8-2

 土曜日の午後、ログインの時間です。

 炬燵に入って日課をこなしながらみんなと今日の話をしましょう。

 おや? 後付けなのに掘り炬燵ですよこれ。流石はフルダイブです。


「サンタに何のスキルを覚えさせるか」

「今は移動補助系の基本スキルだけだったな」


 そんな感じでハヅチやアイリス達が話し合っています。昨日の夜の時点ではスキルまでは強化していないはずですが、どうやら午前中に何人かログインして強化していたようです。

 跳躍系と速度上昇系なら私でも付き添いが出来るので、狩りと同じように私が担当する可能性もありますね。

 まぁ、話を聞いているかぎり、その二つさえあれば十分だと思っているようです。


「ねぇ、サンタさんを連れてクエストって受けられるのかな?」

「あー、速度上昇の取得クエストか」


 流石ハヅチ、私が言いたいことを察知したようです。


「あ、私はサンタさん連れてクリアする自信ないよ。屋根から屋根へ飛び移るの、誰か連れてじゃ無理だから」


 おや? 何やら静かになりましたよ。


「なぁ、リーゼロッテ、あのクエストどうやったんだ?」

「あのクエストはね」


 あの時のことを事細かに教えることにしました。

 ええ、大通りを超えるのにロックウォールを使って屋根まで上り、そこから両方の屋根からロックウォールを出して距離を短くし、空中ジャンプとショートジャンプを使って無理やり飛び移ったのはいい思い出です。


「……何やってんだよ」

「てっきり調べてから挑むと思ってたけど……」


 呆れた表情をしている時雨を襲おうと思ったのですが、ちょっと遠いですね。


「我が知りうる手段とは異なる」


 隣のグリモアからも驚きの目を向けられたので、風鎖眼を使ってから襲うことにしました。ふふ、横にいるのが運の尽きですね。


「ほーら、グリモア、そこそこあるのは知ってるんだぞー」

「キャ、な……汝、何を」


 フェニックスの時に偶然とはいえ知ってしまいましたから。ええ、このクラン内で上から二番目の可能性が高いことを。

 抱き着きながら押し倒したところで、ものすごい衝撃が頭を襲いました。


「ふぎゃ」

「はいはい、遊ばないの」


 時雨が装備している武器は、なんとハリセンです。あんなものでこれほどの衝撃がくるとは……。


「……いたい」

「そりゃ、ノックバック性能のために他全部犠牲にした武器だからね。そんなことより、ちゃんとしたやり方教えるから、サンタ連れてクエストやってきてね」


 そんなものまで用意しておきながらも、そんなことと言ってしまうとは……。

 ちなみに、複数人だと届け先が倍になるそうですが、制限時間も増えるので、取れないことはないそうです。

 まさか抜け道がちゃんと用意されているとは……。


「そんじゃ、実験してくる」


 サンタさんは休息中なので自室に籠っています。扉をノックすれば出てくるので、連行しましょう。


「どこへ行くんだな?」

「センファストへ行きます」


 パーティー申請をして、向かいましょう。





 結論から言うと、無事に取得出来ました。

 サンタさんの足が遅いという問題が発生しましたが、届ける時に二人一緒にいる必要はないので、近場の配達を任せ、遠くを回っていました。その結果、本来のやり方で大通りを横切る時は一人だったので、前の強引なやり方でも問題なさそうでしたね。まぁ、成功すれば何でもいいんですよ。

 まったく、隣のNPCに話しかければいいとは……。


「ありがとう、なんだな」


 そういえば、溜めがなくなった気がします。まぁ、サンタさんの性格は変化するように作られているので、その影響でしょう。


「いえ、スキルを覚えてくれると助かるので」

「それで、スキルレベルはどうなんだ?」

「さぁ」

「あーはいはい。リーゼロッテに聞いた俺が馬鹿だったよ」


 そんなわけでイベントメニューを確認した結果、LV30だったので、無事カンストです。あくまでも予想ですが、付き添ったプレイヤーの所持レベルに影響を受けるのでしょう。サンタさんはSPがないのでカンストしたからといってすぐに上位スキルを取ることは出来ませんが、前提スキルをカンストさせないと上位スキルが覚えられないのはプレイヤーと同じだそうです。

 ちなみに、ハヅチ以外はクリスマス素材を集めに行ったのでいません。


「それで、どうする? 私もフィールド行く? それとも運動場で跳躍覚えてもらう?」

「あー、それな。使用権の方もうちょっと強化したいから、フィールドの方頼む」

「りょーかい。サンタさん、行きますよ」

「わかったんだな」


 今日は昨日とは別の場所へ向かいましょう。一人なら森を選ぶのですが、跳躍系のないサンタさんには難しいと思うので、凍った湖がある方です。





 昨日と同じように自衛用にボム系を渡しました、休息の成果なのか、ボム系の持ち方も足取りもしっかりしている気がします。


「行くんだな。ヤタ君、信楽君、コッペリア君、よろしくお願いするんだな」


 ……変わりすぎじゃありませんかね。まぁ、下手に動かれなければいいので、気にしなくても大丈夫だと思いましょう。


「それじゃあ、後ろで下手に動かないでくださいね」

「わかったんだな。動くと邪魔になるんだな」


 それを守ってくれればいいのですが。

 雪原を抜け、凍った湖へとやってきました。湖はかなり広く、氷に乗っても沈まないようです。


「大丈夫なんだな?」

「あそこに全身鎧のプレイヤーがいるので大丈夫ですよ」

「そう……なんだな」


 それでは早速狩りを始めましょう。

 昨日同様、トナソルジャーは避け、スノダルマとバッドボックスを狙います。流石に昨日ほど露骨に放置はされていませんが、誰も手を出していないトナソルジャーの群れがいれば、スノダルマよりもそちらを優先しているようなので、わざわざ探して回る必要はないはずです。

 ……そもそもかなりの数がいますし。

 ……………………

 ………………

 …………

 ……

 それなりの数を倒してきたのですが、どうにも動きづらそうです。


「滑りますか?」

「だ……大丈夫、なんだな」


 こうやって聞くということは大丈夫に見えないのですが、まぁ、本人がそう言い張るのなら自分で何とかしてもらいましょう。


「あー、とりあえずあそこの倒したらいったん休憩します。満腹度が減っているので。……【フレアレーザー】」


 手早く片付けたので、串焼きを手渡して休憩に入ります。


「休むんだな」


 サンタさんはその場に座りましたが、氷の上に座ると腰を冷やしそうなのでやめておきましょうかね。まぁ、現実の体は暖かくしてあるので問題ありません。それに、寄りかかれる場所がないので、背後から襲われてもいいように立ったまま食べることにしましょう。

 この氷、融かせませんかね。もし融かせるのであれば……、いえ、きっととても冷たいのでやめましょう。寒中水泳なんてしたくありませんから。


「あ、リーゼロッテー」


 声がしたので向いてみれば、時雨が手を振っていました。


「ここにいたんだ」

「そうなの。昨日は雪原だったけど、流石に人が多かったからね」

「そっか」

「汝は、氷の呪縛を受けぬのか?」


 えー、久しぶりに難解なのが来た気がします。氷の呪縛ですか……。なるほど、


「どしたの?」


 わからないので聞き返しましょう。


「……ここ、滑る」

 私の曖昧な問いに答えたのはリッカでした。滑るといいながらもリッカの足取りはしっかりしているので、滑るようには見えませんね。


「滑るの?」

「……雪と、氷、歩き方、……ある」


 どうやら慣れているようですね。私はほとんど持ち込んでいませんが、リアルスキルというやつでしょう。


「私は普段と同じように歩いてるだけだから」


 少し歩いて見せますが、何か変わったことをしているつもりはまったくありません。それは見ればわかることでしょう。


「変なスキル持ってないよね」

「氷の上で効果を発揮するスキルなんてあったっけ?」


 所持スキル一覧を見ても、氷上歩行なんてスキルはありませんし、軽業などの行動補正系が影響しているのでしょうか。

 ……あ。


「そういえばさ、格闘で行動補正(水辺)ってのがあるんだけど、それかな」


 足元に水があるような場所で動きやすくなるアビリティですが、今も足元に水はありますからねぇ。


「それかもね。まったく、妙なの持ってるんだから」


 ある程度の情報交換をしたので休憩も終わりにして再び別れて行動します。

 この氷を溶かして下に行くことも出来ますが、とても冷たいでやめた方がいいという情報を聞けたのはよかったですよ。水泳系のスキルは持っていないので溺れてしまいますし、ある程度すると氷が復活するのでHPの全損は不可避になります。

 行ける以上、何かはあると思いますが、寒いのは嫌いなので行かないようにしましょう。

 しばらく狩りをしていると――。


「ぬわーーー、……なんだな」


 おっと、距離を取りましょう。またサンタさんが滑って転んだので手にしたボムを落としました。爆発が広がるので、吹き飛ばされる位置にいてはいけません。


「場所変えますか?」

「だ、大丈夫、僕のことは気にしなくていいんだな」

「そうですか。よそ見してるとまた転びますよ」


 視線の先へと目を向けると、時雨達がいますね。何かの参考にしたいのかもしれませんが、慣れない相手とパーティープレイをする気はないので、下がっていて欲しい物です。

 立ち上がるのを手伝ってからボムを作り直し、再び歩き始めました。まぁ、足場の問題もあるので比較的プレイヤーが少ないので、サンタさんが転ぶことで余計な時間を使っても、そこまで問題にはなりませんね。


「それでは、あっちに行きますよ」

「わかったんだな」


 この後に休息を取れば氷上での歩き方も変化するんですかね。改善するようでしたら、移動補助系のスキルを覚えさせて森での動きも覚えてもらいましょう。

 何度かこのやり取りを行い、時間になったのでサンタさんには休息を取ってもらい、集まったクリスマス素材を預けてログアウトしました。





 夜のログインの時間です。会議の結果、運動場でサンタさんの能力を上げることになりました。


「サンタさん、行きますよー」

「今行くんだな」


 おや、何やら動きが機敏になっているような気がしなくもないですね。気のせいかもしれませんが、不安定な氷上で行動したのがよかったということにしておきましょう。

 サンタさんの育成方針ですが、長所を伸ばすか短所をなくすかのどちらかが基本だと思います。けれど、それはある程度の能力があってこそです。そこで、まずは一番低い敏捷を鍛えます。ええ、逃げ足が早ければ狩りの時にMOBに抜かれたとしても生き残る可能性が上がりますから。

 サンタ養成学校の運動場へと行き、敏捷用のトレーニングルームへと足を踏み入れました。

 反復横跳びや縄梯子のようなものを足元に置いて運動しているサンタとプレイヤーがいます。それより奥もあるようですが、私達の使用権では入れないので、見えないようになっているそうです。

 付き添いと言ってもずっと見ている必要はないので、反復横跳びで遊んでいましょう。

 普通にやるだけではつまらないので、加速スキルをつかうことで難易度を無理やり上げて見ることにしました。


「ふぎゃ」


 初っ端から勢い余って止まれずに転んでしまいましたよ。普段は真っ直ぐに移動できる時にしかつかっていないので練度が足らないんですよね。とはいえ、足場にするならともかく、壁を走るような芸当は出来ませんし。

 まぁ、サンタさんは縄梯子みたいなやつを床に置いてトレーニングしているので、もう少し遊んでいましょう。


 ぐふぁ……ふぐぇ……わぎゃ…………ぎゃふん……


 かなりの回数転びましたが、だんだんと加速スキルを使いながらも反復横跳びが出来るようになってきましたよ。まぁ、まだまだ要練習ですが、真っ直ぐ動ければいいので問題はないでしょう。

 気が付けばサンタさんがばてて大の字になっています。私の満腹度もかなり減っていますね。


「休憩しますよ」

「う……動け、ないん、……だな」


 では、引きずりましょう。

 ここに来るサンタとプレイヤーが増えればそれに伴って機材も増えるので1つを占領していても問題はありませんが、飲食スペースは別に用意されています。


「飲めますか?」


 途中で動けるようになったので、最後まで引きずる必要はありませんでした。


「の、飲むん……だな」


 日頃からみんなが持ってくる素材で料理を作ってその分け前を少し貰っていたので結構な量があるんですよね。本気用のバフ付きはちゃんとしたプレイヤーから買うそうですが、日頃の回復用ならこれで十分だそうで。

 ステータスの変化を確認してみると、敏捷がそこそこ上がっていますね。そりゃ、耐久が高い体形を選んで、その耐久が尽きるほどやっていたわけですから、当然と言えば当然です。

 ちなみに、私の加速スキルも少し上がっています。プレイヤーもスキルを上げられるので、付き添いをしていても待ちぼうけにはならなそうですね。

 サンタさんが復活したので次は別のトレーニングにしましょう。えーと、敏捷が筋力を上回ったので、次は腕力ですね。

 えーと、椅子に座りながら腕を動かして後ろにある重りを持ち上げるやつですね。名前は知りませんが。

 何というか、全体的に地味ですねぇ。

 まぁ、ある程度上がったので、今度はスキルを覚えさせてみましょう。


「サンタさん、次、行きますよ」

「も……もう、……少し、待って、欲しいん……だな」


 回復しきっていなかったのか、間を置かずに体力を使い果たしたからなのか、大の字になったうえ、とろけている気がします。

 回復を待ってスキル取得コースへと移動しました。前もって設定はしたので、ちゃんと目的のアスレチックコースが出来ています。

 コースの内容はどこぞの忍者の名前を冠した番組の最初に出てくる斜めの足場4つを超えるものや、湾曲したソリ立つ壁を越えたりと、全体的に跳躍スキルがあると役に立ちそうな障害物が6つあります。


「ふむ。面白そうですね」

「難しそうなんだな」


 移動補助系のスキルを持っていないサンタさんからすると難しそうに感じるわけですか。


「へー、こうなるのか」


 スキル取得コースは個別生成されるので、同じクランメンバーだけが同じ部屋に入れます。まぁ、合同練習会とかいうのも出来るそうですが、やる相手もいないので、気にする必要はありません。


「ハヅチも付き添い?」

「リーゼロッテに全部押し付けるのも悪いと思って来たんだが、いらなかったか?」

「んー、これはちょっとやってみたい」


 コースは一つですが、プレイヤーがやってみることも出来るので、スキルをカンストさせていないプレイヤーがスキルレベル上げに使うことも出来ます。


「挑むんだな」


 ここでサンタさんがやる気を出しましたよ。そして、スタート位置につき、走り始めました。


「とりゃ、なんぶくぶくぶく」


 斜めの足場4つを跳び越えるはずが、最初の足場に移ってからそのまま水の中へ落下しました。安全のためなのか、水の上に作られているので、失敗したサンタさんが浮かんでいます。


「ステータスが足らないのかな?」

「そうみたいだな。ある程度ステータス強化をしてからスキルを覚えさせろということか」

「よーし、次は私の番だ」

「何する気だ?」

「スキルにものをいわせる」

「やめとけ。今のままじゃ出来ない見本を見せるな」


 ふむ、残念ですね。最初は虚空移動で空中ジャンプすれば行けますし、二つ目の湾曲したソリ立つ壁もいけますし、……虚空移動があれば間違いなく攻略出来る内容ですね。まぁ、基本スキルを覚えるための場所で上位からの複合スキルを使っては大人げないというやつですよ。私は未成年、つまり子供なので問題ありませんね。

 ハヅチが付き添いを変わるということで、私は自由時間になりました。最近であれば錬金術のスキルレベルを上げるなり、マギスト探索をするなりしますが、クランイベントなのでサンタ素材を集めましょう。





 イベントフィールドの東にある雪の積もる森へとやってきました。

 ヤタ達も召喚しているので、木には登っていません。

 ここは雪山とは違い、木の周りに穴がないのでバッドボックスによる不意打ちはなさそうですね。


「よーし、行くぞ」

『KAAA』

『TANUNU』

『KARAN,KORON』


 元気な返事が返ってきたので、早速奥地へと向かっていきました。

 しばらく進んでいたのですが、森ということもあり、木々が射線の邪魔をします。いえ、元からあるのですから、障害物というべきですね。


「ヤタはそのまま飛んでね。信楽、コッペリア、こっちきて。……【ロックウォール】」


 信楽とコッペリアを抱え、木からロックウォールを生やしました。ここまでやれば後はいつも通り、助走をつけてジャンプし、ロックウォールと空中ジャンプ1回を使って木の枝へと飛び移ります。両手がふさがっているのでバランスを崩しかけましたが、何とかなりましたね。両手でそれぞれを抱えたうえで杖を握っているので、手の自由はまったくありません。

 ですが、これでもなんとか不安定な場所に立っていられるのは、軽業スキルの恩恵と慣れの結果でしょう。

 そこからはいつものようにロックウォール利用し、枝から枝へと飛び移り、トナソルジャーの上へとたどり着きました。バッドボックスの攻撃が届いたのは驚きましたが、レーザー系の発動位置を調節すれば飛び出してくる人形に邪魔をされることはないので、問題なく倒せました。

 それでは実験です。描く魔法陣は二つ、近くに他のプレイヤーはいないので、取り合うことにはならないでしょう。


「【パワーボム】」


 二つのボムをそのまま落とし、トナソルジャーにぶつかると同時に爆発しました。爆発の範囲内にいればダメージに変化はないので、無事にポリゴンとなって散りました。

 これなら残りの中級魔法もレーザー系を覚えられそうですね。雷撃・暗黒・力場の3つがまだLV15になっていないので、この機会に上げてしまいましょう。ここに出るMOBは倒せるので、他のプレイヤーとのタゲ被りに気を付ける必要はありますが、山や湖に比べればプレイヤーは少ない気がするので、進行ルートに気を付ける必要は無さそうですね。


「とりゃ……あ、……ふげもごもが」


 早速枝から落ちてしまいました。やはり、両手がふさがっているというのは動きにくいものですねぇ。


「ぷはっ」


 たまたま埋もれるほど積もっている場所だったので、落下ダメージはほどほどで済みましたが、落ち方によっては大変なことになっていましたよ。

 それでは、場所を変えましょう。信楽とコッペリアを高所からの落下に付き合わせるわけにはいきませんから。


『TANNU』

『KRARAN』


 雪原へ戻ろうとした私のローブが引っ張られました。


「どしたの?」


 ジェスチャーで何かを伝えようとしていますが、全くわかりません。ですが、私が再び雪原へ戻ろうとすると引き留めてきます。


「ここで続けろと?」

『TANNUUU』

『KARAN』


 頷いていますね。


「一緒に?」


 上を指さすと今度は首を振っています。


「送還しろと?」

『TANU』

『KARAN,KORON』


 つまり、召喚はヤタだけにして、ここでやりやすいように続けろといいたいようです。


「信楽ー、コッペリアー」


 二体を抱きしめながら送還しました。そこまで言うのであれば、しっかりとやり遂げて見せましょう。


「ヤタ、行くよ」

『KAAA』


 両手が自由になるのであれば、杖を持っていてもバランスを崩すことはありません。

 それに、信楽とコッペリアの犠牲を無駄には出来ません!

 さて、次のMOBを探し、どわっ――。

 飛び移った枝に雪が積もっていたため、そのまま滑って地面へ逆戻りです。


「いてて」


 まぁ、痛覚設定は切ってあるので痺れに変換されていますが、気持ち的には痛いんですよ。

 落下ダメージもかなりのものでしたが、HPが全損したわけではないので、問題ありません。

 その後は枝に積もった雪や、この位置へ攻撃出来るバッドボックスにより一層注意をしていたので、落下することはありませんでした。

 必要数が2発ということで、途中から多重詠唱でも問題ないと判断し、スキルレベル上げも兼ねて試してみました。多少時間はかかりましたが、スキルレベルを上げるためなので、気にはなりません。

 力場魔法はLV15になったので、【パワーレーザー】を覚えました。後は雷撃と暗黒の二つです。

 それでは、クリスマス素材を預けてログアウトです。

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