6-9
日曜日の午後、ログインの時間です。
いつもの様に日課をこなす為、最初にユニコーンの召喚をしました。今やっておけば夜にもう一回召喚できますから。
「んー、触っても反応ないのが寂しい」
ユニコーンは従魔ではなく召喚獣なので、エフェクト扱いになってるようで、決まった映像が流れるようなものですね。
ただ、今回はいつもと違うことが起きました。
ピコン!
――――System Message・アーツを習得しました―――――――――
召喚獣【ユニコーン】の召喚回数が一定回数に至りました。
新たな力が開放されました。
※召喚効果は詳細を確認してください。
―――――――――――――――――――――――――――――
さて、何回でしょうか。習得が夏の終りで、今日が10月22日です。2回召喚した日とログインしていない日があり、きっと切りの良い数字のはずなので、50回としておきましょう。666回とか召喚獣によってはありそうですが、1日に3回召喚しても222日かかるとか狂気の沙汰ですね。
それでは詳細を確認しましょう。
えーと。
「浄化の光、効果は……状態異常回復と一定時間の状態異常無効1回」
ふむ、かかっている状態異常を回復して、効果中に一度だけ状態異常を無効化するということですね。早速使ってみたいのですが、残念ながらリアル8時間後ですね。
「ん? どうしたんだ?」
「なになにハヅチ、お姉様の新しい力が気になるのかな?」
「……いや、効果は聞こえたからいい」
……ぐは。思わず口に出したのが裏目に出ましたね。
「じゃあ条件教えてあげない」
「直前の行動からしてユニコーンの召喚回数だろ。えっと……ざっくり50回か」
もう、記憶が飛ぶまで折檻するしかないようですね。姉という存在の理不尽さを思い出させるしかありませんよ、まったく。
「ハヅチ、私は優しいから選ばせてあげる。肉体的と精神的、どっちがいい?」
「はいはい、変なことしてないの」
チッ、いいところで時雨に止められてしまいましたよ。
「清らなかなる乙女の守護獣が新たに目覚めた力は汝の清廉さを守るためのものか」
「まー、そんな感じかな。状態異常回復が1個なのか全部なのかとか、1回で複数の状態異常をかけてくる場合にどうなるかとかで有用性はかわるけど、説明を見る限り、回復+リジェネとの選択になるから、使い分けが大事だね」
まぁ、ユニコーンの召喚を実戦でしたことはありませんが。流石に来週の防衛戦の時はいつでも使えるように空打ちはしませんが、普段は空打ちをしているので使えませんし。
ちなみに、ユニコーンの新しいアーツを覚えた瞬間、LV2だった召喚のスキルレベルが5になりました。この後は合計100回で新しく何かを覚え、スキルレベルが10になるのでしょう。ええ、流石にこの次が1000回というのはやめて欲しいですね。
召喚獣の話になりましたが、噂程度のものしかなく、誰もユニコーン以外の召喚獣を見たことがないそうです。まぁ、誰かが使えば話題になるはずなので、話が耳に入るのを待ちましょう。
話しながら一件メッセージを送り、日課が終わるまでに返事が来たので私は今センファストのあるお店を目指して歩いています。
それにしてもこのお店、相変わらず禍々しいお店です。ええ、一つ一つはいいのに、全体の配置のせいで損をしている、そんなお店ですよ。
「セルゲイさーん、リコリスいますか?」
「あ~ら、リーゼロッテちゃん、いらっしゃい。今呼ぶから、待っててね」
野太い声で出迎えてくれたセルゲイさんですが、相変わらず筋骨隆々で時雨並の胸囲を誇り、爆発の中心にいたのではと思わせるアフロヘアに、周囲に青髭を持つ分厚い唇、そして、優しげでつぶらな瞳をしています。
「ありがとうございます」
商品を見ながらリコリスが来るのを待っていますが、やっぱりいい物が多いですね。
「リーゼロッテちゃん、新しい子を連れているのね」
「コッペリアのことですか?」
『KARAN』
コッペリアを持ち上げると、いつもの音を立てながら挨拶をしています。うん、コッペリアも賢いですねぇ。
「う~ん、人形みたいっていうか、人形そのものね」
「そうなんですよ」
簡単にコッペリアとの出会いを話していると、奥から声が聞こえました。
「お待たせしました」
「こんー」
定型文で返し、さっそくリコリス達の畑へ移動することになりました。
「リーゼロッテさん、新しい子がいるんですね」
「まぁね。それではセルゲイさん、失礼します」
道中に畑専用のマップであることを聞かされました。そのお陰で土地が足りなくなることはないそうです。まぁ、自分達と許可を得たプレイヤーにしか育てている物の詳細がわからないそうで、木を育て始めてからは情報を欲しがる農業系プレイヤーから質問攻めにあっているそうです。
「それで、リーゼロッテさんの許可が欲しいんです」
「ん? なんで私の許可?」
「だって、リーゼロッテさんから苗木を委託されたから、木が育てられるってわかったんですよ。なら、リーゼロッテさんの許可は絶対です」
「んー、それならそうとメッセージに書いてくれれば許可出したのに。まぁ、リコリス達の好きにしていいよ」
その情報に対して何かの権利を主張するつもりはないので、リコリス達に任せます。律儀というか、何というか、まぁ、それでリコリス達が動きやすいのであれば、好きな手段を選べばいいだけです。
ちなみに、私が委託した苗木については、私への納品が最優先ということで全て断っているそうです。こちらで十分な量を確保したら、リコリス達の好きにしてもらいましょうかね。枝から紐をぶら下げてブランコとか作ったら【なごみ亭】のみんなにはいいかもしれませんし。
「ところでさ、あれが、老樹の苗木だったやつ?」
焦げ茶色で人の顔のような模様がある幹に、黒みがかった緑色の葉が茂った木がありました。動くことはないとわかってはいても、不安になってしまう外見ですよ、これ。
「そうなんですよ。みんな始めは怖がっていたんですけど、すぐに慣れて……ほら」
リコリスに連れられ木の裏側を見ると、クランメンバーらしきプレイヤーが木に寄りかかって寝ています。まぁ、動かないわけですし、寄りかかってしまえば見えませんもんね。
「なるほど。それで、どのくらいで収穫出来るの?」
「収穫……。一応リアル換算で一ヶ月はかかりそうです。木材を取れても少なければ何かに使うにはもっと時間がかかると思いますよ」
まぁ、木は時間がかかるものですからね。果物の木なんて物によっては数年たたないと実をつけませんし。
「それじゃ、何か変化あったら教えてね」
「はい。リーゼロッテさんもたまには見に来てくださいね」
そんなわけでリコリス達の畑を後にしました。
次なる目的地はもちろんマギストです。そこから北にある時計塔へと向かい、4階へと移動しました。流石に初見の場所にヤタ達を連れて行くわけにもいかないので、送還しています。
例にもれず小部屋からのスタートですね。今までと違う点は、なんと、明るいんです。ええ、ランプとか松明とか窓がないのにです。小部屋から出てすぐに分かれ道があるので、3階と雰囲気は似ていますが、構造は違うようです。まぁ、流石に3階の間取りを全て覚えているわけではありませんが。
しばらくすると、小部屋がありましたが、MOBが見当たりませんね。ただ、最初の小部屋や3階では本棚が壊れていたのに対し、ここでは本棚が中央に鎮座しており、いかにも何かありますね。本棚自体は識別しても何も出ないので、ただのオブジェクトのようですが、さて、どうしましょうか。
ガサ
近くで音がした気がしますが、ヤタ達は送還しているのでいません。注意深く辺りを見回しますが……、ふむ、いませんね。
その瞬間、魔詠みが反応しました。
薄くてよく見えませんが、軌道からボルト系かランス系でしょう。レーザー系だったら4階に来るのはまだ早いということになります。
射線上から退避し、その発生源を確認すると、本棚にある一冊の本から黒い線が出ていました。
その本に対して識別を使うと、【フェイクブック】と表示され、属性は闇、属性値は極小と表示されています。白い魔法陣を2つ描きながらこちらへと軌道を修正しようとする動きを回避しながら本棚の裏側へと移動します。流石に向きの問題もあるのか、こちらに攻撃することは出来ずに、ダークボルトが明後日の方向へ飛んでいきました。
どうやら、操作は出来ないようですね。
「【フラッシュボム】」
白い玉を2個用意し、揺れ始めた本棚へと投げつけました。本棚が光に飲み込まれるまでの間に1冊の黒い本が抜け出そうとしているのが見えたので、MOBは1体だけのようです。
白い爆発が消えると、そこには本棚もなくなっていました。
ドロップは、魔石(小)と黒色の破れたページです。闇属性を持った物のようで、魔法書系で使うのか、闇属性の中級魔法を刻印出来るのか、はたまた他の使い道があるのか、クエストを進めるかオババに聞けばわかりそうですね。
フェイクブックが1体しかいなかった小部屋を後にしました。本棚も壊れていますが、しばらくしたら直りそうな気がしますね。
次の小部屋を探して通路を進んでいると、今度は赤い線が薄っすらと見えました。どうやら本棚以外にもいるようですね。
火属性を使ってくるので、ストリームボムの魔法陣を2個描きながら、一気に距離を詰めます。闇属性のフェイクブックがダークボルトを放つのにかかった時間を参考に回避を試みました。
正確な時間はわかりませんが、ステータスは似ているのか、同じぐらいの時間でファイアボルトが放たれたので、しゃがみながら回避しました。ほんの少し追尾するため、ギリギリのところを通りましたが、ダメージは受けていません。
次はこちらの番ですね。魔法陣が描き終わり、青い玉を2個用意しました。
「おりゃ」
移動速度が動く魔本と同じくらいのようで、ボム系の爆発から逃げることは出来ず、しっかりと爆破されました。
今度は赤色の破れたページですか。持っている属性に対応した色のページがドロップするようですね。
しばらく進んでみたところ、フェイクブックは射程に入ると魔法を詠唱し始めるようです。ほとんどがボルト系ですが、何体かはボール系を使ってきました。一度だけ、ヒール系を使ってきた個体もいたので、同じ属性の基本スキルの魔法のどれかをある程度偏った確率で使ってくるのでしょう。
ボルト系やボール系の基本的な軌道は直線なので問題ありませんし、ヒール系は言わずもがなです。ウォール系は迂回すればいいですし、発動前に通り過ぎてしまえば問題ありません。ええ、一番厄介なのはウェイブ系です。あれは範囲攻撃ですから。
基本スキルでは一番高いレベルで覚えるのが理由なのかはわかりませんが、まだ使われていないのがせめてもの救いです。まぁ、使って来たらアンチショットで妨害するだけですが。
小部屋に本棚があるのを確認し、魔力視で見てみましたが、無色に光るだけで、属性がわかりません。隠蔽系のスキルを持っているのか、本棚の力なのか、動いていない時には属性が確認出来ないようです。これは厄介な特性ですよ。
「……本棚、2個」
厄介な特性が発覚したらこれですよ。両方が単体魔法ならいいのですが、ウェイブ系を使われたら逃げ場がなくなりますね。まぁ、範囲魔法を使ってきたら実験のいい機会だと思えばいいでしょう。
無色に光る魔法陣を3個描き、マジックボムを3個発動しました。ええ、範囲魔法を使ってきたら実験のいい機会なので、使ってこなければ普通に倒します。それに、属性がわからないのであれば、無属性で爆破すればいいんですよ。本棚の配置的に巻き込むことが出来ないので、片方だけは確実に倒します。
そうすれば、相手の魔法を見て属性を判断出来ますから。
杖と無色に光る玉を3個抱え、ディレイが終わるのを待ってから1個づつ右側の本棚に投げつけました。爆破している最中に茶色の線が出てきた気もしますが、倒したのですから問題ありません。
けれど、その状態で安心することは出来ませんでした。
なんと、背後から薄っすらと赤い光が広がったのです。MOBが火属性だということは大事ですが重要ではありません。最も大事なことは、それが範囲魔法だということです。それでは、せっかくのいい機会なので、振り向きながら魔法陣を一つ描き、本棚へと狙いを付けます。
「【アンチショット】」
魔法的なものを全て剥ぎ取る魔法を放ち、存在を隠せなくなったフェイクブックへと命中しました。すると、広がっていた赤い光が消え、本棚からフェイクブックが開放されました。
どうやら、あの本棚も魔法的な何かだったようです。
それでは、ストリームボムをををええええ?
「ちょ、それ反則」
何ですかあれは。急に2本の赤い光と広がった赤い光が出現しました。
フェイクブックの変化はそれだけで終わらず。
「あっち」
詠唱時間すら圧倒的に短くなっていました。同じ魔法を詠唱した場合、私の方が遅いだけに留まらず、別の魔法とはいえ、魔法陣の発動速度すら追い抜いています。
まぁ、流石に2回目はありませんが。
「【ストリームボム】」
ええ、どんなに驚こうとも魔法陣を描くことを間違えはしません。後は、弱点属性のボムを2個叩き込めば終わりです。
無事にリザルトウィンドウが出たので、それを確認しながら少し減ったHPを回復します。弱点属性であれば2確ですが、等倍では3確になるのでしょう。【閃き】を使うか、熟知のバフ量が増えれば2確になるといいのですが。
休憩中にアンチショットを使った時のことを考えてみましょう。
通常、本棚は戦闘が終わっても残っていました。けれど、アンチショットを使った場合は命中した瞬間に消えています。まぁ、理由はともかく、あの本棚は入っているフェイクブックの情報を隠す能力があるということにしましょう。それも、魔法的な何かで、です。
それはさておき、アンチショットが命中した後の発狂モードのことを考えましょう。最低でも3個は同時に魔法を詠唱出来るようです。その上、詠唱速度もとんでもなく早くなっています。威力が上がったのかはわかりませんが、下手に長引けばHPが全損する可能性すらあります。
というわけで、アンチショットは封印しましょう。場合によってはまずいことになりますから。
奥へ進めば進むほど小部屋に複数の本棚がある確率が高くなるようで、討伐カウンターがよく回るようになりました。始めは注意しながらボム系を投げつけていたのですが、ある程度したら無でも鉄でも雷でも2確で倒せるようになりました。
4階にはフェイクブックしか出てこないので熟知のバフも上がる一方というのが効いているのでしょう。流石に上限があるとは思いますが、ボム系等倍以上で2確なら問題ありません。
気付けば討伐カウンターが200になり、クエストが次へと進みました。
まぁ、そろそろ時間なので報告前にログアウトです。
夜のログインの時間です。ユニコーンの新技を試したいのですが、まだクールタイムが終わっていません。まぁ、ログアウトする前には使えるので、忘れないようにしましょう。
テロン!
――――フレンドメッセージが一通届きました。――――
おや、誰でしょう。えーと、ザインさんですね。スロットエンチャント用の素材をいろいろと集めたので試して欲しいそうです。返信してから日課をこなしていると返事が来たのでこれからザインさんのクランハウスへ向かうことになりました。
もちろん、ヤタ達を召喚しています。スロットエンチャントの話をした時はメッセージだけだったので、コッペリアを見せていないという理由もあります。
いつもの様に一時的な入室権限と道案内が出てきました。えーと、扉を出てと……。
「お邪魔します」
「よく来てくれた」
「いらっしゃい」
出迎えてくれたのはザインさんとユリアさんです。
いつ来ても豪勢なクランハウスですね。やはり、それなりの派閥を作っていると入ってくるお金も出ていくお金も凄いのでしょう。
ヤタと信楽には慣れた反応を見せていますが、コッペリアを見た瞬間にザインさんの目が大きく開かれたのを見逃すことはしませんでしたが、話題にはしていません。ふっふっふ、聞きたければ対価か借りを作ることですね。
いつもの様に応接間に通され、ケーキをごちそうになったので、少しは手を柔らかくして上げましょうかね。
「それで、何にスロットエンチャントをすればいいんですか?」
「全身と言いたいところだが、何回可能なんだ?」
「50回だと思います。そちらの装備が凄くて1回に2個とか使われたらわかりませんけど」
「そうか」
1つの装備に1回までで、必要個数が1個なら全身に出来るはずです。一人に7個で、盾があったり武器が2個の場合は8個になりますが、それでも問題ありません。
優先順位を決めるために悩んでいるようなので、先に済ませられることを済ませましょう。
「とりあえず、私が持ってるオーブのリストを渡すので、強化付与を持っている人が使ってください
」
ちなみに、ザインさんが持っているとは思えないのでユリアさんに渡しました。それはユリアさんも予想していたようで、すんなりと受け取ってくれました。
「これ、後で複製してパーティーメンバーに渡してもいいかしら?」
「ご自由にどうぞ」
「ありがとう。これ、おかわりいる?」
「ありがとうございます」
見事にケーキの追加をゲットしました。
私がケーキを食べている間にリストに目を通し、リストに乗っていない素材の確認をしているようです。私だけで集めた素材なら相当に偏りますが、ハヅチ達の素材もありますし、シェリスさん達の素材もあるので、そんなに多くないと思いたいですね。オーブ化するのも面倒ですし。
いくつかユリアさんが素材をテーブルに並べ始めたので許可をもらってオーブ化していきました。どうやら南と北の街の周囲の素材らしく、私が見たことない素材でも不思議ではありませんね。
まぁ、効果の方は高いわけですが、妙な効果のある素材はありませんね。毒の様に状態異常にする効果があるのですから、条件を満たすと高倍率のバフがかかるとか、斬撃が飛ぶとか、あってもいいと思うのですが。
一通りのアイテムをオーブ化した結果、何の面白みもない選択をザインさんはしました。
「武器は攻撃力増加系を、防具は防御力増加系を頼む」
ええ、何かに特化させるわけでもなく、ただ単純な強化です。まぁ、ザインさんの剣が+9だったことには驚きましたが、それだけです。私なんて+10の武器を持っていますし。
素材がいいのでいくつかの装備は2回出来るようでしたが、ザインさんが1回づつでいいと言ったので、1回づつしかしていません。別に時間さえ貰えれば回路を集めることは出来るので必要ならイベントの時に言ってくるでしょう。
そして、お待ちかねの価格交渉です。
「この破損した回路がどこのドロップか聞いてもいいか?」
「この子のドロップです」
私は隣に座っていたコッペリアを持ち上げ、膝の上に座らせます。流石に従魔からは素材が取れないと思うので、素材取り放題にはならないはずです。
「あー、えっと……」
ふっふっふ、素材のドロップ場所と、従魔になるMOBの出現場所という2つの情報が混ざった結果、ザインさんが困っていますよ。
「マギストにある魔力屋本部って施設にあるダンジョンです。コッペリアは4階にいましたけど、それ以下の階だと下位MOBと下位互換のドロップのはずです。まぁ、入ってないので施設で調べたことが正しければ、ですけど」
コッペリア自体はそこまで強力なMOBではないので、当然マギドールもそこまで強くはありません。そのため場所と入れるプレイヤーの数の問題で少し値上がりするくらいですね。
今回のことでは貸しにもなるので、スロットエンチャントの方は1回100,000Gとなりました。お互いに値付けの専門家ではないので、面倒だったというのが正しいですが。
スロットエンチャント43回で4,300,000Gの稼ぎです。破損した回路がほぼなくなったのが痛いので、教授にクエストの報告をしたら集めに行きましょう。
ザインさんのクランハウスを後にし、マギストの北にある魔法学院へとやってきました。目指すはシス教授のいる部屋です。
「教授教授ー」
「ふむ、ここでは静かにしたまえ」
「……すみません」
怒られてしまいました。残念ながらオババの様にはいかないようです。
「それで、何用かね?」
「はい、時計塔にいるフェイクブックの数を減らしてきました」
「ふむ、そうかね。君には簡単だったようだね。では、最後だ。この街にはいくつもの修練場があるのは知っているな。どこでもいい、そこの4階以上で戦ってきてくれたまえ。それを以って基本クラスを修了した者と同じだけの力を持っていると認めよう」
「いえっさ」
クエストも進みましたし、もともとの予定からしてもちょうどいいですね。
シス教授への報告を終えてやって来ました【魔力の渦4階】です。ここの入口がある魔力屋本部には数人のプレイヤーがいたので、スロットエンチャントが広がるのも時間の問題でしょう。
ここはもう安全に狩れるのでヤタ達を召喚して進むことにしました。
ここは相変わらず普通の洞窟のようで、魔力の渦巻の模様が散りばめられています。触ったところでなにかあるわけでもないので、気にしていませんが何かあって欲しいものです。
ちなみに、属性持ちのマギドールを倒し続けてもコッペリアのなつき度が下がるということはなかったので、気にせず戦えます。
今日はいろいろとやることがあったので、討伐カウンターを50まで進めたところで終わりにします。普段なら街に戻ってログアウトですが、まずはクランハウスへ行きましょう。
クランハウスへやって来ました。流石に他のみんなはいないようで、見せることは出来ませんね。まぁ、仕方ないのでやってしまいましょう。
「【ユニコーン:浄化の光】」
ユニコーンの新技を使ってみました。
私から少し豪華な白い光がいくつも飛び出しました。それが集まり、少し豪華な光の輪を漂わせたユニコーンを形作りました。
『HIHIIIN』
光の状態のユニコーンが後ろ足だけで立ち上がり、前足をバタつかせています。おっと、ユニコーンが漂わせていた光の輪が回転し始めました。残像のせいでユニコーンが玉の中にいるように見えます。それが一気に広がり、効果が発動したようです。まぁ、状態異常にはなっていないのでエフェクト判断ですが。
その後、四本の足を床につけ私の方へ歩いてくると、その角を私の胸元へと軽く当てました。すると、 一定時間異常無効が1回分付きました。治癒の波動と同じ様に効果の発動にはズレがあるようで、この間に状態異常を受けることはありそうですが、狙わないと無理ですね。
さて、ユニコーンを満喫したのでログアウトしましょうかね。明日からは学校なので日課くらいしか出来ませんが、誰かがいたらユニコーンの新技を見せるつもりですから。
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