも自然と倒すことになるのは、リコリス達にプレゼントが落ちるかもと考えるといいことですね。
エスカンデはセンファストとそこまで変わらないのですが、問題は次のノーサードです。何せ、ここは鉱山に囲まれた街で、元々煙突がある家があります。この煙突は入るための煙突ではないので、煙が出ていたり、下で火が燃えていたりします。ええ、間違えて入ろうとしても煙突移動のアーツは使えないので、余計な時間を使うことになります。
『……く、貴様ら、そんなことをして何になる!』
ピコン!
――――World Message・レギオンバトル【ブラックサンタの討伐】が開始されます――――
闇に飲まれし【ブラックサンタ】の周囲に発生した吹雪が弱まりました。
このバトルはプレゼントを配り終えた全てのプレイヤーが参加可能となります。
ブラックサンタの討伐……参加人数【18/∞】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
おや、ブラックサンタの声が聞こえてきましたね。それと同時にブラックサンタとの戦闘が始まったようです。私達はまだ配り終えていないので、参加できませんが、すぐに倒されるわけでもないので、しっかりと配達しましょう。
ノーサードで煙突違いの罠に引っかかりながらも配達を終え、次はウェスフォーです。ここは街の大部分をピラミッドと神殿と湖に奪われているため、配達先が密集しておりあっという間に終わりました。
最後のサウフィフは通りを挟んだ家同士の間には道だけでなく水路もあるので、最初にソリから飛び出したら、合流するのが配達が終わる直前になってしまいました。まぁ、全部ソリで行くよりは早かったのでよしとしましょう。
「よし、戻るぞ」
ソリをサンタさんのソリの後ろに着け、装備を元に戻しました。流石にサンタ服のままボス戦に挑む気はありませんから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます