1-14
大型連休が終わり、久しぶりの登校です。ちなみに、葵や伊織とは登校時間が噛み合わないので、いつも一人です。葵はギリギリまで寝ていますし、伊織はそんな葵を待っているからなので、寂しいわけではありません。
その日のお昼、私はいつも伊織と食堂で食べているので二人で食堂に向かいました。
「葵から簡単に聞いたけど、何やらかしたの?」
「んー、普通にやってただけなんだけどねぇ。伊織にも情報持ってくつもりだったけど、探索スキルある? それと、グリモアの空間魔法のレベルいくつ?」
「探索スキルはあるよ。グリモアの方は、レベルはわからないけど、エリアシールドは使えるよ。鞄作ってもらってからも、茜に対抗してインベントリ常用してたから」
それはいいことを聞きました。後は魔力操作と最大MPだけですね。
「地図はログインしてから渡すけど、エリアシールドがあればグリーンサボテンテンの狙撃は何とか出来るし、魔力制御でエリアシールドの修復が出来たから、強行突破するだけなら行けるはずだよ」
「……ねぇ、この学校にもHTOのプレイヤーは結構いるんだよ。それなのに普通に言っちゃうなんて」
「これだけじゃ何のことかわからないから大丈夫でしょ。大体、私に……、伊織に注目している男子って話が耳に入ってないし」
そうです。私にはなく、伊織にはあるもの。それが目に入ったせいで鼻の下を伸ばしているのですから、会話の内容を聞かれることなんてほぼありません。
「……はぁ」
「そういえば、伊織の方はトーナメント出るの?」
「私の方は出ないよ。皆PTを前提にした構成だからソロだとね……。葵は出るって言ってたけど」
「そっか。じゃあ、葵には実験台になってもらおうかな」
私の発言に伊織はジト目を向けながらも深く追求してきませんでした。何をするのか聞いても呆れるだけだとわかっているのでしょう。
「そういえば、クランどうする?」
「んー、どっちでもいいよ」
「私のPTと葵のPTは何度か交流してるから、いっそ全員でクラン作ろうかって話もあるんだ」
おやおや、私が一人でひっそりこそこそしている間に何やら交流が進んでいたようです。まぁ、二人のPT同士で問題がないのなら、何も問題はありません。ただ。
「私、葵のPTメンバーにあったことないんだよね」
そう、ウェストポーチに関しても葵経由でしたし、装備を頼むのも葵だけなので、必要がなかっただけといえばそれまでですが、弟が世話になっている以上、姉として挨拶しないわけにはいきません。
「そうだったんだ。どんな人達かは実際にあってから確かめるといいよ」
「そだね」
この後は他愛ない話を続け、そろそろ教室に戻ろうかと言う頃、誰かが近付いてきました。
「御手洗さんに東波さん、ちょっといいかな?」
さて、名前を呼ばれた以上反応しますが、これは誰でしょう。私の記憶にはないので、伊織の方を見て、全て任せると行動で示しました。それに対し、伊織は小さくため息をついたので、察してくれたのでしょう。
「池田君、どうしたの?」
「盗み聞きするつもりはなかったんだけど、HTOで聞いたことある単語が耳に入ってね。二人共あれやってるの?」
ふむ、周囲が自分のやっているゲームの話をしているからといって、首を突っ込もうとは思いませんが、この人は私と違うようです。
「連休だったからね。それがどうしたの?」
「そっか、二人共やってるんだ。もしよければ、俺とフレンド登録しない? 連休中に結構育成出来たから、いろいろと手伝えるよ」
うっわ、面倒臭そうです。手伝うと言われても、のんびりやりますし、手伝ってもらう必要もありません。それは伊織も同じようです。
「別に手伝ってもらうほどのことはしてないから、遠慮しとくね」
さて、伊織も断ってくれたので教室に戻りましょうか。
「それじゃあさ、今度一緒にどっか――」
「あ、茜、ちょっと待ってよ。それじゃ、私達先に行くから」
何か聞こえた気もしますが、気にする必要はありませんね。
授業が終わり、伊織と帰る途中、いつものスーパーでいつものようにお菓子を買ったのですが、何故か溜息を吐かれています。
「それ好きだよね、オチール」
「癖になる味わいだから」
口の中で転がしておけるチョコなので、甘いものが欲しいときには丁度いいお菓子です。このスーパーではオチール好きとして覚えられているらしく、私以外に買う人を見たことないと言われるくらいです。まぁ、それが本当なら棚落ちすると思いますが。
「受験真っ最中でも食べてるから、同級生に嫌がられてたの知らないでしょ」
「んー、興味ないなー。験を担ぐ必要なかったし」
「はぁ、そういうのにも頼りたい人だっていたんだよ」
そういうものですか。
家に帰り、時間的な余裕があったため一度ログインすることにしました。
テロン!
――――運営からのメッセージが一通届きました。――――
おや? 運営からのメッセージですか。そういえば、条件を変えて送るかもという話でしたね。内容を確認すると、鞄の素材からトレード不可を外し、獲得経験値を引き上げたようです。トーナメントに関する賞品は貰えないけれど、ある程度のメリットは与えるということですか。一応、ハヅチにメッセージを送っておきましょう。相変わらず報酬に興味がわかないので、どうでもいいですが。
所持スキルを見るに、調合を経験値ブーストがあるうちにLV30にしておきたかったのですが、最後の最後でそれを選ばなかったのは私です。なら、残りは地道に上げましょう。ちょうど大量の胃石(小)があるわけですから。
「オババオババー」
「何じゃ小娘、騒がしいのう」
いつものやり取りで店に入ると、奥を借り、作業を始めます。おっと、まずはエリアシールドですね。ここでスキルレベルが上がるかはわかりませんが、試してみるだけならタダです。では、手持ちの胃石(小)は50個なので、全部使ってしまいましょう。部屋のメニューから魔力水入りポーション瓶を買い、メニューからレシピ再現でまとめて作ってしまいます。それなりのMPを消費しますが、ほぼ一瞬ですね。
テロン!
――――フレンドメッセージが一通届きました。――――
おや、時雨からです。どうやらログインしたようなので、例の物が欲しいようです。オババの店にいると返信しておきます。
テロン!
――――フレンドメッセージが一通届きました。――――
……今度はハヅチからでした。出来れば一度に来て欲しいです。内容は、作ってもいいとのことでした。ちなみに、運営から送られてきたのはイベント用魔石(大)なので、一番性能のいいものが作れます。まぁハヅチが作るのなら引き受けましょう。ついでに、トーナメント用にスクロールを用意してもいいとメッセージを送りました。すると、すぐに詳細な返信が来ました。アタックアップにスピードアップとスピードダウン、そして、ディフェンスダウンが欲しいそうです。ハヅチの場合、回避に主軸を置いているのが手に取るようにわかります。それぞれを10枚ずつ欲しいそうで、手持ちの魔力紙に刻印しておきましょう。
エリアシールドを維持しているせいでMPの回復が遅いですが、空っぽになるだけでなんとか足りそうです。これだけ複雑な魔法陣を刻印で済ませられるので、楽といえば楽ですが。
「お待たせー」
先に到着したのは時雨でした。しばらく合わない間に装備が巫女風になっており、大きな胸が胸当てで隠されています。しかも、腰につけているのは刀です。ゲームなので、詳しい分類がどうなっているのかはわかりませんが、戦巫女といった風貌でしょうか。
「巫女装備、ここでも押し付けられたんだね」
「まぁね」
「そんじゃ、これ、探索持ちに渡してね。人数分欲しけりゃ出すけど」
私が筆写スキルで出したアイテムを見て時雨は呆れた顔をしています。変なものを見つけたことに対して呆れているのは火を見るよりも明らかです。まぁ、いつものことですし、すぐに慣れるでしょう。
「……対価、どうする?」
「んー、ブラウンキャメルから皮取って、ハヅチに渡しといて。対価分はもらって、残りは買い取るから」
鞄1個分あれば十分です。どうせ誰かしらが見つけるでしょうし、私以外の誰かに材料を取ってきて欲しいですから。
「着いたぞー」
話が終わるのを見計らっていたかのように忍者風のハヅチが現れました。口元をマフラーで隠しているのは何かのこだわりだそうです。
「ちょうどよかったね。はい、これ頼まれてた短刀」
どうやらハヅチも装備の更新をしていたようです。忍者風の装備に短刀とは、相変わらずの和装好きですね。
「さんきゅう。後は、リーゼロッテ、鞄の材料貰えるか?」
「あーうん、はい」
私は運営からのメッセージを操作し、委託対象を選びます。今回だけの特殊なシステムのようで、メッセージに使い方も記載されていました。最初に顔を合わせる以外は全てメッセージでやり取り出来るそうです。
「それと、装備なんだけど、もう少し待ってくれ。俺のスキルレベルが足らなくて、碌な加工が出来ないんだ」
なるほど、そういった意味では、今回のイベントはありがたいです。何せ、通常よりもスキルの上がりがいいらしいので。
「そんじゃ、皮追加しとくから、レベル上げにでも使ってよ。今度から時雨も持ってきてくれるはずだし」
そう言って私は手持ちの皮を全て託しました。私が持っていても意味が無いので、有効活用です。
「いいのか?」
「ハヅチが早く扱えるようになった方が助かるし」
「そうか、わかった。代金は制作費と相殺しとく。それで、スクロールの方だが……」
「1枚1000G、40枚だから40,000G。鐚一文負けないよ」
「いや、それ原価だろ。この前リターンのスクロール1枚10kで売ってたの知ってんだぞ」
ぐ、バレていましたか。なら、奥の手です。
「そりゃ、リターンだからね。魔法が違けりゃ値段も変わるよ。使用頻度が高いんだから、安くていいの」
「いや、有用性を考えりゃもっと高いだろ」
「じゃあ、ハヅチの思う不足分は装備の代金から引いといて。何だかんだ更新することもあるだろうから、つけといて」
私が引かないとわかっているため、大人しく引き下がってくれました。弟相手に細かい金銭のやり取りは面倒です。現実ではやりませんが、ここはゲームなのですから、ゆるーく行きましょう。
アイテムのやり取りを終えると、連動設定してあるスマホから連絡が来ました。それも、私とハヅチに対してです。夕食の準備が出来たから戻ってこいとのことです。時雨も、私達が同時に同じことをし始めたため、内容を察したようで、そろそろ落ちると言っています。
「そんじゃ、お疲れ」
落ちる際の定型文で私達はログアウトしました。
夕食の後、いつものように明日の準備と寝る用意をしました。尚、葵に動きの感覚が変わるスピードアップの練習について聞いた所、PTメンバーが付与魔法を使えるそうなので、それで練習するそうです。別に必要分も言ってくれれば渡したのですが、そこまで頼る気はないそうです。
ログインしました。明日も学校があるので遅くまではログイン出来ないので、今日は調合のための素材集めをしましょう。サボテンの皮を使えるようになったらそちらをメインにしますが、今はラクダ狩りです。
ちなみに、無魔法はLV10になっているので、嵐魔法と鉄魔法のレベル上げを行います。さらに、付与魔法でINTを上げて、魔法の合間にバックステップで跳躍を上げて、魔力視や識別で観察しているので、大忙しです。大型連休中は何となくで使っていましたが、何故経験値ブーストが終わってからレベル上げに必死になっているのでしょうか。流石にMPの消費が激しいので、維持しているのはエリアシールドだけです。これにインベントリまで加えてたら、MPがあっと言う間になくなってしまいますから。スキルレベルが上って、ステータスが上がれば、楽になるはずです。
それにしても、ドロップ率が戻るだけでここまで落ちなくなるとは思いませんでした。使っているスキルが上がるまで粘りましたが、皮が43個、胃石(小)は32個、胃石(中)に関しては落ちすらしませんでした。まぁ、サイズ表記があるので、今後普通に落とすMOBが出て来ることに期待しましょう。
今日は、ここまでです。
5月9日火曜日、この日は帰宅後に宿題をしていたため、ログインは夕食後だけでした。やることは昨日と変わらないため、若干飽きてきました。北側に進展があれば場所を変えられるのですが、こればかりはどうしようもありません。
翌日の夜、いつもの様にログインし、ブラウンキャメルを根こそぎ狩るつもりでいると、スキルレベルが上がった通知が来ました。新しくアーツを覚えるレベルにならないとこないので、何かが切りの良い数字になったということです。オアシスに戻り、休みながらメニューを見ると、空間魔法がLV30になり、ショートジャンプという魔法を使えるようになっていました。これは、視界に映る範囲に一瞬で移動出来る魔法です。観測できれば壁の向こうにも行けるようですが、空間魔法のスキルレベルが距離に影響するようです。試しに使ってみましょう。
「【ショートジャンプ】」
…………現時点で30メートルくらいでしょうか。緊急回避に使うのであれば、距離に問題はありません。ですが、詠唱時間に問題があります。これは長すぎです。緊急回避には使えません。ええ、詠唱したらです。クールタイムは短いようなので、今度は魔法陣で挑戦です。
「【ショートジャンプ】」
おお、今度は早いです。魔法陣系スキルの詠唱時間は、INTと魔法陣系スキルレベル、使おうとしている魔法のスキルレベルの3つに影響を受け、元の詠唱時間から割合で減っていくらしいので、元の詠唱時間が長い方が効果を実感できます。距離に変わりはありませんが、大技の回避くらいには使えそうです。
「あ、リーゼロッテだ」
おや? この声は時雨ですね。もう来たわけですか。
「やっほー、時雨とリッカとグリモア……だけ?」
「我らはそれぞれに使命がある。それ故、今日はこの地を訪れることの出来る我らだけで訪れた」
えーと、それぞれの都合があるから、今日ログインしたメンバーだけで来たということですね。グリモアがいないと来ることは出来ませんが、逆に言えばグリモアがいれば来れるということです。
「なるほどね。ポータルあそこだから、忘れないうちに登録しといた方がいいよ」
「ありがとね。それと、この辺のMOBって強い?」
「ラクダはランス系2発」
「いや、リーゼロッテって魔法特化だから」
そうでしょうか。取っている魔法スキルはグリモアと変わらないはずですが。
「……その顔はわかってなさそうだけど、魔法陣系と魔力操作のレベルに、魔術だっけ? それもないから、結構差が出るはずだよ。まぁ、他のスキルレベルはグリモアの方が高そうだから、大きな差にはならないと思うけどね」
「あー、魔法陣取ってないんだ。魔力操作あれば使えるから取ればいいのに」
「我は、我が宿敵の努力の結果を奪うことはせぬ。……故に、我が汝に成果を見せし時、その力を受け取ろう」
えーと、私が見つけたものだから、それを真似したくはないと。そんで、何かを見つけて、私に教えたら取ると。律儀だとは思いますが、否定する気はありません。
「そんじゃ、その時を楽しみにしとくよ」
「うむ!」
何となくきりがいいのですが、ログアウトするには早い気がします。そこで、私は街に戻り、溜まっている素材を使い、調合のレベル上げをしましょう。
「そんじゃ、私は街に戻るけど、三人は気を付けてね」
簡単な挨拶をし、私は街へ戻りました。調合のレベル上げをする以上、行く場所は決まっています。
「オババオババー」
「何じゃ小娘、騒がしいのう」
そんなわけで奥を借りに来たのですが、今日はリコリスがいるようです。
「リーゼロッテさん、お久しぶりです」
「やっほー。あ、リコリスって探索スキル持ってる?」
せっかくですからいろいろと広めておきましょう。
「探索スキルですか? ……えっとー」
「あ、言いたくなければ言わなくていいよ。それ持ってるなら情報の受け渡しが楽ってだけだから」
「そうですか。一応持っていますが、取得したばかりです」
私は筆写スキルを使い、西のオアシスに関する情報をまとめました。
「これ、使うと探索スキルのマップに情報を追加出来るよ。ちなみに、これを作る筆写スキルは、ペンと紙を持ってギルドで聞けば取れるから」
私に差し出した紙を手にしたままリコリスは固まってしまいました。ユリアさんには教えたので、すぐに広まると思っていたのですが、まだ広まっていないようです。
「……リーゼロッテさんって情報は共有するタイプの人ですか?」
「んー、知り合いにばらまくだけかな。……利益を持ってこない赤の他人に優しくする必要ないし」
「え……」
ああ、つい本音が出てしまいました。まぁ、これでリコリスが離れていけば、それまでの関係だったということです。私が奥へと引っ込もうとすると、装備している外套を掴まれました。
「でも、私は何も利益を持っていってないですよ」
ふむ、この反応は予想外です。私がリコリスに押し付けている量から考えて、ばら撒かれる知り合いだと思い込むと思っていたのですが。
「リコリスは立場を勘違いしないし、私よりも調合のレベル高いでしょ。それに、何かを与えられて恩を感じる人なら、そのうち何かを持ってくるよ」
先駆者というのは、wikiなどに載っていない細かな情報を持っていたりします。一応オババは何でも答えてくれますが、答えてくれない分野があるかもしれないので、リコリスといい関係を築いておくことは、後の利益に繋がりますから。
「私の事、信用してくれるんですね。なら、一生懸命頑張ります」
それだけ言うと、気合を入れてリコリス用の奥へと戻っていきました、相変わらず前髪で目が隠れているため表情がわかりづらいですが、どうやら私とリコリスの関係は続きそうです。
「あ、西のオアシス行くなら、空間魔法LV20は必須だよ」
聞こえているかはわかりませんが、マル秘メモに載せられない情報を口頭で伝えておきました。グリーンサボテンテンは移動しないMOBなので、もしかしたらオアシスまで辿り着ける道があるかもしれませんが、それがわからない今は、エリアシールドが唯一の方法です。それでは、私も調合をしましょう。
胃石(小)79個と今買ったばかりの魔力水入りポーション瓶をレシピ再現でMPポーションにしました。すると。
ピコン!
――――System Message・所持スキルがLVMAXになりました――――
【調合】がLV30MAXになったため、上位スキルが開放されました。
【調薬】 SP3
このスキルが取得出来ます。
――――――――――――――――――――――――――――――
とうとうこの時が来ました。何だかんだ強引に上げた気もしますが、スッキリしました。調薬スキルを取ると、初級調合セットを下級調合セットにランクアップ出来るようになるのと、同じレシピでも複数登録出来るようになりました。まずはオババに10,000G払い、ランクアップしてもらいました。試験管セットが増えたので、液体状の素材を作る機会があるのでしょう。レシピの複数登録は、同じアイテムでも、効果が違えばそれぞれを登録出来るというものです。恐らくですが、複数の効果を持つアイテムを作った時に、どれを優先して残すか迷わないようにするためでしょう。
そうしたら、……次はどうしましょう。そうです。ハヅチに面白いものを渡すんでした。私はとある魔法を魔力紙に刻印しました。消費MPが多いため、すぐには終わりませんが、休憩を挟みながら進めていると。
テロン!
――――フレンドメッセージが一通届きました。――――
おや、シェリスさんです。内容は、ウェストポーチのことでした。あいにくとウェストポーチがないのと、ハヅチがきっと特訓をしているので作れないと伝えておきました。隣で露店をしているだけで多くのプレイヤーに聞かれているのでしょう。とりあえず、時間が取れないので、頻度は落ちると伝えておきました。それにしても、どうして誰も魔法陣を取得しようとしないのでしょうか。誰かが取得してくれれば私の手間が省けます。ただ、先程リコリスに言った通り、利益のない相手に教える気はありません。一度でも無償の行動をしてしまえば、相手はそれを基準に考え始めます。そうなれば、たかられ続けるだけですから。
さて、作業も終わったので、今日はログアウトです。
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