7-4その2
ボス部屋へと入ると、壁際が暗くなっているので壁があるということしかわからない部分が多くなっています。天之眼の視点で確認したところ、私達が入ってきた扉の正面にある階段は四方から上ることが出来るようになっており、一番上のお立ち台のような広い場所には石らしきもので出来た王座があります。
頭上に60秒のカウントを表示しながら座っているのは、鳥の顔のホルスです。
一応、『東から西へ』という記述があったので、方位を確認するわけですが、地図の初期位置の上が北なので、部屋への入口は西側で、そこから見るとホルスは太陽が昇る方にいるわけですね。
「行くぞ」
多少の時間があるので周囲の観察をしていましたが、そろそろお立ち台の上へ向かいましょう。まぁ、行かなくても勝手に始まりますが、その場合はお互いに攻撃が通らないという制限が、こちらだけ通らないという制限に代わるそうなので、誰かしらは時間までに向かわなければいけません。
ああ、出入りでバフ・デバフは消えませんが、範囲外からのかけ直しも出来ないので、支援だけやって戦闘を任せることは出来ません。
そして、一番後ろにいた私がお立ち台に上ると、残りすくなかったカウントが消え、ホルスが立ち上がりました。
「【ハウル】」
もはや戦闘開始の合図と言って過言ではないモニカのスキルです。まぁ、階段をのぼりながら全員に付与をしてあるので、バフは問題ありません。
「えーと、属性なし」
光か闇の属性があると思っていたのですが、残念ながらないようです。ミイラ系の様にMOB自体の属性と無関係に倍率の高い属性もないようです。まぁ、ロックファルコンが飛んでいる間はそちらを優先しましょう。
「【ゲイルレーザー】」
魔法陣を5つ描き、1体につき1発を叩き込む……はずでした。6発同時はまだ慣れていないので5発に抑えたわけですが、流石に空を飛んでいるMOBが相手だと上手くいきませんね。3体までは命中したのですが、残念ながら2体には回避されてしまいました。ボス部屋にはいままでの部屋以上の広さがあるので、動き回りやすいのでしょう。ですが、残り2体くらいならディレイが終わればすぐですよ。
「【エアーランス】」
描いた魔法陣は4つです。このダンジョンで初めて遭遇したロックファルコンですが、地味に耐久が高いのか、エアーランスだと2確なんですよ。まぁ、発動位置を工夫したので、4つ全部に別の軌道を設定する必要もなくなりました。時間差で追いかける形にすれば、何とかなるものですよ。
ロックファルコンに回避行動をとられても追いかけた結果、見事に倒し切りました。
「こっち終わったよ」
「ホルスに加わってくれ」
ハヅチからの指示が来たので、ホルスの相手に加わります。
私がロックファルコンの相手をしている間はリコリスが回復担当をしていたので、HPは問題ありません。というか、全体的に通常攻撃が痛くなさそうですね。
「……あれ?」
「どうしました?」
巨体の上の方を狙って攻撃しているのですが、何か違和感がありますね。
「うーん、ロックファルコンの相手してる時間の方が長いから自信ないけど、あんなところに太陽の絵、あったっけ?」
太陽の下半分だけが明るいのですが、その部分が光を放っているので、明かり代わりになりそうですが……。
「えーと……、ある時とない時がありましたね」
ふむ、これは何か仕掛けがあるのでしょうか。
「時間制限とかじゃないよね」
「いえ、突然終わるような攻撃はありませんでした」
ふーむ、どういうことでしょうね。こうしている間にも太陽の光る部分が増えていますね。
みんなに伝えてホルスと太陽が同時に見える位置取りをしたのですが、普段太陽の光は少しづつ増え、たまに一気に増えます。それが魔法を使う時と被ることもあるのですが、増えたり増えなかったりなので、たまたまでしょうか。
そして、太陽が光で満たされました。
「何か来るぞ」
ハヅチが警告を飛ばしました。まぁ、ホルスの目が光っているのですから、あからさまな事前行動ですよね。
『HORURURURURU』
ホルスの目から足元のモニカめがけて白いレーザーが放たれました。しかも、それは――。
「ちょっ、……あっぶ」
太陽とホルスを正面にしていたので、顔を上げるような動きで私の方まで飛んできましたよ。何とか回避しましたが……おや、遠くの壁に火のついていない松明が並んでいますね。いえ、一つだけ、今の一撃で火が灯りました。
これは……。
「『東から西へ』、これ、今のレーザーの方向か?」
「かもね。後、『光が太陽を満たす』は、そのタイミングかも」
ハヅチと時雨に先を越されてしまいました。
……あ、あの太陽から光が消えています。
「次、来るよ」
今度はモニカです。
ホルスの目に黒い光が集まっているので、これが、『太陽が沈むと闇が襲う』、なのでしょう。
ちなみに、一番ヘイトを稼いでいるモニカとホルスの位置が同じだったので、先ほど火が灯った松明が闇に覆われ、火が消えてしまいました。
一応、あの文章に関してはボスの行動パターンというか、攻撃に関する説明だと判断出来るのですが、太陽が光る条件が妙ですね。
「そろそろだよ」
おっと、もうHPが30%を切る頃合いですか。とりあえず、あのレーザーの軌道がわかっていれば対処は楽なので、考えながらでもなんとかなりますね。
『HORURU』
ホルスのHPが黄色へと変化すると、取り巻きが再召喚されました。残りの変化は……気持ち太陽の光が満ちる速度が上がった気がします。見た限りでは、行動の高速化ですかね。
慣れた手つきでロックファルコンを倒したのですが、誰かがお立ち台の外にいると太陽の光が満ちる速度も上がるようですね。
急いで中に戻りましたが、結構溜まってしまいましたね。
「リーゼロッテさん、あの太陽、光属性や治癒魔法を使うと光が増えます」
おう……、リコリスに先を越されてしまいました。まぁ、回復を担当していたリコリスだから気付けたのでしょう。それにしても、光属性ですか。この光源も、光属性なんですよねぇ。
流石に真っ暗の中で、一部のスキルに付属している暗視効果だけで戦うのは無理がありますし、壁の松明が灯っても、同じ軌道で飛んでくる闇のレーザーで消えてしまいます。
「ハヅチ、ちょっと試していい?」
「ああ、好きにしろ」
許可も得たので試しましょう。
松明はあの辺りでしたね。では。
「【フレイムランス】」
松明に火を灯す方法なんていくつでもありますが、突き詰めれば一つ、火をつければいいんです。フレイムランスが命中した松明に火が灯り……、あ。
火力が強かったのか、ものすごい勢いで燃えています。そのおかげで火が大きくなり、同じ壁にある他の松明の位置もよく見えますが、これはすぐに燃え尽きそうですね。
まぁ、位置がわかれば狙うのは簡単です。6ヵ所に狙いをつけてと――。
「【ファイア】」
懐かしの【ファイア】です。ほぼ魔法陣のスキルレベルをイベントの報酬以外で上げるためだけに存在していそうな魔法ですが、ただ焚火が出来るだけの魔法なので、ランス系と比べれば火力はかなり低いはずです。
ふむ、動かない相手なら6発は問題ありませんね。動く相手はそのうち試しましょう。
「リーゼロッテさん、今の魔法は……」
「基本中の基本だよ」
さて、部屋が明るくなったので、あっちこっちがよく見えるようになりました。
これはこれは、結構な数の松明がありますね。全てにつける必要もないと思いたいので、他の壁にある松明にもつけるだけにしましょう。
クールタイムもディレイも短いとはいえ、6倍になると少しきになりますね。まぁ、魔法陣を描くのは一瞬なので、あっという間に火が灯ったわけですが。
「モニカ、光源消してみて」
もちろん、私も消しました。
松明のせいで少し気温が上がった気もしますが、十分な明るさが確保できています。さらに、太陽に光が満ちるのが一時的に止まりました。やはり、光属性や治癒魔法を使うことが条件のようです。ホルスが闇属性だったら困りますが、属性がないので問題にはなりません。治癒魔法だけなら、レーザー攻撃の回数は減るでしょう。
「なるほどな」
「お姉様に感謝していいよ」
「あー、はいはい、感謝してますよ」
ハヅチめ、雑に流しましたね。ですが、感謝を口にしたので許してあげましょう。
「次、来るよ」
しばらくして、HPが10%を切り、赤へと変化しました。ええ、発狂モードです。
どんな変化がくるのやら。
『HORUHORU』
「チッ、レーザーくるぞ」
警告を発したのはハヅチです。急激に壁画の太陽に光が溜まり、強く輝いています。つまり、目からレーザーですね。
……おや? 今までは光るだけでしたが、今回は光属性を伴っています。まさか。
「レーザー、太陽からかも」
今まではホルスの目にもレーザーの属性に対応した光がありましたが、今回は全身からオーラの様に少し噴き出すだけです。これは、今までの攻撃と違うと考えてもいいはずです。
ならば、前に出て、更に杖を前に突き出します。
「【オーラシールド】」
魔法ではなく、杖術のアーツなので、発動は一瞬です。そのため、後だしでも間に合いました。そして、太陽が一際強く輝くと、壁画の太陽から光属性のお立ち台を全て呑み込むほどの極太レーザーが発射されました。
魔法攻撃は避けるのが基本なので使うことはありませんでしたが、私が前に出たことでモニカ達を庇う形になりましたが、オーラシールドの範囲外は光に包まれているので、これはまずいですね。ええ、とてもまずいです。
まず、これは魔法専用です。
次に、杖とオーラシールドの間がそこまで広くありません。
最後に、壁画の太陽とホルスと私が一直線に並んでいるということです。まぁ、角度の問題なのか、ギミックだからなのかはわかりませんが、ホルスの影にいても太陽レーザーはくらいます。
つまり、光に埋もれているホルスからの杖攻撃が襲ってくるということです。光のせいで出だしが見えず、回避は無理ですね。
「【シールドカバー】」
私の真横にいるモニカが盾を構え、そこから出ている光がホルスの一撃を防ぎました。
……この光景、随分と前に見たような気がしなくもないですね。
おっと、オーラシールドにヒビがはいるので、MPを供給して修復しないといけません。というか、出来てよかったです。試したことがなかったので、ヒビが入るまで気付きませんでしたから。
MPの供給が出来るとわかればこっちのものです。MPの供給速度が修復速度に直結しているようなので、破壊されるようなことはありません。きっと。
ホルスからの攻撃はモニカに守ってもらい、太陽レーザーが終わるまでオーラシールドを維持しきりました。
「戻るよ」
私の出番は終わったので、リコリスを捕まえて離れましょう。ホルスの物理攻撃範囲になんていたくありませんから。
しれっと取り巻きが再召喚されているので、手早く処理し、ホルスへと向かいます。先ほどの太陽レーザーで光が空っぽになっていましたが、治癒魔法で光が溜まる量が増えた気がします。まぁ、ボスギミックとしてはあり得ることなので、不思議ではありません。というか、最後のあがきなのですから、当然でしょう。
発狂モードに入ってからもある程度の回復は必要なので、太陽に光が溜まってしまいます。溜まり切ってからの目からレーザーは、範囲が狭い劣化太陽レーザーに変わったので、闇属性のレーザーはなくなりました。目からレーザーよりは広いですが、十分に回避出来る範囲です。
そして、その時が来ました。
『……HO、HO、RU……SU』
――――Congratulation ――――
ホルスの巨体がポリゴンとなり散りました。
「やったか?」
「盾は……まだ大丈夫だよ」
「何やってんだ?」
残念ながら乗ってくれたのはモニカだけでした。ハヅチと時雨には後でお仕置きをします。
「リコリス、クエストはどうなってる?」
「えっと、クエスト用のアイテムが手に入ったので神殿の神官さんに報告となっています」
「へー。ちなみに、私の方はドロップないんだけど、それ以外は何か落ちた?」
どうやら全員何も落ちていないようです。ここは完全にクエスト専用ダンジョンのようですね。ちなみに、後で知りましたがドロップのないダンジョンはスキルに入る経験値が少しいいといわれているらしいです。
この後はリコリスを先頭にNPCへ報告に向かいました。ボスからのドロップはありませんが、クエスト専用アイテムは入手したとかで、それを届けるそうです。
何ヵ月かぶりにウェスフォーの神殿へとやってきました。前に来たときはアクセサリ解放クエストでしたが、あの時はNPCの話をしっかりと聞いたせいでアイテムを集めるのに余計な時間を使ってしまいました。ええ、あの時の恨みは忘れていませんよ。
クエストの詳しい内容はまだ尋問していないので知りませんが、このままだと最後だけを知ることになりそうです。
「すみません、ホルスの王座の欠片を持ってきました」
あー、ボスが座っていた椅子の欠片ですか。
「ありがとうございます」
神官らしきNPCが受け取った欠片を背後に溜めてある水につけて何かをしています。
「リコリス、あの水、何?」
「私も初めて見るのでわかりません」
ふむ、リコリスがクエストで集めたものではないわけですか。では、何でしょう。
「これは、かつてここから北東にある泉から引いていた水です。いえ、もうかつてではありませんね。あの泉が涸れはててから長い年月が経ったそうですが、最近、その水路から水が流れてくることが何度もあったのです」
ここから北東ですか。方角的には不滅の泉でしょうか。
「泉の水が再び手に入るようになったことで、今まで行えなかった儀式が行えるようになりました。けれど、長い年月が経ったせいで、大神殿の中にいるかつての王の残滓と闘える者がいなくなっていました」
聞き流しながら聞いた結果、このクエストは不滅の泉を何度も復活させることで発生するようになっていたようです。
「これは、お礼の品です。どうか、受け取ってください」
「ありがとうございます」
リコリスが何かを受け取り、クエストが終了したそうです。
ちなみに、クエストが終了した段階で、最後だけ参加した私達にはクエスト進行の権利が付与されました。リコリスに聞いていたところ、この神殿を訪れる段階らしいので、店に来るNPCとの接点はいらないようです。
この後はクエスト報酬についてですが、全員で行動する必要もないということで、私とハヅチがリコリスに同行してキューピッドグッズへと戻ることになりました。
「あ~ら、早かったのね」
店に入るなりセルゲイさんが出迎えてくれました。
「はい、無事にクリア出来ました。それで、お礼の話にカフェを使いますね」
「ど・う・ぞ」
セルゲイさんからの許可が出たのでカフェコーナーへと向かいました。好きなものを頼んでいいということなので、お任せというメニューにしましょう。
「それでは、まずはクエストの報酬なんですけど、これがその報酬です」
リコリスが取り出したのは炎を結晶化したような宝石らしきものです。それが6個なので、人数分ですね。
――――――――――――――――
【生命の炎】
炎に宿った命の結晶
――――――――――――――――
詳しい説明が一切ありません。そのため、何に使うのか推測すら出来ませんよ。
「えっと、クエストの最後に口頭で説明があったのですが、それを特定の場所で使うとフェニックスを復活させることが出来るそうです」
「ほう。復活したら召喚獣として契約出来るのかな?」
「それなんですけど、クエストの途中で手に入れた情報をまとめたのですが、その……」
「ネタバレは気にしなくてもいいよ」
これについては聞いたところで不利益があるわけでも、楽しめなくなるわけでもありませんから。
クエストを手伝ったことに対する報酬はハヅチとリコリスの話し合いなので、私はリコリスから貰った情報の確認をしましょう。
えーと、なになに。
あの不滅の泉はかつて地に落ちたフェニックスから漏れ出た魔力が元々あった泉に溜まり、それが長い年月をかけて不滅の泉になったそうです。けれど、地に落ちたフェニックスの魔力にも限度があり、不滅の泉が滅んだそうです。
そして、この生命の炎はそのフェニックスを復活させるアイテムらしいのですが、一つ問題があります。
ええ、そうです。フェニックスが地に落ちた理由です。何でも、寄生型の魔物が取り付いて長い年月をかけて弱らせたそうです。この生命の炎は一時的にフェニックスを飛べるようにするわけですが、その魔物を取り除けるわけではないので、その魔物と闘うことになるのでしょう。そして、倒せれば、召喚獣のフェニックスと契約できる! はずです。そうなるといいですね。ええ、そうなって欲しいものですよ。
おっと、何やらリコリス達が調べた内容もありますね。
えーと、フェニックスは常時燃えているので、何の対策もしないと燃えちゃいます、ですか。なるほど、何かしらのデバフ対策が必要なわけですか。燃えるということは、継続ダメージ系ですね。
実際に行ってみればどんなデバフかわかりますが、他の耐性スキルと同じようにそのデバフを受けて耐性スキルを取れるかは微妙ですね。
「ちょっと、不滅の泉行ってくる」
「あー、いてら」
「急にどうしたんですか?」
「いやー、やっぱり使い方はちゃんと確認しておくべきだよね」
そんなわけで、外へ出てテレポートで不滅の泉へ移動です。
一瞬の暗転の後、目の前には砂漠と涸れ果てた泉が広がりました。
さて、どこで使うんですかね。確か、私は別の方法しかやっていませんが、例の石板に魔石を使うと泉が復活するらしいので、あれが関係しているのでしょう。
いつもにらめっこをしている石板の前で生命の炎を取り出しました。すると、何やらウィンドウが出現しました。
ピコン!
―――System Message【フェニックス】を復活させることが出来ます―――
フェニックスの背に乗り、レイドボス【パラサイトグレイド】と闘うことが出来ます。
【フェニックス】を復活させますか?
【参加可能人数……1/36】
【はい】 【いいえ】
――――――――――――――――――――――――――――――
おぅ……レイドですか、しかも、フルレイドですよ。パラサイトグレイドって何ですか。まぁ、フェニックスに寄生している何かだとは思いますが、ヒントが欠片もありませんよ。流石に負けるとわかっていながら突っ込む気はないので、システムメッセージをスクリーンショットに撮って戻りましょう。
「ただいまー」
「あ~ら、早かったわねぇ」
「いやー、挑む気はありませんでしたから」
出迎えてくれたセルゲイさんに挨拶をしてカフェコーナーへ入ります。
「で、どうだった?」
「わざわざありがとうございます」
スクリーンショットを見せた方が早いですね。
「フルレイドだった。ボスは謎の寄生虫だと思うよ。蚤か何かが元じゃないの?」
「そうか」
「レイドですか……」
「あ、リコリスはサウフィフ解放してあるよね」
「え、ええ。このクランだとまだ少ないですけど」
「じゃあ、挑むときはリコリスがリーダーね」
「そうだな。後のメンバーはリーゼロッテ、ザインさんと園長さんに話をして募ってくれ」
「りょーかい」
「ちょ、ちょっと、待ってください。何を言ってるんですか」
「え? リコリスがやってたクエストの続きだから、ちゃんとやるのが筋ってものだよね」
「え? レイドの情報もまとめて売るんじゃないのか?」
……私とハヅチも微妙に考えていることが違ったようです。私は情報を売ってからザインさんに持ち掛けるつもりでしたよ。
とりあえず、二人で顔を見合わせていますが、リコリスが参加するということだけは共通しているのでよしとしましょう。
「無理ですよ。さっきのホルスだって私何もしてませんよ。なのに、レイドにリーダーとして参加しても、足を引っ張るだけですから、私は抜きにしてください」
うーむ、リコリスの前髪が目を隠しているので表情がわかりませんね。
「リーゼロッテちゃん、リコリスちゃんに意地悪しちゃ、だ・め」
おっと、いつの間にかセルゲイさんが背後にいました。威圧感が凄いのでやめて欲しいですね。
「そうだよハヅチ、嫌がってるリコリスを無理やりだなんて」
「そうか。リーゼロッテがそれでいいって言うんならやめとくか」
おのれハヅチめ、私が決定権を持っているような言い方をするとは。
「まぁ、リコリスが不参加って言うならしょうがないよね」
他に決めることもないので、この話はここまでですね。レイドに関しての権利は一切放棄すると言われてしまいましたし。
前提となるクエストをそれぞれのパーティーでクエストをクリアしなおすか、誰かを入れてクエストを開始出来るプレイヤーを増やすかは、気が向いたら考えればいいだけです。
「そんじゃ、おつ」
簡単に挨拶を済ませ、クランハウスに戻ってから日課をこなしてログアウトです。
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